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山田マチの山だの街だの

2019.02.06 更新

第33回 小平市 - ogawa・赤丸ポスト・テルメ小川 -山田マチ

なぜに東京の西にある「小平市(こだいらし)」にいこうと思ったかというと、「ogawa」の直営店があり、さらに初のカフェができたと小耳にはさんだからです。
「ogawa」は、1941年開店の「小川治兵衛商店」から歴史がはじまった日本のアウトドアブランド。硬派でデザインの良いテントは、キャンプ初心者の私にとっては憧れの存在。品質が高いぶんお値段もそれなりなので、おいそれと手は出ませんが、それが一挙に展示されているならば拝んでみたい。

せっかくならばついでにと「小平市」を調べてみたら、気になるワードがあるわあるわ。ブルーベリー、直売、赤い丸ポスト、ふるさと村、天然温泉……。観光協会のキャッチフレーズは「小平にこないか?」。完璧に母音が一致する男前な誘い文句につられて、いってみることにしました。

新青梅街道をひた走り、交差点の角にある「ogawa GRAND lodge」へ。
ガラス張りのショールームのなかに入ると、テント、タープ、シェルターがずらり! 色も渋く、見るからに頑丈で、自然を愛する山男のような風体です。ちゃらちゃらした装飾はなく、すべてが機能の美。ほれぼれ。リビングと寝室がセパレートされ、ひとり暮しの我が家よりも広いのではないかというほど立派なものもあります。

2階のカフェにあがると、そこもまたずどんと広いスペース。大きさや形の違う様々なテントが、すべて客席になっています。中の仕様もいろいろで、ライトやラグやクッションなどのアイテムが入ると、一気に華やか。こんなことしたらインスタ女子たちが小平に群がってしまいますよ。目に楽しいうえに参考にもなります。ファミリーもいれば、小さめのテントでパソコンを打つソロの男性も。せめてもの、つかのまのキャンプ気分なのでしょうか。

ogawaで興奮してお腹がすいたので、お昼ごはんを食べに小平の街へ。
武蔵野の地粉を使った極太麺が食べられるという「小平うどん本店」にいきました。
外の自販機で「胡麻味噌担々麺」のチケットを買って中へ入ると、ちょうどお昼どきということもあり、ソロの働くおじさまでいっぱい。
つけ麺スタイルで、うどんを担々麺の汁につけていただきます。おとなりの製麺所でつくっている、ほのかに茶色いうどんは、1本ずつしか食べられないほどの太さ。肉、野菜、半熟卵と具だくさんの汁は、これだけで一食分ありそう。食べ応えしかない男前なうどんでした。

それから地元の野菜や名産品を求めて、「小平ファーマーズマーケット  ムーちゃん広場」へ。
ムーちゃんのムは、武蔵野のム。ここは「JA東京むさし」の直営店。
小平市が日本で初めて栽培したというブルーベリーは残念ながら季節はずれでしたが、とれたて野菜のなかに大好きなルッコラをみつけて即購入。
購入を迷ったのは、赤い丸ポストのお茶の缶。小平は、赤い丸ポストの保有数が都内ナンバーワンなんですって。かわいくてつい買いそうになりましたが、そういえば私はもうお茶の缶を一生分持っている、と思いとどまりました。日本茶が好きなあまりお茶関係のグッズが台所にあふれているのです。しかも茶葉の保管はタッパーウェアだ。我慢した自分をほめてやりたい。

緑道ぞいにある「小平ふるさと村」は、昔の郵便局や民家や水車が移築されて、まさにひとつの村のようになっていました。
地面は土のまま、塀や電線などの人工物がなく、案内板も最小限で、日本昔話のなかに迷い込んでしまったような不思議な気分に。軒先にはわらじが吊られ、羽根つきや竹馬などで自由に遊べます。強制ノスタルジック。
ここがなんと入場無料なのです。ふとっぱら、こだいら。

小平のシメは、『小平天然温泉 テルメ小川』に。
こちらもオガワですが、テントのogawaとは関係なく、たまたま住所が小川町。
テルメは、テルマエと同じく「温泉」という意味。その名にふさわしく西洋風の外観をしています。女湯ののれんをくぐると、窓から露天風呂が見えました。ドレスを着た貴婦人が日傘をさして歩くようなお城の中庭を、裸の女たちがうろうろし、泉に体を沈めています。
私もさっそく服を脱いで、古代ローマのパティオ(広場)をイメージしたという露天風呂につかりました。日本庭園で錦鯉が泳ぐ池に裸で飛び込んでいることを想像して笑いがこみ上げてきます。愉快なうえに、琥珀色の天然温泉も広い空も気持ちいい。

古代ローマ式の低温ハーブミストサウナは、タイルでできたかわいい小部屋。このところ東京は雨が降らず、空気も山田もカピカピです。湿気がうれしくて、何度も深呼吸。
部屋から出たところには、タイルでできたソファがあり、足元に洗面器よりも少し大きなひとりぶんのシンク。セルフ足湯ができるシステムです。熱いのも冷たいのも自由自在。これ、家にほしい!

大浴場や2種類の炭酸泉を楽しんでから、パレオをレンタルして「ハマームレスト」なる部屋に入りました。トルコの伝統的な温浴だそうで、室内は40度。部屋の真ん中にイケニエを捧げるような四角い台があり、そのまわりにビーズクッションがいくつも転がっています。雑誌が置いてあって、思い思いの体勢でくつろぐみなさん。

私も雑誌を持ってクッションに沈みました。床がほかほかで、しばらくすると汗がじんわり。裸に1枚布巻いて、寝転んで、雑誌読んで、汗かいて、最高のひととき。私が万が一大富豪になって仲間たちと暮す老人ホームを建てるなら、必ずつくりたい設備です。
それからも、ぬるめの温泉、熱くないサウナ、ちょっと熱い部屋をエンドレス。これまでいろいろな温泉施設にいきましたが、最長滞在記録をたたきだしました。もうずっといたい。ここんちの子になりたい。

「小平にこないか?」と誘ってくれて、ありがとう、小平。ブルーベリーが実る季節に、またいきます。
あ、テルメ小川ですが、男湯は純和風だそうです。男性のみなさま、あしからず。

*きょうの昭和*
ふるさと村の農機具の看板。赤鬼が何かを訴えていますが、メッセージは不明です。
*きょうのごはん*
小平うどん本店。胡麻味噌担々麺。汁も麺も男前!

 


 

 

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山田マチ『ひとり暮しの手帖』

実家をはなれて、およそ20年。 これまでも、きっとこれからも、ひとり暮し。 ここには、ひとり暮しのいろいろなことを書きつけます。 このなかのどれかひとつくらいは、あなたの心に届くかもしれない。 いや、ぜんぜん届かないかもしれない。 そんなふうな、 これは、ひとり暮しの山田の手帖です。

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