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片想い探偵

2018.06.01 公開 ツイート

『片想い探偵 追掛日菜子』

合法ストーカー(?)の女子高生小説を編集者が勧める理由

「推し」とは─ー
 自分が支持、愛好している対象。
アイドルグループのファンが自分の好きなメンバーを表すのに使用する「推しメン(イチ推しメンバー)」をさらに短縮した言葉。(『片想い探偵 追掛日菜子』本文より)


 皆さま、最近、恋してますか? 最後にときめいたのはいつですか?
 この本の主人公である追おい掛かけ日菜子は、好きになっては相手を調べ上げて追っかける超ストーキング体質の女子高生。なぜか好きになった相手(毎回変わる)が事件に巻き込まれ、日菜子は助けたい一心で、培ったストーキング術を駆使し、事件解決の糸口を見つけ出していく、という手に汗握るミステリーです。
 私、最初は日菜子のことを冷ややかな目で見ていました。手の届かない存在を好きになって、振り向かれたら興味がなくなる「片想い専門」なんて、報われないじゃないか、と。

 ところが……。最近、人生初の「推し」が出来まして。若い整体師さんに一目惚れしてしまいました。すべてを忘れさせてくれるその笑顔、尊い。つらい。無理。生まれ変わったら、彼が毎朝顔をうずめるタオルになりたい。今なら日菜子の気持ちが分かる。付き合いたいとかじゃない。ただ、生まれてきてくれてありがとう、と世界に向かって叫びたい。
 そして、施術中の何気ない会話から、フルネームや家族構成、日常のルーティーンを推理し、ついに彼のフェイスブックアカウントを発見。彼がよく行く美容室に、偶然を装って行ってみよう……としたところを、作者である辻堂ゆめさんに止められました。危ない、日菜子につられて何かを踏み外すところだった……。

 話を戻して、この本の主人公である日菜子は、私のようにカワイイ(?)感じではなく、法律のグレーゾーンに軽く片足を突っ込んでいます。会話の盗聴、ツイッターアカウントのなりすまし、住居の特定、不法侵入などなど。でもこれは自身の欲求を満たすためではなく、推しがピンチに陥ったときに発揮されるのです。推しを救うため技術と知能を駆使して必死になる姿には、ハリウッド映画並みの壮大な「愛」を感じます。「彼氏より推しとのほうがずっと幸せな関係を築ける」なんて愛の名(迷)言もざっくざく。

 そんな主人公のブッ飛んだキャラクターに目がいきがちですが、作者は「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞を受賞した新進気鋭の作家・辻堂ゆめさん。日菜子の推理や毎回のどんでん返しは、ミステリファンを唸らせること間違いなし。
 この夏、あなたも「推し」を作ってみてはいかがでしょうか。しかし、くれぐれも法律の範囲内で楽しんでくださいね。

『片想い探偵 追掛日菜子』担当編集者 伊東

関連書籍

辻堂ゆめ『片想い探偵 追掛日菜子』

追掛日菜子は舞台俳優・力士・総理大臣などを好きになっては、相手の情報を調べ上げ追っかけるストーキング体質。しかしなぜか好きになった相手は、殺人容疑をかけられたり脅迫されたりと、毎回事件に巻き込まれてしまう。今こそ、日菜子の本領発揮! 次々と事件解決の糸口を見つけ出すが――。前代未聞、法律ギリギリアウト(?)の女子高生探偵、降臨。

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