1. Home
  2. 生き方
  3. あなたとわたしの生存確認日記
  4. 楽しいときに、悲しいことを探してしまう(...

あなたとわたしの生存確認日記

2026.10.11 公開 ポスト

楽しいときに、悲しいことを探してしまう(9月18日) ―「またセラミックでいいですよね?」燃え殻

2026年9月18日

朝いちで、茗荷谷の歯医者へ。虫歯の治療だった。

医者に「またセラミックでいいですよね?」と訊かれ、「ですね」と答えてしまった。これで二本目。また六万円である。

一昨日、「今回、五万円でお願いできれば」と言われた案件があった。「うーん、ちょっと考えさせてください」と保留にしていたのだが、帰りの丸ノ内線で、「先日の件ですが、引き受けさせていただきます」と即メールを送った。

セラミック憎し。

***
茗荷谷の帰りに、神保町で久々の清井商店。

 

清井そばを食べた。やはり、ここの沖縄そばが東京でいちばん好きだ。欠点があるとしたら、美味しすぎることかもしれない。

ときどき、沖縄で食べた、あのさっぱりとして飾り気のないソーキそばが、無性に食べたくなることがある。清井商店が悪いわけではない。清井商店は、東京でいちばん美味しい沖縄そばを出しているだけだ。

とくに出汁が美味い。セルフのさんぴん茶(たぶん)も、冷え冷えで美味しい。

ソーキそば界で一番繊細な味。清井商店の清井そば

***
J-WAVEのアルコール除菌の近くにいる白犬。かわいい。

消毒犬

***
オンライン会議を二件。

原稿の内容から、東京タワーの話になった。昔、付き合っていた人と、東京タワーの展望台に登ったことがある。その子は、なにかと話を暗い方向へ持っていく子だった。

「ねえ、下見て。あんなに人が小さい。ここから飛び降りたら、絶対に死ぬね」そう言って笑った。そして間髪入れずに、「いま首都直下型地震がきたら、どうする?」「そのとき、東京タワーって、どうやって崩壊するんだろう……ポキッといくのかな。こわいね」と、不幸三本立てを披露していた。

オンライン会議でその話を編集者にしたら、ゲラゲラ笑われた。「そういう子が出てくるのも、いいじゃないですか〜」なんて話になった。

あのとき東京タワーから下を覗くと、車も人も小さかったけれど、ちゃんと判別ができた。「ここから落ちたら死ぬね」と彼女に話を合わせると、「でも途中で気絶するから大丈夫」と言う。なにがだ! と時空を超えて、いまさらながらにツッコミたくもなる。

楽しいときに、悲しいことを思いついてしまう人だった。楽しくて、嬉しくて、思わず悲しいことを探してしまう人だった。

***
それにしてもセラミックが憎い。いや、虫歯が憎い。

* * *

毎日の購読をご希望の方は、「燃え殻 底なしの出会い」をご登録ください。

 

{ この記事をシェアする }

あなたとわたしの生存確認日記

今日も無事でしたか? 燃え殻さんが毎日配信するレター「底なし日記」より、週に一度一日分を転載します。
(アイコンイラスト:大橋裕之)

バックナンバー

燃え殻

1973年生まれ。2017年『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビュー。同作はNetflixで映画化、エッセイ集『すべて忘れてしまうから』はDisney+でドラマ化、『湯布院奇行』が朗読劇化(原作)、『あなたに聴かせたい歌があるんだ』がコミック化とHuluでドラマ化(原作と脚本)された。著書に小説『これはただの夏』、エッセイ集『それでも日々はつづくから』『ブルー ハワイ』『愛と忘却の日々』ほか多数。

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP