2026年9月23日

昨夜、今年一番こわい思いをした。
時刻は深夜一時を少しまわった頃。すべての用事を済ませ、文化村近くのガードレールに腰掛けて、ひと息ついていると、三、四十代(いや、二十代後半かもしれない)くらいの男性が声をかけてきた。
酔っている雰囲気はなく、格好にも清潔感があった。黒のポロシャツにジーンズ、黒のスニーカー。髪型は短髪で、ゴジラの息子、ミニラに似ていた。
「あのさ……ちょっといい?」と、男性が言う。
こちらは疲れきり、手には飲みかけの豆乳の紙パックを持っていた。道でも聞かれるのかと思い、「はい、どうしました?」と言うと、「あの、女紹介してよ、女」と真顔で言ってきた。
ここで動揺すると危険だと思ったので、「あー……、いま、もう帰らないといけなくて。すみません」と淡々と伝え、そそくさと歩き出した。これは危ない。渋谷危ない。そう思いつつ、ダッシュでその場から離れた。
変な人もいるもんだ、と思いながら一度振り返ってみる。
すると、その男性がこちらをじっと見ながら、ついてきていた。大恐怖。
このまま家に向かうのはマズいと判断し、まずは大通りまで出た。そしてそこで、もう一度振り返ってみる。しっかりついてきている。『千と千尋の神隠し』のカオナシのように、一定の距離を保ちながらついてくる。
今年一番焦りながら、コンビニを見つけたので、急いで店の中に入った。男性はコンビニには入ってこず、外からこちらをずっと見ていた。
コンビニのアルバイトに、助けを求めようかとも思ったが、なんとなく言いづらい。
しばらく飲み物コーナーで、ジッとしていた。その間も、ときどき外の様子を窺う。しっかりいた。
たぶん十五分くらい経って(体感では三十分以上)、外を確認すると、男性の姿は消えている。でも、まだ安心はできない。コンビニから出て、周りも確認してみた。いなかった。
そのあと、何度も振り返りながら、早足で帰宅した。
間違いなく、今年一番こわい出来事だった。

***
窓を開けて、網戸にして寝ようとしたが、まだこわくて、窓を閉め、除湿をかけて寝た。
***
とある映画のコメントを送るのを、すっかり忘れていた。
なぜか寝ながら、そのことを思い出してしまった。真っ暗な部屋で起き上がり、もう一度映画を観てコメントを送るか、朝まで寝るかを一度考えた。
信じられないことに、眠気を振り払って起きて、映画を観た。そしてコメントを送る前に、ソファで朝まで寝てしまった。
***
昨日、不審者(?)がいた場所を通りたくなくて、大きく迂回し、打ち合わせ先に向かった。知り合いの女性から、変質者に追いかけられた話や、痴漢に遭った話を、いままで何度か聞いたことはあった。どれほど恐ろしく、トラウマになりかねない出来事なのか。自分で体験して、やっと身をもってわかった気がする。一度感じたこわさは、その瞬間だけで終わらない。ふだん歩いていた道まで、遠ざけたくなる。
あなたとわたしの生存確認日記

今日も無事でしたか? 燃え殻さんが毎日配信するレター「底なし日記」より、週に一度一日分を転載します。
(アイコンイラスト:大橋裕之)
- バックナンバー
-
- 昨夜、今年一番こわい思いをした(9月23...
- 楽しいときに、悲しいことを探してしまう(...
- 二度と経験したくない懐かしさ(9月14日...
- 諦める勇気だってある(9月9日)― 九条...
- 陰謀論みたいな日々(9月5日)―『リトル...
- 服を選ぶ才能がない(8月29日)―「万引...
- チャンスの女神は前髪しかない(8月13日...
- 羽田第3ターミナルのモスバーガー(8月9...
- 片岡鶴太郎さんの言葉(8月3日)― そろ...
- 「ChatGPT」という親友(7月24日...
- 写真撮影のため、朝から静岡沼津へ(7月1...
- 新宿三丁目『スパゲティー nokishi...
- 紆余曲折にも程があるほどに曲折(7月2日...
- ソプラノ声のまたね!(6月24日)―『初...
- 不思議な仕事に就いている(6月15日)―...
- 「どこの炒飯が一番美味いか?」(6月7日...
- NEWノートパソコンの行方(6月3日)―...
- 『どんな人生にも名ゼリフはある』(5月2...
- 都会派になりたい(5月19日)― 太田胃...
- 高級ホテルのロビーで流れるリラックスジャ...
- もっと見る










