1. Home
  2. 生き方
  3. 次元上昇日記
  4. 2026年7月22日 神保町で謎解き

次元上昇日記

2026.07.24 公開 ポスト

2026年7月22日 神保町で謎解き辛酸なめ子

もうすぐ取り壊されてしまう、岩波神保町ビルを舞台にした謎解きイベント「あの夏のさよなら」に伺いました。安藤美冬さんのアンルートという会社が主催で安藤さんが脚本と製作総指揮をつとめています。

 

映画館を回遊しながら物語と謎を追う、ストーリー体験型ミステリーツアー。俳優さんが出てきて演技したり、フレグランス演出もあったりでかなり凝った演出です。ストーリーを読みながら謎解きルームに移動し、映画館で登場人物の様子を眺めるなど、現実と創作が入り混じっていました。この映画館、かつては意識が高い映画を上映しているイメージでしたが、ミステリーの舞台になるという楽しい利用法もあるとは。

参加者は一人ずつ単独でミステリーの世界に没入します。登場人物は大学生のミフユとハルオミという男女。参加者は2人と仲良しのナツ(性別不明)になってストーリーに加わります。古い映画館で記憶をたどりながら、ナツが昔ここでバイトしていた時の事件の謎を解いていきます。

映画館のオーナーは叔母の久子。しかしある短編映画の上映イベントの途中に、10階から9階に転落して亡くなってしまいます。その久子の霊が、自分の亡くなった理由について調べてほしいと語りかけてきて、映画館をあちこち歩いて謎解きをしていきます。ナツの方も自分が急にハルオミとミフユと疎遠になった経緯を知りたくて、思い出をたどっていく、という流れです。古い映画館で霊的なストーリーというと何か憑かれそうですが、フレグランスの香りで負のエネルギーが浄化されている感があります。

ちょうど前日、近所のカフェの外階段で後ろによろけて一瞬転落するところだったのでなんとなく久子に感情移入してしまいました。でも久子は自分でよろけたというのではなく、誰かに突き落とされた……ということで、受付のスタッフ2名、当日映画のイベント登壇した俳優、久子の夫の誰かが怪しいということになります。謎解きルームで映画館にまつわる噂や当日のタイムテーブルを調べて、犯人は誰か考察します。

最初、薄暗い映画館でリーフレットの細かい文字が読みづらく、かなり遅れをとってしまいました。謎解きイベントは……若者向けかもしれません。綿矢さんとご一緒しましたが、綿矢さんの方が全然早く解き終わっていました。

でも他の謎解きイベントにあるような、細かい問題の解答のマス目を全部埋めていかないと答えにたどり着かない、というタイプではなく、選択肢から選ぶ形式で助かりました。最後の方で、部屋でスタンバイしている登場人物に言えなかった思いを告げる場面などもあって、謎解きだけではない達成感が得られました。俳優との距離も近くて、推し活に発展するケースもありそうです。

人生そのものも神がプロデュースした謎解きだと考えれば、試練も乗り越えられる……かもしれません。

「あの夏のさよなら」で、役者さんが映画館の座席に佇んでいるシーン。物語に没入しているのでエモさもひとしおです。

 

謎解きやミステリーではないですが最近少し考えついた企画があります。

それは、この度可決された、改正皇室典範にまつわるものです。皇族数の確保に向け旧宮家「男系男子」を養子にすることが可能になりました。でも国民の1人としては、今まで存じ上げなかった人を、家柄がやんごとないとはいえ、いきなり◯◯様と呼んで奉るなんて、なかなか受け入れにくいものがあります。宮家の方もそんな庶民の厳しい視線に晒されるのはキツいと思います。

そこで少しでも国民の理解が高まるように、皇室リアリティ的なオーディション番組を作るというのはいかがでしょう。男系の養子対象の方々に、皇族練習生として共同生活していただき、厳しい合宿で礼儀作法など身につけられる過程などを見守りながら本当に皇族にふさわしい方を決める、という企画。各回のテーマは「歌会」「日本史」「蹴鞠」「お手振り」など……。対象の方以外に、冷泉家とか徳川家、近衛家など由緒正しい方々が参加すると良い刺激になりそうです。国民の応援や支持の気持ちが高まることで、皇族としての新たなステージに達することができます。このくらいのことをやらないと、なかなか受け入れられないような気がしています。一庶民の妄想失礼いたしました。

関連書籍

辛酸なめ子『この人生、前世のせいってことにしていいですか』

心豊かな来世のために、辛酸なめ子は今日も静かに徳を積む。イルカ、天狗、龍の逸話を求め、能力者たちに会いに行く。周波数で健康をチェックし、パワーストーン店で前世診断。癒しを求めて京都、沖縄、出雲を巡り、都市伝説の会にも参加する……。スピリチュアルの最前線を追い続けたその先で彼女が見たものは。クスッと笑える試行錯誤の記録。

辛酸なめ子『次元上昇日記 ベストセレクション50』

「次元上昇」とは? それは「アセンション」のこと。 では、「アセンション」とは何か――? 辛酸なめ子さんにとっては、日々、功徳を積んで善行マイレージを貯め、それがある閾値に達すると得られる高い次元のこと。 本書は、そんな次元上昇をめざす一人の女性が、イベント、パーティ、買い物、仕事……と毎日足を運び、霊的な何かが見えたり、癒されたり、反省したり、試行錯誤する抱腹絶倒の記録です。 この世界の次元は一つじゃない――。 よりすぐりのベスト50をお楽しみください。

辛酸なめ子『次元上昇日記』

毎日のようにセレブやスピリチュアルな現場を取材し続け、どうやったら「次元上昇=アセンション」できるのかを考え続け、「小難しい本を読むより、猫を5分間撫でている方が真理に近付ける」と認識、善行というマイレージを貯めることこそが、個人の次元上昇を達成する方法だと気づく。そのおそるべき試行錯誤、抱腹絶倒の日常記録です。

辛酸なめ子『辛酸なめ子の現代社会学』

辛酸なめ子のフィールドワークは、犯人の足取りを追う老獪な刑事のごとし。正体を突き止められまいと足掻く「現代社会」を、軽やかな妄想と味わい深い漫画を駆使して追い詰めていく。モテ、純愛至上主義、スローライフ、KY、萌え……「ブーム」の名で艶やかに仮装した現代の素顔とは? 前人未到の分析でニッポンを丸裸にした圧巻の孤軍奮闘。

{ この記事をシェアする }

次元上昇日記

「次元上昇」とは? それは「アセンション」のこと。では、「アセンション」とは何か……。いろいろな意味があるので、ネットを検索してみて下さい。しかし、辛酸なめ子さんにとって、それは日々、功徳を積んで善行マイレージを貯め、それがある閾値に達すると得られる高い次元のこと。この連載は、その善行マイレージを貯め次元上昇をめざす一人の女性の抱腹絶倒、試行錯誤の記録です。

バックナンバー

辛酸なめ子

近著に「スピリチュアル系のトリセツ」(平凡社)、「電車のおじさん」(小学館)、「無心セラピー」(双葉社)、「新・人間関係のルール」(光文社新書)、「女子校礼讃」「辛酸なめ子の独断! 流行大全」(中公新書ラクレ)など。

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP