時間が経てば、全てが過去になるわけではない。
“終わらない過去”が現在の自分を蝕んでいく。
時効という制度は、時間の経過によって罪を裁けなくなるが、被害者や遺族の感情までは消し去ることはできないのだ。
ドラマ「田鎖ブラザーズ」第2話では、時効を迎えた過去の事件が現在の出来事と交錯し、“裁かれなかった罪”がどのように人生に影を落とし続けていくのかを静かに、しかし確実に描き出していた。
現在で起きた事件が、過去の「田鎖両親殺害事件」に直接的な因果関係はなくても、田鎖兄弟の行動や選択、そして感情の揺れは無意識に過去が影響しているのだ。
特に現在の事件の加害者である野上家に田鎖真(岡田将生)が共感している姿が、印象的であり、このドラマの特徴であると私は考える。
また田鎖稔(染谷将太)が人との関係を避ける姿や、過去に対して距離を置こうとする態度からは、時効によって解決されないまま残された感情の存在がうかがえる。
稔が憶測を何よりも嫌う理由はここにあるのだろう。そんな稔が、現在の事件で大切な兄を失った野上光樹に語りかけた「お前が思うほど兄貴は弱くなかった、憶測だけどな」という言葉……。
憶測を嫌う「弟」が、行き場のない感情にもがく「弟」に、短くも温かい励ましの言葉をかけたのだ。野上家が抱えてきた過去や、そこに積み重なった過去に触れるほど「他人事」として切り離せるものではなくなったのだろう。
田鎖兄弟は、警察官として真実を明らかにしようという「正義」と、過去に縛られた物同士だから分かる「共感」の間で揺れている。
そのズレこそが、この物語に重苦しさとリアリティを与えているのだ。
私は第2話を観て、法で裁けなくなった真犯人を見つけ出した時、田鎖兄弟が一線を超えてしまう怖さを覚えた。
この兄弟はどうやって「復讐心」と折り合いを付けていくのか……。
それは単なる事件の結末ではなく、彼ら自身が過去をどう受け入れるのかという問題に他ならない。
その行方こそが、本作が描こうとしてる「核心」なのだろう。
黒ずくめの人物に切り付けられた「晴子」が真犯人の可能性!? 被害者に見える「晴子」が怪しい理由とは……。
前述した通り、現代の事件と過去の「田鎖夫婦殺害事件」に直接的な繋がりはなかった。
それはつまり、2話の中に伏線は多くなかったとも言える。
いわゆるドラマ用語で「単発事件解決回」と表現するのが正しいだろう。
しかしただの「単発事件解決回」で終わらせないのが田鎖ブラザーズの凄いところだ。

2話ラストで、逃走中だった津田(飯尾和樹)が登場したのだ。
これはまさに「物語が加速しそうな展開」である。
ただ1つ問題があるとすれば、彼が“昏睡状態”にあること。
物語を一気に加速させるためにも、凄腕の医師を派遣したいところだ(笑)
朗報として第3話予告に「津田が目を開く描写」があった。
次回、間違いなく物語が急展開すると断言する。
津田という“パンドラの箱”が開いた時、田鎖父(和田正人)の過去が明るみになるのだろう。
その理由として、事件前からノンフィクション作家の津田が田鎖父:朔太郎の元を取材で訪れていたという情報がある。
「田鎖さんも港まで運んでいたじゃないですか」
この津田の言葉が大きな伏線になっていると私は予想する。
考察として田鎖父は何かしらの事件や事故に関与(その真意を確かめるために津田が田鎖父を取材)。その件で田鎖父は真犯人の恨みを買ってしまい(動機)、31年前の殺人事件が起きたと予想する。
その真相は“津田の目覚め”と共に明かされるのだろう。
では最後に真犯人についても考察していこう。
前回の記事では田鎖兄弟にとって父のような存在である中華料理屋「もっちゃん」の店主:茂木幸輝(山中崇)を疑った。
本日は、田鎖兄弟にとって姉のような存在である足利晴子(井川遥)を疑う。

ここで多くの人が疑問に思うだろう。
事件時、晴子は田鎖家の前を通った際に、黒ずくめの人物に切り付けられた……。むしろ晴子は「被害者側」の人物だろうと。
気持ちは分かる。しかし私はそこをあえて疑っていきたい。
視聴者に「晴子は被害者である」と思わせることが最大の狙いなのでは? と私は考察する。
つまり、真犯人は「晴子」であり、晴子を切り付けた黒ずくめは真犯人ではないということだ。
その時系列の詳細は、我々の動画を観て欲しいのだが、考察のポイントは稔が傷つけられた点である。
私の予想では、晴子が田鎖夫婦を殺めた後に、黒ずくめの人物が田鎖家に侵入した。しかし、既に田鎖夫婦は殺害されていたため、黒ずくめは激しく動揺。そこに現れた稔を切り付けて家を出る。さらに田鎖家前で鉢合わせた晴子も咄嗟に切り付けて逃走したという展開。
この流れなら「晴子真犯人説」も一応辻褄が合う。
ただ疑問点として、晴子が田鎖家の前を通っていたことが挙げられる。
もし晴子が真犯人なら現場に戻ることは考えにくいが、殺害現場に何か証拠を残してしまったなどの理由があれば、真犯人の晴子が殺害現場に戻り、他の人物に切り付けられたという状況が生まれる可能性はある。
もちろん信憑性が高いとはいえないが、物語の構造的に、田鎖兄弟に近い存在の誰かが真犯人の可能性が高いだろう。
したがって姉のような存在の「晴子」を疑うべきなのだ。兄弟にとって心を許せる存在の人物が「真犯人」だった場合、田鎖兄弟の「復讐心」はどのように表面に出てくるのか……。
この兄弟が間違いを犯さないことを、私は切に願っている。
••┈┈┈┈•• ドラマ情報 ••┈┈┈┈••
TBSテレビ『田鎖ブラザーズ』( 毎週金曜夜10時~)
出演:岡田将生、染谷将太、中条あやみ、井川遥、山中崇、宮近海斗、岸谷五朗
脚本:渡辺啓
音楽:富貴晴美
主題歌:森山直太朗『愛々』(ユニバーサル ミュージック)
演出:山本剛義、坂上卓哉、川口結
撮影監督:宗賢次郎
プロデュース:新井順子
編成:高柳健人、吉藤芽衣
著者:ペチ
イメージイラスト:サク
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