4月も残すところあと数日となった。
慌ただしい新年度を駆け抜けた皆様、お疲れ様でした。
そんな4月故、ドラマを観る時間が取れなかった方も多いだろう。
しかし、どんなに忙しくてもこのドラマは時間を作ってでも観る価値があると胸を張って言える。
先週の月曜夜10時から放送が開始となったドラマ「銀河の一票」(関西テレビ)だ。
政治の世界を追い出された主人公:星野茉莉(黒木華)が“政治素人のスナックのママ”である月岡あかり(野呂佳代)をスカウトし、都知事選に挑む物語。
第1話の放送直後からSNSでは「面白い!」など多くの賞賛の声があがり、ドラマウオッチャーや著名人も太鼓判を押すこの作品。
日本初の女性総理が誕生し、政治への関心が高まる今だからこそ政治を題材としたドラマへの注目度も高いのかもしれない。
ただ政治云々関係なくとも、このドラマはいいドラマだ。
各キャラクターも立っていて、展開のスピーディーさも程よく、なんせオープニングで演者たちが踊っているからだ。
「女王の教室」(2005/日本テレビ)、「逃げるは恥だが役に立つ」(2016/TBS)など主題歌と共に演者が踊る作品はいいドラマが多い。
エンディングで踊るドラマは数あれど、オープニングで踊るこのドラマは実に珍しい。
そしてエンディングで踊るドラマは名作率が高い(私の体感)ため、オープニングではあるが踊っているこのドラマは早くも名作の予感がするという訳だ。
……と書いている途中にそのオープニングを見返してみた。
あれ? 踊っていない?
そんな馬鹿な。
このドラマのオープニング映像は、商店街の通りにそこで働いているであろう大人たちや制服を着た学生達がびっしりと敷き詰められている中、主演の黒木華氏、野呂佳代氏、松下洸平氏の姿も。
周りの人らが踊る中、3人は担ぎ上げられたり引っ張られたりしている。
よくみるとほとんど踊ってはいない。
最後に拳を突き上げる前に少し踊った(? )ほどであった。
思い込みとは怖いものだ。
自分の中で、「主題歌と共に踊っているのはいいドラマ!!」という勝手な印象を持っているが故に脳内で彼女らを踊ったことにしたかったのかもしれない。
もう一度言おう。ほとんど踊ってはいなかった。
勿論踊っているか否かは重要ではない。
躍動する周りの人々に翻弄される演者3人の動きに加え、主題歌「おーへい」の作詞を手がけた在日ファンクの浜野謙太氏と平成のJ-POPを彩った後藤真希氏、さらに黒木華氏と野呂佳代氏の歌声がファンクに響く、胸踊る主題歌は大注目だ。
とにかくこのドラマは面白くていいドラマであることは本編を観ればわかるので、まだ未視聴の方はぜひTVerなどでの視聴を強くおすすめする。
ドラマ考察YouTuberである私からしても、今期のドラマでは一番好きな作品だ。
あかりが抱える“夢ではない辛い現実”とは……。
迎えた第2話では、第1話の天真爛漫な月岡あかりとは打って変わり、“夢ではない現実”への絶望を浮かべた表情で起床をした月岡あかりのナレーションから始まった。
第1話では路頭に迷う茉莉に明るく手を差し伸べ、どんな人にも親切なあかりであった。
そんな彼女にも並々ならぬ苦悩があるようだ。
「待って、待って」という苦しい寝言と共に起床し、「お別れの夢を見た朝は“よかった、夢だった”と安心して1秒後、夢じゃないって思い出して……。」とのナレーション。
そしてあかりが務める昼の職場のお弁当屋に向かう道中、2人で歩く女子学生を見た瞬間に“女子中学生自殺未遂”との見出しが記載された週刊誌のインサートが差し込まれた。
このことから、あかりは過去に女子中学生の娘を亡くしてしまったと考えられる。
「もっと何かできたはず」というあかりの心の声からもわかるように、娘との向き合い方が至らなかったとあかりは考え、自責の念に苛まれているのだろう。
ビルの屋上からあかりが身を投げようとしていたのも、おそらくその件が起因している。
そんなあかりを救ったのが、スナックとし子のママ:鴨居とし子(木野花)だった。
とし子から差し出されたサンドイッチを食べ涙を流すその姿は、第1話で茉莉が見せた姿と重なった。

あかりが人当たりよく、あんなにも周りの人々に親切なのは、元の優しさもあれど自身が辛い時に受けた沢山の人々の優しさがあったからなのかもしれない。
そして自身の向き合いが足りなかった事で命を落としてしまったと感じている娘への無念さもあることから、あかりは人々と真摯に向き合い手を差し伸べる姿勢になったのではないだろうか。
あかりが卵サンドとジャムサンドを傷心の茉莉に差し出したのも、とし子ママの受け売りのように見えてなんだか可愛かった。
「何のために生きているのかわからない」というあかりへの返答にまだあるかもしれない甘い事に対する「念の為」と言ったとし子。
この言葉をテレビの前で聞いた私は「生きる希望なんてそれくらいで良いのでは?」なんて思えた。
“何のために生きるのか”と考えると人は、何か大きな意味や価値を見出そうとする。
“酸い”が続くとなおさらだ。
だからこそサンドイッチくらいの大きさの“甘い”事が巡ってくることを希望に“念の為”生き続けてみるくらいで、本来はいいのかもしれない。
過去に経験した“酸い”に苛まれながらも、2種類のアイスが一度に食べられる幸せを噛み締められる“甘い”時間は訪れる。

小さな“甘い”は時に巡ってくるものだ。
そしてそれはあかり自身が導いた事でもある。
彼女が茉莉に手を差し伸べたからこそ、紆余曲折の末に2人になって、2種類のアイスを分けあえた。
とっても素敵な巡り合わせの“甘い”。
そんなドラマのワンシーンと春の夜風を感じながら、すっと心が軽くなった。
念の為、まだまだ生きてみようか。
選挙はまだ始まらないが……。
次回の第3話は“スナックとし子”の存続がどうなるか? のお話の様子。
そしてあかりは都知事選への出馬を敬遠しているため、茉莉とあかりの選挙運動が描かれるのは4話以降になりそうだ。
1話~4話辺りであかりの心情を丁寧に描く事で視聴者のあかりへの支持を集め、都知事戦編の時には視聴者があかりを全力応援している……というドラマの構造なのかもしれない。
もうすでに私はあかりの虜だ。
痛みを知った者は、他者の痛みを理解できるはずなので、そんなあかりの“酸い”が明るい“甘い”に繋がっていくであろうこの先の物語に期待している。
••┈┈┈┈•• ドラマ情報 ••┈┈┈┈••
関西テレビ『銀河の一票』( 毎週月曜夜10時~)
出演:黒木華、野呂佳代、渡邊圭祐、倉悠貴、小雪、本上まなみ、岩谷健司、山口馬木也、
木野花、岩松了、松下洸平
脚本:蛭田直美
音楽:坂東祐大
主題歌:「おーへい」浜野謙太(在日ファンク)&後藤真希 feat. 黒木華&野呂佳代(日本コロムビア)
プロデュース:佐野亜裕美
制作プロデュース:植木さくら、森田美桜
演出:松本佳奈、藤澤浩和、瀧悠輔、稲留武
制作協力:AOI Pro.
制作著作:カンテレ、MYRIAGON STUDIO
著者:ケメ・ロジェ
イメージイラスト:サク
考察食堂 -ドラマを噛んで味わう-

3人組ドラマ考察系YouTuber 6969b(ろくろっくび)による考察記事の連載がスタート!
今話題のドラマの真犯人は?黒幕は?このシーンの意味は?
物語を深堀りして、噛むようにじっくり味わっていきます。
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