
わたしの住む山の上の家には個人ポストがない。その一帯の郵便物はすべて管理人室に届けられるシステムになっている。
その集まった郵便物を、管理人さんが各家庭ごとに仕分けしてくれる。仕分けされた郵便物は、管理人室にほど近い専用の棚にそれぞれわけて入れられる。だからわたしたち住人は、その自分専用の棚に一日一回、郵便物を取りに行く。
わたしの家からその郵便物の棚へは、建物を出て外を通り徒歩三分程度の距離である。外出したときはついでに取りに行けばいいが、そうじゃない日は郵便物のためにだけ家を出ることになるのでほんの少しだけ億劫だ。特に、こんな寒い時期には。
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愛の病

恋愛小説の名手は、「日常」からどんな「物語」を見出すのか。まるで、一遍の小説を読んでいるかのような読後感を味わえる名エッセイです。