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キングコング西野が自ら『夢と金』解説

2023.05.27 公開 ポスト

「ハイスペック」と「オーバースペック」の違いを理解しろ西野亮廣(芸人・絵本作家)

発売からわずか1ヵ月で20万部という話題のベストセラー『夢と金』。金が尽きれば、夢も尽きる!現代日本人の全てが、読まずに通り過ぎてはいけない一冊を、本人自ら深堀り!

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(※今日の記事を音声で楽しみたい方はコチラ

日本では多くのサービス提供者が「オーバースペック」の追求に陥っている

おかげさまで、最新刊『夢と金』は、発売1カ月で20万部を突破しました。

本当にありがとうございます。

そんなこんなで今日も最新刊『夢と金』の深掘りをしていこうと思うのですが、今日は、102ページの「歴史的大敗から学ぶ『ハイスペック』と『オーバースペック』」を取り上げたいと思います。

ここで語っていることは至極シンプルで、「サービス提供者としてクオリティーを求めることは素晴らしいことだけれど、『95点の味で十分満足してしまうお客さん』を前にして、40点の味を95点に引き上げる努力には意味があるけれど、一方で、そのお客さんは96点と97点の違いを判断できる舌を持っていないので、96点の味を97点に引き上げることにチームのリソースを引き続き割いてしまうのは得策じゃないよ」ということです。

『夢と金』という本では、さっきの条件だと、90点~95点の技術を「ハイスペック」と呼び、96点以上の機能……つまり、“お客さんの満足ラインを越えた技術(お客さんが判断できない領域の技術)”を「オーバースペック」と呼んでいます。

そして日本では多くのサービス提供者が「オーバースペック」の追求に陥っている。

問いたいのは、「あなたが今、追い求めているのは、ハイスペックか? それともオーバースペックか?」というところですね。

『夢と金』では、「サービス提供者がオーバースペックに陥ってしまうメカニズム」についても詳しく書いているので、まだ読んでない方はソッコーで読んでください。

「技術」「クオリティー」が“お客さんに選ばれる理由の全て”ではない

さて、ここからが「今日の深掘り」です。

自戒を込めてお話しすると、サービス提供者はついつい「クオリティー至上主義」になっちゃいますが、「一番高い技術が一番売れるわけではない」ということは、たとえば、あなたが好きなアーティストで考えた時に説明がついていると思います。

おそらく、あなたが好きなアーティストは、プロのアーティストであるから、ある一定のレベルはクリアしているけれど、世界で一番歌が上手いわけでも、世界で一番ダンスが上手いわけでも、世界で一番楽器が上手いわけでもないハズです。

技術以外のいろんな魅力が相まって、あなたはそのアーティストのことを好きになっている。

サッカーチームを応援している人にしたってそう。

当然、プロだから、ある一定のレベルはクリアしているんだけれど、「あなたが応援しているチームは、世界で一番強いチームか?」と聞かれたら、きっと言葉につまるでしょう。

去年も、一昨年も、そういえば、ここ5年は優勝していなかったりする。

つまり、強さは勿論のこと、「強さ以外の魅力」との合わせ技一本で、あなたはそのチームを選んでいる。

勘違いされると嫌なので、再度、念を押しておきますが、くれぐれも「技術」「クオリティー」を否定しているわけじゃありません。

むしろ、一定の「技術」「クオリティー」が無いと打席に立つことができないので、「技術」「クオリティー」は絶対に必要なのですが、それが“お客さんに選ばれる理由の全て”ではない。

技術が上の方でドングリの背比べ。今、最後の決め手となるのは、技術以外のココ

バルミューダの2万5000円の高級トースターが飛ぶように売れた時に凄く話題になりましたけど、バルミューダって「我々はモノを売ってるんじゃない。体験を売ってるんだ」というスタンスで、ホームページとか見ても、トップページにはトースターの写真は載ってなくて、「トースターを使って焼き上げたチーズトーストの写真」が載ってたりするんです。

「ウチのチースターには、こんな機能と、こんな機能と、こんな機能が付いてまして……」という“機能売り”はどこにも見当たらなくて、前面に出ているのは「ウチのトースターを使うと、こんな体験ができます」なんです。

他にも、USJがV字回復したあたりのCMが本当に最高なんですけど、それまでUSJのCMって「日本初、新感覚ジェットコースター誕生!」「ファミリーでもOK!」「素敵なパレードもやってまーす!」みたいな“機能売り(機能の説明)”だったんですけども、V字回復に突入するあたりのUSJのクリスマスのCMは、施設の説明なんて全然なくて、USJのイルミネーションの中を歩くお父さんと娘しか画面には映っていなくて、笑顔でハシャぐ娘を観るお父さん目線で、「いつか君が大きくなってクリスマスの魔法が解けてしまうまでに、あと何回、こんなクリスマスが過ごせるかな」というナレーションが入るんです。

これがもう「キュン」なんですっ!

技術的に素晴らしいテーマパークはたくさんあるんです。

だけど、「ジェットコースターの落下角度」が80度であろうと、85度であろうと、僕らには分からない。

でも、USJがウチの娘のこんな笑顔を作ってくれるのであれば、クリスマスの魔法が解けてしまうまでに、一回でも多く、USJでクリスマスを過ごしたいじゃない!

自分とライバル達の技術が上の方でドングリの背比べをしている今、最後の決め手となるのは、技術以外のココなんです。

ここまで説明すると、「『USJのジェットコースターよりも、3キロ速いジェットコースターを開発したら、お客さんが来る』というわけじゃないから、『USJのジェットコースターよりも3キロ速いジェットコースター』の開発にあてる時間とお金を他のことに使った方がいいよね」ということがご理解いただけたと思います。

「ハイスペック」と「オーバースペック」に関しては、全てのサービス提供者が意識しておいた方がいいと思います。

最新刊『夢と金』には大人になるまで、大人になっても教えてもらえない「現代の生き抜き方」を忖度無しに書いています。

大切な人・守りたい人に是非贈ってあげてください。

(撮影:イシヅカマコト)

 

※このコーナーは、西野亮廣の公式ブログより転載しています。(一部修正アリ)

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西野亮廣『夢と金』

「まえがき」より 「夢か?金か?」という議論をキミのまわりの連中は繰り返すだろう。 耳を傾ける必要はない。あんなのは全て寝言だ。 「夢」と「お金」は相反関係にない。僕らは「夢」だけを選ぶことはできない。 「お金」が尽きると「夢」は尽きる。これが真実だ。

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キングコング西野が自ら『夢と金』解説

発売わずか1カ月で20万部を突破した、話題のベストセラー『夢と金』。

著者は、キングコング西野亮廣。絵本、映画、ミュージカル、歌舞伎…と日々エンタメを生み出している一方で、ビジネスモデルも構築し、圧倒的な実績を残しているという唯一無二の存在が、自らの経験から得た知識を、余すところなく、一冊に書き切った!

まさに、現代日本人の全てが読まずに通り過ぎてはいけない一冊を、本人自ら解説。

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西野亮廣 芸人・絵本作家

1980年兵庫県生まれ。芸人・童話作家。
黒いペン1本で描いた絵本『Dr. インクの星空キネマ』を皮切りに、モノクロの絵本『ジップ&キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』、カラーの絵本『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』『チックタック~約束の時計台~』『みにくいマルコ~えんとつ町に咲いた花~』、小説『グッド・コマーシャル』、ビジネス書『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『新世界』『ゴミ人間』『夢と金』など、幅広いジャンルで続々と著作を刊行、すべてがベストセラーとなっている。最新刊『北極星 僕たちはどう働くか』も初版10万部スタートで、発売前重版が決まるほど。
原作・脚本・製作総指揮を務めた『映画 えんとつ町のプペル』(2020)では、映画デビュー作、かつコロナ禍にもかかわらず動員196万人、興行収入27億円突破、第44回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞受賞という異例の快挙を果たし、海外の映画賞も数々受賞。同じく原作・脚本・製作総指揮を務めたコマ撮り短編映画『ボトルジョージ』(2024)でも第97回米アカデミー賞のショートリスト入りを果たした他、大躍進が続いている。
また、ミュージカル『えんとつ町のプペル』でも、製作総指揮・原作・脚本を務めると、3万席のチケットが開幕前に完売し、総制作費4億5000万円も初週で回収を完了。圧倒的世界観が国内外で好評を博した。ニューヨーク・ブロードウェイでは、ミュージカル『CHIMNEY TOWN』の制作も進行している一方で、共同プロデューサーを務めた舞台『OTHELLO(オセロ)』(2025、主演:デンゼル・ワシントン、ジェイク・ギレンホール)は、ブロードウェイ週間興行成績で3週連続1位に輝いた。
そして、映画「プペル」シリーズ第2弾、『映画 えんとつ町のプペル~約束の時計台~』(2026年春公開)では、事業投資型クラウドファンディングによって、製作費4億8000万円を、34時間で集めている。

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