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極北でアートを学ぶ

2021.10.08 更新 ツイート

4000kmの旅の果て~極北の町“ドーソン”に恋をして 吉村静

さかのぼること、8月29日。私は、4年半ほど住んだカナダのバンクーバーを離れ、さらに北にあるユーコン準州の「Dawson City (ドーソン・シティ)」へ引っ越した。ビジュアル・アートの学校に通うためだ。

カナダの友人に「ドーソンに引っ越すんだよ」と伝えると、「え! ドーソン!? えええええ!?」と必ず返される。それほど、とてつもなく北にあり、アラスカ国境にも近い。真冬になるとマイナス40度にもなる極北の地であり、冬になるとオーロラが観測できる。ユーコン川が流れ、町の周りは壮大な自然が広がっている。

 

日本からだと東京からバンクーバーまで飛行機直行便で8時間半、そこから乗り継いでユーコン準州で一番大きな町ホワイトホースまで2時間半、さらにそこからもう一回乗り換えてドーソンまで1時間の長旅となる。

はてしなく、遠い。

こうやってみるとカナダって本当に大きな国だなぁ。

さらに私は、バンクーバーからドーソンまで、車で来た。その道のりは思った以上に長く、色んなところに寄り道しながら来たので11日間、計4000kmの旅になった。毎日キャンプだったから、テントで寝たりキャンプファイヤーする楽しさはあるけれど、やることは多いので、それなりにぐったり疲れる。さらに、怖がりなので、ブラック・ベアがきたらどうしよう? とビクビクして、小さな音で夜中に起きてしまいうまく眠れなかった。

でも、あまりに静かなため、小動物の(ささや)きや微かな音が耳に心地よく入ってきて、実は世界はいろんな音に溢れているんだなぁ、ということに気づかされた。ちなみに車の中からだけど、ブラックベアを合計8匹、キツネは2匹、さらにバイソンの家族まで見ることができた。

旅の最後には天然温泉を訪れ、身体がほわんほわんにふやけるまで堪能し、ラストスパートでなんとか乗り切った。

道中に野生のきつねに遭遇。歩き方が静かでこっちまで静かになる。

2015年に、友人たち4人でユーコン準州を旅したのがすべての始まり。人工物が何にもない、ただただ広い北の世界と自然。野生動物やそこで暮らす人々、文化などに、五感が刺激されっぱなしだった。そして旅の最後に訪れた、ドーソン・シティが私の人生をすっかり変えてしまうことになるとは!

6年前に一緒に旅をした友人たちとドーソンにて。当時、川の水がまだちょっと凍ってて川を渡れず悲しんでいる様子(笑)。

ドーソン・シティは先住民 Tr'ondëk Hwëch'in(トゥロンデックフエチン)の人々の土地であり、彼らの言語「Hän Language」を町の標識など様々なところで見ることができる。かつてはゴールドラッシュで栄えたこの町には、最盛期の1898年には4万人ほどが住んでいた。現在は人口2000人ほどの小さな町で、アクセスも不便で、世界から切り離されたような場所だ。

しかし、カンカンダンスを披露するカジノがあったり、永久凍土の地面が溶けて建物が傾いているし、塩漬けのミイラ化された足の指をカクテルに入れて飲むバーがあると思ったらおしゃれなカフェもあって、極め付けにはビジュアル・アートの学校もある(この学校に現在通っている)。

なんじゃこの町は~!!!!!」と当時大きな衝撃を受け、ユーモアあふれるこの不思議な街に恋してしまったのだ。

ドーソンの町を歩くと不思議な世界にタイムスリップしたような気分になる。

当時たまたま道端で会ったアートスクールの学生が言った。

「春だけじゃなくて、厳しい冬の美しさも見てほしい。オーロラが凍った地面に反射して、空も地面も輝くんだよ。でもなんかあれだね、君はなんだか必ずここへ帰ってくるような気がするよ

6年越しになったけど本当に彼の通りになった。人生には不思議な縁があるものだ。

6年ぶりのドーソン・シティと私。風が冷たい。

6年ぶりのドーソンは相変わらずで、ファンキーで不思議な空気が流れている。けれども自分の中身が変わったような感覚がある。今回は観光客じゃなくて、一住民としてここに一定期間住むし、「娯楽」から「生きる・暮らす」という目的になったから感じ方が違うのかもしれない。もしくはカナダに4年住んでるから「異世界感」が薄れてきているのかもしれないなぁ、とか色々考える。それでも小さなコミュニティだからか、町の人たちは優しい印象でほっとした。

雨が降った後にユーコン川の色が綺麗に混ざり合う。

日中はまだ暖かいけれど朝は1度くらいまで既に冷え込んでいる、秋のドーソン。これからどんな風に季節が変わっていくのかを見れると思うと心が弾むし、アートスクールでどんな出会いがあり、自分がここでどんなことを考え、どんなものを作っていくのか考えると本当にワクワクする。

ちびちびと書いていきますので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。

(参考、引用)https://yukon.ca/en/

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コメント

Shizuka Yoshinura/吉村静/ケロズ  幻冬舎プラスの連載がリニューアルされました!今日もドーソンは雪が降りました。 4000kmの旅の果て~極北の町“ドーソン”に恋をして|極北でアートを学ぶ|吉村静 - 幻冬舎plus https://t.co/QTMBl9SPn6 5日前 replyretweetfavorite

林けいこ  4000kmの旅の果て~極北の町“ドーソン”に恋をして|極北でアートを学ぶ|吉村静 - 幻冬舎plus https://t.co/dKpR6G5c0Z 7日前 replyretweetfavorite

幻冬舎plus  これから始まる新しい生活、新しい人生。吉村さんのワクワクが伝わってきます。(竹) 4000kmの旅の果て~極北の町“ドーソン”に恋をして|極北でアートを学ぶ|吉村静 - 幻冬舎plus https://t.co/C24IPa9W3w 7日前 replyretweetfavorite

幻冬舎plus  [今日の新着記事] 4000kmの旅の果て~極北の町“ドーソン”に恋をして|吉村静 https://t.co/ueRQv3gmTt 8日前 replyretweetfavorite

片野貴司  「塩漬けのミイラ化された足の指をカクテルに入れて飲むバーが」 なんだそれは!笑 冬は-40度、オーロラも観れる。雄大な壮大な自然が広がるドーソン。楽しそう! 4000kmの旅の果て~極北の町“ドーソン”に恋をして|極北でアート… https://t.co/VQuwrGuUFi 8日前 replyretweetfavorite

極北でアートを学ぶ

カナダへ移住して4年半。バンクーバーを飛び出し、私はドーソン・シティへ引っ越した。目的は、ビジュアル・アートを学ぶため。氷点下40度に達し、オーロラの見える極北の地で、どんな人と、どんな風景と出会えるだろう。ありのままの生き方を探す、ゆったりエッセイ。
[バナーデザイン:宗幸(UMMM)]

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吉村静

1987年、新潟県長岡市生まれのランナー。走歴25年。ランニング雑誌の出版社に勤めた後にカナダへ渡り、トレイルランニングやハイキング、日々のお散歩に没頭する。カナダで2年過ごしたのちに南米やニュージーランド、インドなど様々な国で写真を撮りながら旅をする。2019年からカナダの永住権を取得し、現在はバンクーバーで暮らす。トレイルランニング用品専門店Run Boys! Run girls!のウェブにてアウトドアスポーツのある生活を綴る「Tip of the iceberg Newspaper」という名のブログも更新中。バンクーバーのヌーディストビーチで開催される裸のランニング大会Bare Buns Run2014年大会女子の部優勝。

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