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夏もおしまいだね~。

何もしないままただ暑い毎日が通り過ぎていった感じで、夏の終わりの寂しさもこれといってなかったことが寂しいこの頃。みなさんはどんな夏を過ごしました? 

プールも買い物もお祭りも行けずひたすら家で涼んでいたけど、その中でもう死ぬほど目にして耳にした言葉があった。「SDGs」だ。

 

恥ずかしながら、この言葉を知ったのは一年以内のことで、そういうのがあるんだって知って以降、とんでもない頻度で見かける。その勢いは止まることを知らない……

よく知らないって人はこの機会にぜひ触れてみてほしいのだけど、簡単にいうと「持続可能な開発目標」ってことらしい。簡単じゃねえな。その中には17個の大目標と、169のより具体的な小目標があって、私たちにとって身近な問題から、わかっちゃいるけどどうしたらいいか分からないものまで色々ある。

SDGsが「みんなでやろ?」って言ってることには私も賛成で「やったほうがいいわ」って感じるのだけど、どこかでその波に乗り切れない気持ちもあって、今回は私がどうしても感じちゃうSDGsへの違和感について書こうと思います。

SDGsの本当の姿を見たいのです

一言でSDGs! って言っても、17個も目標がある。例えば5個目の目標「ジェンダー平等を実現しよう」とか16個目の目標「平和と公正をすべての人に」なんかには超賛成だし、4個目の「質の高い教育をみんなに」も、そうしたいと凄く感じる。なので、私は「SDGs反対派」ってことでは全然なくて、ほとんどの面では賛成だし頑張りたい。

でも、100%肯定できるものって世界中探してもほとんどなくて、賛成の横には疑問とか反発も座っている。私の中に反発が生まれるのは大抵、ゴール12「つくる責任つかう責任」を目指すべく生まれたもの。「環境に優しい服」を見かけた時だ。

ほぼレゴブロックビルをまた発見した。カメラのフレームの中に、レゴブロックが三つ以上入ってくるとコンボって感じで盛り上がる。

そもそも環境に優しい服ってなんだろうと思い調べると、「再生繊維」とか「リサイクル繊維」などの言葉が出てくる。ペットボトルを再利用して作った服や、微生物に分解できる素材でできた服なんかがあるらしい。

へぇ~いいじゃん。

最近街中で見かける「サステナブルファッション」とかってのはこういうものを指しているようで、そういうエシカルな視点に立ったブランドはものすごい勢いで増えている。

……増えてんだよな。

そもそもどうして「環境に優しい服を作った方がいい」ってなったのかに立ち返ってみる。服を作る過程での膨大なエネルギーとか、安く多く作りすぎたことで余る服。「安く・多く」を支えるために不当な環境・賃金で働かされている人たちの問題なんかがきっかけなんだと思う。今羅列したことは、解決した方が良いなって、もちろん私も思う。

その為の方法として「サステナブルなブランド」を立ち上げる…の? その思考回路を理解はできる。だけどどうしてもモヤモヤしてしまうのだ。

無知な私は「そんな状態なら服作んない方が良くない?」と感じてしまう。もちろん、洋服を生業に生活している人間は沢山いるから、服を作ることをやめてしまったらその人たちが困ってしまうので、既に服飾で食べている企業が、服作りから離れることが難しいのはわかる。

でも、今までアパレルのラインがなかった企業や人間が「サステナブル」に託けて服作りに手を出しているのを見ると、結局今「環境に優しい」ことが儲かるからやっているように見えてしまうのだ。SDGsって、資本主義の道具じゃないはずなのに。

本当の「環境に優しい服との付き合い方」とは?

同時に生まれるのは、ファッション業界の側から「地球に優しい服を着よう」とか「一着一着を大切にしよう」と言われることの違和感だ。

正直、うるせえなと感じてしまう。ファッション業界が毎年のように「今年はこれだよ~?」って大量の服を作ってきたことを、私はすぐそばで見ていた。モデルっていう職業は購入を促すものでもあるから、加担してきた身とも言える。

だからこそ思うのだ。うちらが勝手にやってたことじゃん。流行とかいって毎シーズンいっぱい服作って、宣伝して、それで儲けてきたのはずっとうちらじゃん。そもそも、毎シーズントレンドを追いかけられる人間はその時点で特権階級の人間のようにも思える。みんながみんな、おしゃれに必死なわけじゃないし、必死になれるわけでもない。

服が大好きで、人より多く消費してきた人たちが、だからこそ「サステナブル」を掲げて活動を始めているんだろうし、その行動自体は立派で、大切なことだと思う。

私だって人並みに服は好きだ。でも、好きだからこそ、私は今まで通り、今季のトレンドを無条件に買うことはしない。それはつまり、サステナブルだからを理由に自分のクローゼットを一新することはないってこと。おばあちゃんのお下がりを着続けるのが私なりの環境に優しいファッションとの付き合い方で、私なりの「ゴール12」への向き合い方だ。

SDGsを理由に逆に生産が増えるなんてことがないといいなと思うし、環境に優しい自分になるために今持っている服を捨てたら本末転倒だ。

もちろん、私がモデルを始めた9年前から「本当に作りたいものを、本当にほしい人に届く分だけ作る」っていうブランドは存在するし、「長く愛すること」を信念にしている古着屋さんも沢山ある。彼彼女らは、号令が出たから、流行っているから環境に優しくしているわけではない。あの人たちは今を、どう思っているんだろう。

暇なので今度は髪を赤くした。それに合わせて赤いサングラスも買った。治安の悪い仕上がりになってまいりました〜舐められないようにって思う必要無くなる日はいつだ?

その不買運動、どこまで考えてやってるの?

服に限らず、何かしらの商品を購入するとき、それを作っている企業のことも知る必要がある・消費者にも責任があるっていう考え方があって、概ね私も賛成だ。DHCは買わない。こういうやり方で、人権侵害的に労働を強制させている企業とか、差別的な企業が廃れていくことは、とてもいい流れだなと思う。

でもこれも、私はやっぱり怖いのだ。

公正であることや、ひどい労働環境をなくすっていう目標自体は絶対的に正しくて、目指す必要がある。けれどじゃあ、例えば不当な契約で人を雇っている企業を、私たちの不買運動でやっつけられたとして、そこで不当に働いていた人たちのケツは誰が持つんだろう。

そこで働いていた人たちには、そこで働いていた理由があるはずで、その理由には思想が入り込む隙なんてないんじゃないかと私は感じる。その労働は生に直結しているものだから。どれだけ不当な契約でも、そこで働くしかなかった人はいるのだ。

明日のパンを買うために行動することを、否定できる善を私は知らない。生きるために働いている人にどれだけ正しさを説いても、それは結局持っている側からの正義の押し付けにしかならないんじゃないかと不安になる。

善意の行動によって職を失った人たちの姿は、私たちからは見えない。彼彼女らは、その後どう生きていくのか。私たちが正しいことをした結果、その皺寄せが本来一番救われるべき人たちの元へいかないか。想像すると、どうしたらいいか分からない。

SDGsを積極的に広めようと、進めようとしている人が、日本でどんどん増えていることはとてもいいことだなと感じるけれど、私は、善意の後に生まれる結果が怖い。

これを読んでくれている人の中に、活動を積極的に行なっている人がいたらぜひ話を聞かせてほしいです。

不買の先に生まれる失業は、誰かがケツを持つ仕組みになっているんですか? 

サステナブルな服を今年何着買いましたか? 

その服を買わないと、着るものがなかったんですか? 

地球に優しくすることも、人に優しくすることも、世界をより良くしたいと行動することも、全部全部圧倒的に正しくて、尊いことだとわかってるけど、私は時々その正しさが怖いのです。

「良いことだから進めよう」だけじゃない言葉でSDGsを教えてくれる人を探しています。

*   *   *

次回は10月10日公開予定です。

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キリ番踏んだら私のターン

相手にとって都合よく「大人」にされたり「子供」にされたりする、平成生まれでビミョーなお年頃のリアルを描くエッセイ。「ゆとり世代扱いづらい」って思っている年上世代も、「おばさん何言ってんの?」って世代も、刮目して読んでくれ!

※「キリ番」とは「キリのいい番号」のこと。ホームページの訪問者数をカウントする数が「1000」や「2222」など、キリのいい数字になった人はなにかコメントをするなどリアクションをしなければならないことが多かった(ex.「キリ番踏み逃げ禁止」)。いにしえのインターネット儀式が2000年くらいにはあったのである。

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長井短

1993年9月27日生まれ、A型、東京都出身。

ニート、モデル、女優。

恋愛コラムメディア「AM」にて「長井短の内緒にしといて」を連載中。

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