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ヘイケイ日記~女たちのカウントダウン

2020.07.30 更新 ツイート

ピルをやめたら慰労会したくなった花房観音

先月、不正出血があった話はここに書いた。

私は低用量ピルを服用しているので、生理の周期がわかる。それなのに、思いがけぬ時期に出血したので、「病気?」かと思って婦人科に行った。

結局、病気ではなく、ホルモンバランスが崩れたのかと思っていたが、実は今月も、予定よりもだいぶ早く出血があった。これは不正出血ではなく、生理の周期が短くなっているのだ。更年期、そして閉経のサインだ。

そうなったら、もうピルで生理周期をコントロールできるというメリットが無くなったので、ピルを飲むのを止めることにした。先日、婦人科に行ったときも、「50歳になったらやめたほうがいい」と言われていたので、そのタイミングなのかもしれない。

 

ピルの間違いすぎているイメージ

低用量ピルには、今までの人生で、ずいぶん助けられた。最初に婦人科に行って処方され、飲み始めたのは30代半ばだ。幸い副作用もなく、止めた時期もあるが、また復活して、今までお世話になってありがとうございます! と、感謝の言葉しかない。

どうも世の中には、ピルを服用している女に対して、まず「生でヤレる」とか、まさかのヤリマンだと思い込んでいる人たちがいるらしいが、本当に迷惑な話で、こういう発想をする人のせいで、服用を躊躇っている人がいるとしたら、悲しいことだ。

ピルのおかげで、PMS(月経前症候群)の不調がだいぶ楽になったし、何しろ生理が来る時期が正確にわかるというのは、ストレスを軽減した。

ついでに言うと、避妊だって大きなストレスだ。望まぬ妊娠をするかもしれないというリスクを抱えないほうが、セックスを楽しめる。「外に出すから大丈夫」と言う男との行為で、妊娠、堕胎をした女性を複数知っている。そりゃコンドームが一番安全なのは間違いないが、ピルは女性が自分で自分の身を護る鎧だ。

そして今、ピルを止めることを決めたけれど、これから昔のように、いきなり生理が来ると考えると、げんなりしている。温泉に気軽に行けない。そして生理日に合わせて仕事量の調整するということもできない。

周期が短くなってからの生理初日が、身体は怠いは気持ちは落ちるわで、なかなかしんどい。今まで本当にピルに助けられていたのだというのを痛感している。

タンポン様ありがとう

タンポンも抵抗があって使わない人が結構いるのに驚く。私は小学校高学年で生理が来て、母がまさにタンポンに抵抗がある人だったので(四人も子どもを産んでるのに)、使いはじめたのは大学生になってからだ。大学一年目は寮生活だったので、いわゆる「生理のおもらし」(経血がナプキンから溢れ、下着や衣服を汚すこと)は、避けたかった。

「生理のおもらし」では、学生時代に男の子の家で飲み会していたときに……など、悲劇的な話もよく耳にした。自宅ではあるが、朝、嫌な感触で目が覚めて、シーツを洗う羽目になったことは私だとで何度かある。

タンポンを使いはじめて、その快適さに衝撃を受けた。ストレスが軽減するし、生理痛も楽になった気がした。バスガイドの仕事なんて、トイレも自由に行けないし、泊まりも多いし、タンポンにどれだけ助けられたことだろう。タンポンはずっと手放せない生理の友だったが、閉経と共にお別れが近づいている。

ピルにもタンポンにも、「慰労会」を開いて、「今までありがとう」と言いたいぐらいお世話になった。

赤飯より知識を

こうして書くと、改めて生理は女にとって、大きなストレスだったのだと思う。もちろん、子どもを産むために必要だからというのは承知した上で、「よく、長い間、生理とつきあってきたね」と、自分にお疲れ様を言いたくもなった。まだ閉経してないけど。

思えば昔は、生理のせいで、女性は「不浄」だとされていたのだ。

そしてこの生理のしんどさは、男の人にはわからないだけではなく、個人差があるので生理時の不調の症状が軽い女の人にも、わからない。男の人ははなから体感できないだろうけれど、女の人に、「生理ぐらいで」と怠け者扱いされるほうがしんどい。知人には生理中は寝込んでしまう人や、職場で倒れた人もいる。しんどい人は本当に大変なのだ。

こんなめんどくさい生理と、もうすぐお別れできるなんて!

やっぱり「祝・閉経」!

そうなったら、そうなったで、「更年期のしんどいのが来るで」と、母親に脅されてはいるが、そのときのことは、なってから考える。いや、もう立派に更年期で、症状も多少は出ていているのだが。老いてあちこち弱るのは、仕方がない。

生理と40年近くつきあってきたが、この大きなストレスを抱えていくために必要なのは、知識だ。女だけでなく男にも、身体の仕組みは知っておいて欲しい。赤飯を炊いて祝うよりも(今どきそんな家があるのかどうか知らないけれど)、正しい知識を伝えて欲しい。

 

そういえば、ふと今思い出したけれど、昔の男に怒ると、すぐに「生理か?」と、返されたことがあったが、お前が貸した金を返さないからだよ、生理のせいにするなボケ。

(そば懐石を食べに行った。絶品)

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ヘイケイ日記~女たちのカウントダウン

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花房観音

2010年「花祀り」にて第一回団鬼六賞大賞を受賞しデビュー。京都を舞台にした圧倒的な官能世界が話題に。京都市在住。京都に暮らす女たちの生と性を描いた小説『女の庭』が話題に。その他著書に『偽りの森』『楽園』『情人』『色仏』『うかれ女島』など多数。

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