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北極かえるのコモンロー日誌

2020.02.08 更新 ツイート

包装パッケージのないスーパーでゼロウェイストについて考えた。吉村静

昨今よく聞く「ゼロウェイスト」という取り組み。バンクーバーでも関心のある人はとても多い。その名の通り、Waste(ウェイスト=廃棄)がゼロ(ない)という意味で、ゴミを減らしたり、生ゴミを堆肥として活用したり、スーパーにいってレジ袋をもらわないようにする、などいろんな形でゼロウェイストの取り組みが行われている。

2018年、バンクーバーに包装パッケージのないスーパー「Nada(ナダ)」がオープンした。ゼロウェイストを掲げるスーパーとはいかに? 私も数回行ったことがあるのだけど、今回はこちらのお店をぜひ紹介したい。

店内の様子

お店に入ると平日月曜の午後2時にも関わらず、たくさんのお客さんがいた。アポなしでふらっと行ったんだけれど、たまたまバイヤー兼サプライヤー・リレーションシップ・マネージャーのアリソンさんがレジをしていた。

オープン以来多くの人が足を運んでくれて、お店は順調だという。

アリソンさん。

「売れ筋はなんですか?」と聞くと、「うーん、かな。卵って普通のスーパーだと12個とか決まった個数で売られてるけど、ここでは1個から買えるから無駄が出ない。卵だけじゃないけど、みんな必要な分だけ買っていくのがNadaの特徴だからね」と。

なるほど、確かに「必要な分だけ」だったら家に帰っても後々腐る前に食べれるし、パッケージがない以前に、そういう意味でゼロウェイストなんや! と納得した。

それに鶏からしたら卵を12個も産むのって本当に大変なことだと思う。以前ニュージーランドのオーガニックファームに滞在していたときに、毎朝鶏舎をチェックしに行き、美しい卵が横たわってる姿に感動した。

現代の養鶏場は卵を早く産むために改良されている場合が多いけれど、本来は一日1つが限度なはず。そんなことがアリソンさんの言葉から頭に浮かんだ。

牛乳などの飲料も量り売りで買える。

そもそもこのお店の始まりは、海洋生物学者であるCEOが、海で発見される多くのゴミが食べ物のパッケージから来ていることを目の当たりにしたことがきっかけだったという。

海のゴミ問題が私たちの食品システムとつながっている。作物の育て方、運搬、加工、パッケージ、売買、消費、そして食べ残しを廃棄するところまで全てが気候変動や動植物の生態系に関与している。

現代のスーパーマーケットのシステムは崩壊しており、そこで今一度、食材をそのままの形で届けたらどうだろう?

そんな思いからこのNadaストアをオープンした。

お米や麺類、スコーンやお菓子などなどいろんなものが揃っていた。

すべての商品が小包装になっていないので、自分で容器(瓶やタッパーウエアなど)を持っていき、量り売りで商品を購入する。容器がない人は寄付されたヨーグルトのパッケージなどの無料の容器を使うこともできる。日本にも「詰め替えパック」商品はあるけれど、ここにはその「パック」自体がないのだ。

野菜に果物、お米などの穀物、スパイスにナッツなどなど色々あり、ほとんどの商品がオーガニックだった。

スパイスコーナー!
食用油からハンドソープといった身の周りのものまで詰め替え可能!

歯磨き粉も詰め替え可能でびっくり。石鹸のような、固形のシャンプーもあって色々あるんだなぁとふむふむ。

寄付された容器たちは誰でも無料で使ってオッケー!

買い方は、自分の容器の重さを測ってから必要なものを必要な分だけ自分で入れる。レジに持っていくと容器の重さを引いた量を計算してくれ、料金を支払うという仕組み。簡単!

買い物スペース横にはカフェもあり、売れ残った食材を活用したスムージーなども提供している。あとはステンレスのストローやお弁当箱、蜜蝋で作られたラップなども売られていた。

そこで働いているスタッフが、「1日8時間、自分の身を置く場所やそこで何をするかってのはとても大事。元々自分にできる範囲でゼロウェイスト生活を心がけていたけど、この仕事をするようになって同じ意志を持った仲間に囲まれて、毎日が充実するようになったよ」と嬉しそうに語ってくれた。

パンがそのまま売られているのもいい! パンの展覧会。

話は少しそれるが、ここ数年のベジタリアンやヴィーガンのムーブメントを見ていて、良い側面もあるけれど、遠くの南国から運ばれたアボカドを消費するっていうのは「なんか変だなぁ」と感じていた。

お肉を食べない選択は環境への負荷や屠殺を減らせる側面はあるけれど、食卓に並ぶまでのトラックや飛行機での移動、それにかかるエネルギー消費を考えると、~タリアン以前に、「地産地消」が理想だよなぁ、と。

だからNadaの理念は私の中にすんなり入ってきた。私もできる範囲で近くで採れたものを買うようにはしているけれど、輸入されたものの方が安かったりするから悩ましい部分もあるのが現実(涙)。

バンクーバーのあるBC州はりんごが有名!

あとは少しでいいから自分で育てるというのもいいと思う。私は昨年、家にある畑でトマト、南瓜、豆数種、青ネギ、ニラ、紫蘇、パクチーにパセリを育てた。いつもこの食材があるだけで大分助かったし、美味しいし、それ以上に土に触れながら生きるのに喜びを感じた。昔の人ってこんな感じだったのかなぁ。

昨年夏に育てた元気もりもりの野菜たち。

と、そんなことを「Nada」訪問後に再考したのでありました。

春が近づいてくるとふきのとうやこごみといった山菜が食べたくなる。これも自分にしっかり潜む自然とのつながり。その感覚を今一度大事にしていくこともゼロウェイストの一歩なんじゃないかな。

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北極かえるのコモンロー日誌

移民大国カナダのユニークな制度「コモンロー」を利用し、2019年、永住権を取得したひとりの日本人女性がいます。「自然に囲まれた土地で、自分らしく生きたい」と日本を飛び出し世界中を旅したすえに、彼女はなぜカナダを選んだのか? カナダでの暮らし、コモンローって何? 生き方の選択肢を探る連載です。[アイコンデザイン / 永井あゆみ]

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吉村静

1987年、新潟県長岡市生まれのランナー。走歴25年。ランニング雑誌の出版社に勤めた後にカナダへ渡り、トレイルランニングやハイキング、日々のお散歩に没頭する。カナダで2年過ごしたのちに南米やニュージーランド、インドなど様々な国で写真を撮りながら旅をする。2019年からカナダの永住権を取得し、現在はバンクーバーで暮らす。トレイルランニング用品専門店Run Boys! Run girls!のウェブにてアウトドアスポーツのある生活を綴る「Tip of the iceberg Newspaper」という名のブログも更新中。バンクーバーのヌーディストビーチで開催される裸のランニング大会Bare Buns Run2014年大会女子の部優勝。

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