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2019.07.12 更新 ツイート

愚かな者たちの生きる姿を少しだけ肯定する「ウシジマくん」の作者の小さな感動作 真鍋昌平『アガペー』中条省平

『闇金ウシジマくん』が15年かけて全46巻で完結しました。

平成日本という社会の病理をこの上なく興味深い人間悲喜劇として描いた大傑作ですが、それはもはやいうまでもないでしょう。初めの30巻ほどは、社会の底辺でのた打ちまわる人間たちの常軌を逸した運命を徹底的に追究する群像ドラマでした。

ただし、この5年ほどは、さまざまな人間模様をモザイクのようにちりばめる基本的な作風を離れて、ようやく主人公・丑嶋馨に物語の焦点を絞り、ウシジマと暴力団組織の抗争、とくに滑皮というヤクザとの対決を追う、ごく普通の犯罪映画のような作りになっていました。

そして最後は、『太陽にほえろ!』における萩原健一や松田優作の刑事殉職を思わせる趣向に収束します。もちろん、きわめて上出来のスリリングな物語展開とアクションの連続なのですが、この作品本来の独創性はなくなっています。でも、それはないものねだりというもので、作者・真鍋昌平はきっちりと丑嶋馨の物語にオトシマエをつけました。

さて、今回ご紹介する『アガペー』は、真鍋昌平がこの8年ほどに描いた4つの短編マンガを集めた作品集です。
 


といっても、ここに登場するのは、丑嶋馨のようなスーパーヒーローとはまったく異なり、また、『闇金ウシジマくん』に出てくる狂気や病気とすれすれの人間たちとも違う、もっと私たちの現実に近い人々です。

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中条省平

1954年神奈川県生まれ。学習院大学フランス語圏文化学科教授。東大大学院博士課程修了。パリ大学文学博士。著書『中条省平は二度死ぬ!』『文章読本』など。翻訳書最新刊はロブ=グリエ『消しゴム』。

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