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北極かえるのコモンロー日誌

2019.06.23 更新 ツイート

移民大国カナダの「コモンロー」とはなんぞや?吉村静

2019年1月、カナダ議会は今後3年間で100万人以上の移民を受け入れる計画を発表しました。20年には36万人、21年には37万人の永住者を新規に受け入れる計画だそうです。(CNN.co.jp「移民歓迎のカナダ、3年間で100万人超の受け入れ表明」)。そんなカナダのユニークな制度「コモンロー」を利用し、今年永住権を取得したひとりの日本人女性がいます。「自然に囲まれた土地で、自分らしく生きたい」と、日本を飛び出し世界中を旅した末に彼女はなぜカナダを選んだのか? 知られざる移民大国・カナダでの生活をお届けします。[バックナンバーはこちら]

* * *

2019年1月。コモンロー・カップルとして、パートナーのアメリカ人・ルイスとカナダの永住権を取得した私だが、この制度を理解するのには非常に時間がかかった。

というか日本ではコモンローという言葉自体、聞いたこともないと思う。

Common-law(コモンロー)とは、カナダ政府の定義によれば、「結婚はしていないけれど(婚姻届を出すという形式は取らない)、最低1年以上同じところに住んでいて、夫婦同然に暮らすカップル」のこと。

日本でいうと事実婚という状態が近いのかな……? 

ただ、カナダでコモンローは家族の形として国から認められていて、一般社会にも広く浸透している。結婚した時と同じ社会福祉制度も受けられる。性別も異性、同性、どちらでもオッケーで(カナダは同性間結婚も認められている)、子どもがいても、結婚せずにコモンローのままの人たちもいる。

政府の発表している統計によると、2016年度ではカナダに住むカップルの約20%の人たちがコモンローなんだそうで、1981年と比較すると3倍に増えているんだとか! フランス、ノルウェー、スウェーデンはこれよりさらにコモンローの割合が高いんだと! へーなるへそ~。っていうかいろんな国にコモンローってあるんだなぁ、ふむふむ。

あ! ひとつ断っておくと、カナダは州やテリトリーによってルールの違いがあり、ここで話していくのはあくまで私の住む「ブリティッシュ・コロンビア州」における話なのでご注意ください(それとわたくし移民法のプロではございませんので、間違いがあっても大目に見てくだされ~)。

さて、そもそもなぜ「結婚」ではなく「コモンロー」という形を取るのか?

私の場合は正直「移民する」上でこの制度を知り、そこではじめて「え、わたしら『コモンロー』やん」と気づいたパターン。つまり移民するためのひとつの策だったというわけで、いわば後付けなのです!(汗)

というわけであまり参考にならないので、友人たちに聞いてみました。

ズバリ!「なぜ結婚ではなく、コモンローなの?」

1)結婚は宗教的な理由から始まっていて、自分は何かの宗教を重んじているわけではないので、「結婚」という考えに囚われたくない

2)法律下ではコモンローも結婚も同じ福利厚生が受けられるからコモンローでええやん。

3)苗字も変わらないし、離婚(別れても)しても何も履歴が残らないから(日本でいうバツイチ。でもそんな履歴があるとかないとかそんなことで人を判断するのって、そもそもおかしくない? という意見も)。

4)紙にサインすることが大事なのではなく、『お互いの関係が大事だよね』って思ってるから(つまりハッピーならどっちでもいいやん的思想)。

ちなみに私の友人は、「7年間パートナーと一緒にいるけれど、今後も結婚という形式をとることはないよ。でも私たちの関係は家族や友人も知ってるし、彼のことをみんなの前では”旦那さん”って呼んでるよ」と言っていた。

あとは、我々のように移民するにあたって「あれ、もしや?」と気づいた後付け式。この移民関連パターンはかなり多いんじゃないだろうか。

他にも、「結婚という考え方のルーツは女性が男性の家族に入っていくような形で、男性優位みたいなところがある。そういう考え方が好きじゃない」という声。

また一方で批判的な声もあった。「父親にコモンローの女性がいる。それで将来自分が亡くなった時、父は娘の私に土地を全て譲りたいと言っている。けれどコモンローのルールに従うと、50%はコモンローパートナーの持ち物になる可能性があるみたい。だから、コモンロー制度には疑問が残る」のだという。

それと、「やっぱり結婚はコモンローに比べてわかりやすい」という意見もあった。結婚式を挙げて家族や周りのみんなに「結婚したよ!」って言えるし、単純に日本人と同じで「結婚」というものに憧れを持っている人もいる。

実は私もはじめは、コモンローは「結婚までの通過点」のようなイメージで捉えていた。

でも今は通過点ではなく、「一つの選択肢」だと思っている。結婚という概念や契りを交わすことにとらわれるんじゃなくって、自分とルイスがお互い幸せだと思える関係が、「形式」よりも大事なんじゃないかなと思うようになった。特にカナダでは法律上結婚もコモンローもほぼ同じで、それで一緒に居られるならコモンローでええやん! というのが正直な気持ちなのです。

というわけで世の中にはいろんな関係、選択肢がそりゃあいっぱいあっていいはずだよなぁと考えながら今日もはるかカナダで、コモンローかえる・吉村、走っております。

次回は「コモンロー申請には”真実の愛”の証明が必要!?」をお届けします〜!

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北極かえるのコモンロー日誌

移民大国カナダのユニークな制度「コモンロー」を利用し、2019年、永住権を取得したひとりの日本人女性がいます。「自然に囲まれた土地で、自分らしく生きたい」と日本を飛び出し世界中を旅したすえに、彼女はなぜカナダを選んだのか? カナダでの暮らし、コモンローって何? 生き方の選択肢を探る連載です。[アイコンデザイン / 永井あゆみ]

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吉村静

1987年、新潟県長岡市生まれのランナー。走歴25年。ランニング雑誌の出版社に勤めた後にカナダへ渡り、トレイルランニングやハイキング、日々のお散歩に没頭する。カナダで2年過ごしたのちに南米やニュージーランド、インドなど様々な国で写真を撮りながら旅をする。2019年からカナダの永住権を取得し、現在はバンクーバーで暮らす。トレイルランニング用品専門店Run Boys! Run girls!のウェブにてアウトドアスポーツのある生活を綴る「Tip of the iceberg Newspaper」という名のブログも更新中。バンクーバーのヌーディストビーチで開催される裸のランニング大会Bare Buns Run2014年大会女子の部優勝。

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