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本屋の時間

2017.11.22 更新 ツイート

『365日のほん』が発売になります(4)イラストレーターはラッパーでした。 辻山良雄

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中山信一さんによる表紙原画。クレヨンで描かれた質感が、絵に手触り感を与える。

『365日のほん』に素敵なイラストを添えてくれたのは、中山信一さんです。中山さんは企業の広告などを中心に活躍されているイラストレーターで、ユーモアと明るい色使いが魅力的な絵を描かれます。

 イラストレーターという顔以外にも、中山さんには「中小企業」というグループでMCをつとめる、ラッパーとしてのクールな顔もあります。

 そうした自分の文章とは違う要素が入ってくることで、この本は多くのものを含むことになり、より複雑に面白いものになると考えました。イラストがページに合わさるだけで、文章だけでは届くことのない奥行きがそこに生まれてきます。本文に添えられたカットは内容と直接関係がなくても、ページ全体を響かせるようでした。

 本の表紙を中山さんに描いていただく前に、デザイナーの漆原悠一さんより、何案か表紙イメージの候補が届きました。

漆原さん手書きによる表紙案。ⒶはもっともTitle風だが、客層を限定しそうな気がした。

 完成した本を想像してみると、どの案も捨てがたい部分がありましたが、Titleのお客さまではないかたにも広く手に取ってもらえそうで、絵の隅々まで細かく見ていくのが楽しそうな「B案」に決めました。出来上がった一枚の絵を見たときに、かわいさのなかにも野性味のある、他にはない世界感がそこにあって、感激しました。

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完成した印刷用の表紙絵。

 これまでことあるごとに、「本屋の仕事の本質は、読者に本を紹介すること」と言い続けてきました。この『365日のほん』が出版されることは、本屋の行うべき仕事が本という一つのかたちとなったようで、嬉しいことです。

 この『365日のほん』は、本のガイドブックという体裁を取ってはいますが、その中には本の内容に関してまったく触れていない文章もあれば、著者のことだけを2、3行でさらっと書いただけの文章もあります。そうした意味では純粋な本のガイドブックとは言えませんが、その本を読みたくなる気持ちに沿って書いたつもりです。本屋の店頭で本と出合うときのような感覚で、『365日のほん』を読んでいただければ幸いです。

 最後に。こうした特集を4週にわたり書くことを許して下さった幻冬舎さん、ありがとうございました。

 

今回のおすすめ本

 辻山良雄『365日のほん』(河出書房新社)

 いよいよ全国発売になりました。早い店では本日から、今週末には全国の様々な書店に並び始めると思います(たぶん)。Titleでご予約、ご購入のお客さまには特典として「四季のカード」を差し上げます(4枚1セット。1枚はある写真家の作品が使われております)。

 

◯反響多々!! 連載「本屋の時間」は単行本でもお楽しみいただけます

連載「本屋の時間」に大きく手を加え、再構成したエッセイ集『小さな声、光る棚 新刊書店Titleの日常』は、引き続き絶賛発売中。店が開店して5年のあいだ、その場に立ち会い考えた定点観測的エッセイ。お求めは全国の書店にて。Title WEBSHOPでもどうぞ。

齋藤陽道『齋藤陽道と歩く。荻窪Titleの三日間』

辻山良雄さんの著書『小さな声、光る棚 新刊書店Titleの日常』のために、写真家・齋藤陽道さんが三日間にわたり撮り下ろした“荻窪写真”。本書に掲載しきれなかった未収録作品510枚が今回、待望の写真集になりました。



◯2022年1月13日(木)~ 2022年2月3日(木)Title2階ギャラリー

 浅生ハルミン『江戸・ザ・マニア』刊行記念 趣味はこうして受け継がれる-「ずっとの趣味」の達人たち

「盆栽」「金魚」「古地図」などなど、江戸っ子たちがハマって、エスカレートした趣味の世界。現代でもそれらを楽しむ“マニア”な方々にその魅力を聞いたイラストルポ『江戸ザマニア』。取材の中で浅生ハルミンさんが感じた、趣味の達人たちの「好き」の熱量を、本には掲載できなかった写真や資料と一緒にご紹介します。

◯2022年2月5日(土)~ 2022年2月22日(火)Title2階ギャラリー

ほっきょくでうしをうつ
阿部海太原画展『ほっきょくでうしをうつ』刊行記念

「はらがへった……どこかに えものになる どうぶつは いないのか」極限の地で出会ったのは、ジャコウウシの群れだった。探検家・角幡唯介の実体験を、画家・阿部海太が大胆に絵本化した1作。本展では油彩で描かれた絵本原画全点の展示に加え、描きおろし作品数点の展示販売も予定しています。


◯【書評】
『障害をしゃべろう! 上・下』里見喜久夫編(青土社)
たのもしい「生きよう」とする力  評/辻山良雄


連載「私の好きな中公文庫」
もう20年以上ずっと頭のどこかにある本 辻山良雄

関連書籍

辻山良雄『小さな声、光る棚 新刊書店Titleの日常』

まともに思えることだけやればいい。 荻窪の書店店主が考えた、よく働き、よく生きること。 「一冊ずつ手がかけられた書棚には光が宿る。 それは本に託した、われわれ自身の小さな声だ――」 本を媒介とし、私たちがよりよい世界に向かうには、その可能性とは。 効率、拡大、利便性……いまだ高速回転し続ける世界へ響く抵抗宣言エッセイ。

齋藤陽道『齋藤陽道と歩く。荻窪Titleの三日間』

新刊書店Titleのある東京荻窪。「ある日のTitleまわりをイメージしながら撮影していただくといいかもしれません」。店主辻山のひと言から『小さな声、光る棚』のために撮影された510枚。齋藤陽道が見た街の息づかい、光、時間のすべてが体感できる電子写真集。

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本屋の時間

東京・荻窪にある新刊書店「Title(タイトル)」店主の日々。好きな本のこと、本屋について、お店で起こった様々な出来事などを綴ります。「本屋」という、国境も時空も自由に超えられるものたちが集まる空間から見えるものとは。

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辻山良雄

Title店主。神戸生まれ。書店勤務ののち独立し、2016年1月荻窪に本屋とカフェとギャラリーの店 「Title」を開く。書評やブックセレクションの仕事も行う。著作に『本屋、はじめました』(苦楽堂・ちくま文庫)、『365日のほん』(河出書房新社)、『小さな声、光る棚』(幻冬舎)、画家のnakabanとの共著に『ことばの生まれる景色』(ナナロク社)がある。

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