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本屋の時間

2017.06.15 更新 ツイート

第14回

本の置き場は朝の1時間で決まる 〜品出しの実際・前編〜辻山良雄

 ほとんどの本屋には取次と呼ばれる問屋から、(1)店で売れた本や、後から気が付いて注文した本、(2)その日に発売になった新刊が毎朝届きます。荷物の量は店の大きさや売上により様々ですが、Titleは小さな店ですので、本が入っている箱は平均すれば一日に4~5箱くらい、雑誌が入っているビニール包みが2~3個くらいというところです。

 一つ一つの箱を開けていく時は、何年この仕事をしていてもドキドキするものです。その日に発売になった新刊の箱を開けると、はじめて目にする本がピカピカ光って出できます。その本の装丁や持っている雰囲気をそこで確かめ、「Titleで売れる本かどうか」を判断しながら、置き場所を決めていくのです。

 

 その時には今日入ってきた本と、今まで発売になったそれに類似する本(著者や出版社、内容から思い浮かべます)とを比べます。A:「どう考えてもこれは売れるよね」という本は、入ってすぐの目立つ平台のところ、B:「それほど冊数は売れないかもしれないが、少なくともあの2人は買うかもしれない。店でも大事にしたい本である(将来は棚にずっと1冊は置いておきたい)」という場合は、平台の裏かその本のジャンルの前に平積み、C:「自分にはその本の価値はよくわからないが、誰かほしがる人はいるかもしれない」という場合は棚に1冊入れます。入ってきた本が、自分が思っていたよりも出来が良かった場合には、すぐにその場で追加注文をします。AやBの商品は、開店後にツイッターで本の紹介をすることも多いので、箱を開けた時に紹介用として、1冊抜き取っておきます。

 追加注文した本も他に入ってくるので、それらを置くべき本棚の前に山積みして、箱からまずはすべての本を出し終えます。Titleであれば、一人でそこまでの作業を行って大体15分くらい。そこから、「この本をどこに並べるか」「その本を置くために、どの本を外すのか」ということを考えていくわけですが、その話も長くなりますので、後編でその実際を語りたいと思います。

 

今回のおすすめ本

『本の未来を探す旅 ソウル』内沼晋太郎+綾女欣伸・編著(朝日出版社)

お隣の国・韓国には「まず、やってみよう」という精神が、何にでも見られる。それが数多くの独立系の書店を生み、独自のブックカルチャーを発展させている。日本ではあまり知られることのなかったソウルのブックシーンをレポートした一冊。

〈お知らせ〉


◯2020年1月10日(金)~ 2020年1月28日(火) Title2階ギャラリー

鹿子裕文『ブードゥーラウンジ』刊行記念展
~モンドくんの原画展+本づくりの舞台裏~

福岡・天神の一風変わった実在のライブハウス「ブードゥーラウンジ」と、そこに集う本物の〈はみだし者〉たちが日夜繰り広げた大騒動を描いたノンフィクション『ブードゥーラウンジ』。本書は『へろへろ 雑誌「ヨレヨレ」と宅老所よりあいの人々』(ナナロク社/ちくま文庫)で大反響を呼んだ鹿子裕文さんの待望の新作。会場では『ブードゥーラウンジ』のカバー装画をはじめ、たくさんの挿絵を描いてくれたモンドくん(奥村門土)の原画を展示します。「ブードゥーラウンジ」に関するチラシや資料も多数。

 

◯2020年1月31日(金) 19:30〜 Title 1階特設スペース

 季刊誌kotobaプレゼンツ「21世紀に書かれた百年の名著を読む」第4回
仲俣暁生×倉本さおり「阿部和重『シンセミア』を読む」

仲俣暁生さんの連載「21世紀に書かれた百年の名著を読む」とのTitle連動イベント第4回。今回のゲストは倉本さおりさん。とくに「監視社会」を描いたという意味では現代に対して預言的だったという解釈もできる『シンセミア』を、ともに書評家として活躍されるお二人が語らいます。


◯2020年 02月01日(土) 17:30~ 二子玉川ライズ ガレリア 特設ステージ

まちを変える本屋
田口幹人さん(楽天ブックサービス)×久禮亮太さん(Pebbles Books)×辻山良雄さん(Title)

現在、楽天ブックサービスで地域と本をテーマに活躍されている田口幹人さん、リブロから独立後、小石川で「Pebbles Books」を運営している久禮亮太さん、Title店主・辻山の3人のトークイベント。梅田 蔦屋書店の北村知之さんが聞き手となり、それぞれが考える「まちの本屋」のあり方と、その未来を考える。

 


◯『本屋、はじめました』増補版がちくま文庫から発売されました

文庫版のための一章「その後のTitle」(「五年目のTitle」「売上と利益のこと」「Titleがある街」「本屋ブーム(?)に思うこと」「ひとりのbooksellerとして」「後悔してますか?」などなど)を書きおろしました。解説は若松英輔さん。
 


 

 

◯辻山良雄・文/nakaban・絵『ことばの生まれる景色』ナナロク社

店主・辻山が選んだ古典名作から現代作品まで40冊の紹介文と、画家nakaban氏が本の魂をすくいとって描いた絵が同時に楽しめる新しいブックガイド。贅沢なオールカラー。

 

 ◯辻山良雄『365日のほん』河出書房新社

春、夏、秋、冬……日々に1冊の本を。書店「Title」の店主が紹介する、暮らしを彩るこれからのスタンダードな本365冊。

 

 ◯辻山良雄『本屋、はじめました―新刊書店Title開業の記録』苦楽堂 ※5刷、ロングセラー!! 単行本

「自分の店」をはじめるときに、大切なことはなんだろう?物件探し、店舗デザイン、カフェのメニュー、イベント、ウェブ、そして「棚づくり」の実際。

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本屋の時間

東京・荻窪にある新刊書店「Title(タイトル)」店主の日々。好きな本のこと、本屋について、お店で起こった様々な出来事などを綴ります。「本屋」という、国境も時空も自由に超えられるものたちが集まる空間から見えるものとは。

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辻山良雄

Title店主。神戸生まれ。書店勤務ののち独立し、2016年1月荻窪に本屋とカフェとギャラリーの店 「Title」を開く。書評やブックセレクションの仕事も行う。著作に『本屋、はじめました』(苦楽堂)、『365日のほん』(河出書房新社)がある。

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