使用機材<FujifilmX100V>
このところ旅系のネタが続いたので、久々にバー企画をご提供しようではないか。ウイスキー専門、あるいはジンの品揃えが豊富、バーにも色々あるが、今回はワインバーの巻である。
といっても、ボルドーがどうだ、ブルゴーニュの何年物が最高だの、堅苦しいマニアが集う店ではない(その手の輩が大の苦手)。
取り上げるのは、今年八月にオープンしたばかりの新店で、オーナーはうら若き女性ソムリエだ。
店の大きな特徴はオーナーが厳選したナチュールワインの品揃えの豊富さ。ちなみにナチュールワインとは、化学肥料や農薬を極力使用せず、かつ醸造過程で酸化防止剤の類いも抑えた自然派のこと(二日酔いになりにくいらしい=諸説あります)。
ここまでは、ごく普通のワインバーだが、私が取り上げるからには別の特徴がある。オーナーソムリエは、かつて当欄でも取り上げた人気イタリアンレストランの出身(第二九回わしわし食らえわんこピザ編)。
彼女はかねてから自分の店を持ちたいと強く願い、この度念願のオープンに漕ぎ着けたのだ。
〈ワイン好き〉→〈ソムリエになる〉→〈有名店で修行〉→〈自分の店を持つ〉……こうしたプロセスを経て出店したお店、私はいくつも知っている。
通常、ワインバーではチーズや生ハムの類いを豊富に品揃えするのだが、このお店は少し変わっている(褒め言葉)。
人気レストランに勤務する間、この女性ソムリエは若手の男性料理人たちの賄いを担当していた。
未来のスターシェフたちの大半は二〇代前半の食べ盛りの野郎たち。当然、腹が減る。しかも食を仕事にしているだけあって、こだわりが強い。そんな若手料理人たちの胃袋がっちり掴んできたのが、この女性ソムリエだ。
何度か有名レストランの賄い写真を見せてもらう機会があったが、これはもう強烈。巨大な鳥唐揚げを筆頭に、野菜モリモリのちゃんぽん等々、私のようなおじさんは見ただけで降参という逸品ばかりだった。
そう、このワインバーのおつまみは、かつての賄い料理をアレンジした物が中心なのだ。私のお気に入りは鶏の唐揚げ。オーナーが大分県出身ということもあり、地元料理のレシピに倣い、少し濃い目の味付けになっている。
また、インド料理でお馴染みのクミンを使ったシュウマイも人気だ。不思議なことに、こうしたおつまみに合うワイン(グラスでオーダー可)がこれでもかと供される。あとは日替わりでオーナー自ら製作した〈賄いの延長線上〉のおつまみが並ぶ。
例によって屋号も詳しい住所も紹介しない。彼女の出身レストランの情報は当欄の中にある。そして新しいワインバーは、その人気レストラン(マジで予約取れない)の至近に店を構えている。
結構な頻度で、私もおつまみをアテにワインを飲んでいる。独りになりたいタイミングでは特にそうなので、見かけてもそっとしておいていただきたい。
勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!
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