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あぁ、だから一人はいやなんだ。

2026.02.15 公開 ポスト

第264回 パティ&ジミーいとうあさこ

かわいいものって、いくつになっても好きなんですよね。例えばシマエナガ。アイツ、やたらめったらかわいくないですか? 白くて丸くてちっちゃくて。ただ、どこかで私が「シマエナガ、かわいい!」と言ったのを携帯電話が“聞いて”いたのか、いつからかTikTokやYouTubeのショート動画にシマエナガがよく出てくるようになった。それと同じくらい大久保さんの恋愛相談動画もめっちゃ出てきますが。

キャラクターも“かわいい”がいっぱい。中でもちっちゃい頃からそばにいた“かわいい”はサンリオ。当時はファンシーな色合いや星の感じがかわいくて、キキララが好きだった。ビーグルを飼っていたのもあって、スヌーピーも大好き。そしてこの間、若い人に話したら「知らないです」とこぞって言われて、めっちゃガッカリしたのですが、パティ&ジミーもはずせない。パティ&ジミーはアメリカの女の子と男の子。元気な感じで、ポップなデザインがすてきだった。

とは言え、サンリオを好き勝手買う、なんてことはもちろんなく。特別なお祝いの時とかに祖父母が連れてってくれる中華屋さんがあったのですが、その隣がサンリオショップ&本屋さんで。食事の帰りに祖父母が何か一個買ってくれるのですが、子どものあさこちゃんとしては本屋さんで“漫画”、という選択も捨てがたかったのですが、やっぱり、のサンリオ。買ってもらったもので今でもはっきり覚えているのが、風の子さっちゃんのメモ帳(リング形式のメモ。数日後、母がうっかり踏み割ってしまって。1週間、カンカンに怒って口きかなかった思い出あり)や、パティ&ジミーの、絆創膏とか小物がいろいろ入っていた“MINI SCALE SET”(正式名称がちゃんとわかっているのは、先日、ネットでこれを売りに出している方がいらして。「これ! 持ってた!」と興奮してスクショしたから)や、キキララのちっちゃいピンクのライトなどなど。サンリオショップで買った時、袋にシールで貼ってくれる“おまけ”も嬉しくて。缶に入れて大切にとっておいてたな。

そしてもう一つ忘れられないサンリオ。小学校の時、遠足でおもちゃ工場に行った時、帰りにお土産をいただきまして。それが、なんて説明したらいいんだろう。A4よりひとまわり大きい、水色のメッシュの板がありまして。そこに足の小指の爪くらいの、小さないろんな色のブロックみたいなものを設計図通りにパチパチはめていくと絵が出来上がる、という。はめる、はクロックスのチャーム、みたいな感じでメッシュの穴に差し込んでいく感じ。ん-、刺繍のクロスステッチ、のプラスチック版、みたいな。って言えば言うほどわからない? とにかくそういうヤツです。説明が長くなりましたが、その絵柄がパティだったのです。なんかそれが本当にかわいくてオシャレで嬉しくて。部屋の壁に画びょうで留めて飾っておりました。

そんなパティ&ジミー。昨年末、ネットを見ていた時、出てきたお洋服屋さんの広告になんとパティ&ジミーのセーターが載っていたのです。え? 本当にパティ&ジミー? あの? だって若い子、知らなかったよ? そのお洋服屋さん、まさかこんなパティ&ジミー・ド世代の、50代半ばの女が見るなんて思ってなかったでしょう。だってラインナップ見ると、おそらく20~30代の方が見るサイトじゃないかと。そこに、胸元にドーンと大きくパティ&ジミーが描かれた黒のセーターがあったんです。即行、ポチりましたよ、ええ。かなりファンシーですが、黒なので“かっこかわいく”着られるのではないか、そう信じて、届くのをウキウキ待っておりました。

ただ、事件が起こったのです。“発送済み”のメールは届いているのに、待てど暮らせどセーターは届かない。まあ自分も年末のバタバタしている時だったので、「配達も混んでいるのね」くらいでそんなに気にしてませんでした。すると佐藤栞里ちゃんからクリスマスの日にメールが届きまして。「メリークリスマス!!」あら、かわいいメールくれるじゃない、なんて読み始めたところ、あさこ、真っ青。「あさこさんが以前住まわれていたお家にお届け物が届いたそうなのですが、こちらあさこさんにお渡しするか、間違いであれば破棄します!!」と。実は私が以前住んでいた家に、たまたま栞里ちゃんのお友達が住んでいる話はだいぶ前に聞いておりまして。その時は、引越の際、郵便局に転居届は出していたのですが、間違っていくつか“伊藤麻子”宛ての郵便物が届いていたようで。その方から栞里ちゃんに「もしかしてココにいとうさんって住んでいた?」との質問が。住所を伺ったらばっちり私が住んでいた部屋。「世間って狭いねぇ」なんて笑っていた。話を戻しますが、そんなわけで年末、そのお友達から栞里ちゃんに連絡があって、私にメールしてくれたのです。急いでセーターを買ったサイトの登録情報を確認すると、まさかの前の住所のまま。うそでしょ? だって引っ越したの9年前よ? 確かに9年間、そのサイトから何も買っていないけど。って言うか、今まで一度も買ったことないかも? って言うか、じゃあなんで9年以上前、そのサイトのアプリをダウンロードしたの? って言うか、栞里ちゃんのお友達さんもまだ引っ越していなかったの、奇跡にもほどがない? ああ、もう“って言うか”の嵐。結果、まさかの栞里ちゃんのマネージャーさまが翌日車で届けてくださる、という。もうどこに何回謝っても足りないほど、大×∞のご迷惑をおかけしてしまいました。私、ただ思い出のパティ&ジミーのセーターが欲しかっただけなのに。本当に本当に本当に本当に申し訳ありませんでした。

そんなこんなで届いたセーター。先日文化放送に着ていくと同世代、吉田涙子さんが「わあ! パティ&ジミー!」次にやって来た水谷加奈アナウンサーも見たとたん「わあ! パティ&ジミー!」お二人の音の高さ、大きさ、長さ、全て一緒の「わあ! パティ&ジミー!」を頂戴いたしました。うん、わかる。私も最初見た時、まったくおんなじ「わあ! パティ&ジミー!」出ちゃったもん。この冬は、パティ&ジミー&あさこ、であたたかく、やってまいります。

【本日の乾杯】昨年ロケで伺った小伝馬町の「中ノ森」へ。感動した“クロワッサン”のおでん、再び。オニオングラタンスープみたい。日本酒、すすんじゃう。

 

関連書籍

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。3』

海への恐怖を感じた、初めての遠泳。4人で襷を繋いだ「24時間駅伝」。お見合い旅inマカオ。“初”キスシーンに、“初”サウナ。ドラクエウォークで初めての高尾山。接続できずに大騒ぎのリモート飲み会。拍子抜けだった大腸検査。ブームに乗って、のんびり「おばキャン」、のつもりが……。いくつになってもあさこの毎日は初めてだらけ。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。2』

セブ旅行で買った、ワガママボディにぴったりのビキニ。いとこ12人が数十年(?)ぶりに全員集合して飲み倒した「いとこ会」。47歳、6年ぶりの引っ越しの、譲れない条件。気づいたら号泣していた「ボヘミアン・ラプソディ」の“胸アツ応援上映”。人間ドックの検査結果の◯◯という一言。ただただ一生懸命生きる“あちこち衰えあさこ”の毎日。

いとうあさこ『あぁ、だから一人はいやなんだ。』

ぎっくり腰で一人倒れていた寒くて痛い夜。いつの間にか母と同じ飲み方をしてる「日本酒ロック」。緊張の海外ロケでの一人トランジット。22歳から10年住んだアパートの大家さんを訪問。20年ぶりに新調した喪服で出席したお葬式。正直者で、我が強くて、気が弱い。そんなあさこの“寂しい”だか“楽しい”だかよくわからないけど、一生懸命な毎日。

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