天井を見ていた。光に吸い寄せられた甲虫がベランダに集まり、網戸に突進する。今頃メンバーは野湯にいるだろう。川の中に湧いた温泉に浸かりながら、億千の星を見上げているだろう。わたしは首の痛みに耐えながら、島根という最も楽しみにしていた夜のコテージの天井を見つめていた。体の不調は全てサインなのだとしたら、わたしに号令を出すのは誰なのだろう?カート・コバーンやエイミー・ワインハウスが死んだ魔の27歳という年齢を飛び越えた時、足元に引かれた線の前でたじろぎ足がすくんだわたしを感じた。今でもどこか生きながらえた後ろめたさが胸の中にある。
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*マヒトゥ・ザ・ピーポー連載『眩しがりやが見た光』バックナンバー(2018年~2019年)












