
KAAT神奈川芸術劇場にて、2025年8月9日にスタートしたミュージカル『えんとつ町のプペル』が、“星を観に行く物語”が、8月30日に幕を閉じた。
このバカでかい花火を打ち上げたのは、業界の「新参者」!
4億5000万円という桁違いの予算をかけたことや、3万人のチケットが開幕前にほぼ完売したことなどで、演劇業界、エンタメ業界は騒然としていたし、絵に描いたような「話題が話題を呼ぶ」という流れが生まれていたが、
そういう数字だけでは表せないものが、今回の熱狂のど真ん中にあったことを、今、どうしても伝えたい。
あえて言葉にするなら「感動という名の渦」とでもいうべきもの……。
確かに、この舞台は、とにかく、スケールがデカい。
それは数字で出ている、明らかな事実。
そして、舞台の成り立ちも面白い。
このバカでかい花火を打ち上げるための火をつけたのは、演劇界のスターでもベテランでもなく、「新参者」の西野亮廣だ、ということ。
これまでの「西野亮廣という現象」を見てきた人には、見慣れた感じがするかもしれないけど……いやいや、慣れないで! 新参者で、このミュージカルの製作に挑み、成功させたって、異常なことだ。
また、西野さんといえば、制作過程さえもエンタメにする人だということは今となっては周知のことで、このミュージカルの面白さは、「幕が開くまでのドラマ」にも確かにあった。
いったいどれほどの「ドラマ」があったか?――というと、それは、YouTube「BackStory」で展開されているので、そちらを改めて見てほしい。
ちなみに、「BackStory」では、舞台の裏話も、“4億5000万円の裏側”も、なにからなにまで公開。オーディションで涙する演者さんも、西野さんにめっちゃ怒られるスタッフも、なにもかも。
「こんなの見たことない」「こんなとこまで見せちゃっていいの」の大渋滞で、多くの人の好奇心をそそる内容であることは間違いない。
そんな具合で、このミュージカルに付随するエピソードはいくらでもあって、話題に事欠かない。
んだけれど――。

スケールの大きさに目を奪われるが、一番注目すべきは「舞台が最高に凄かった」ってこと!
それはさておいて、だ。
あらためて、言いたい。
この舞台は、熱狂そのものだった!
結局、舞台そのものが素晴らしかったからこそ、みんな心を奪われ、話題になったのだ。
震えてたもの! 観てた人の心が!
人の心なんて絶対わからないものだけど、今回ばかりは、わかってしまった。
そして、すべてのキャストさんの心が。オケの皆さんの心も。見守り続け、支え続けた全てのスタッフさんの心も。震えてた――!
ライブってほんとすごい。キャストの熱、作り手の熱が、舞台の隅々まで伝わってくる。
約1ヵ月の間、何度も繰り返された本番だけど、1回1回が、「その時、それっきりのたった1回」。それがライブだ。
だから、毎回毎回に、観客は胸を熱くする。
そして、その熱を身体のうちに抱いたまま、帰途につく。
これだけのものを作るのに、どれほどの人が、どれほどの汗と血を流しただろう。
ものを大きくするのはヒトの力だ。
西野さんもよく言うけれど、「早く行きたければ一人で行け、遠くに行きたければ皆で行け」だ。
そう、「皆で行く」を、ガチで見せてくれた。
演出に照明に美術に衣装に音楽に振付に……と、熱量過多のプロが、喧嘩上等で大集合。(←喧嘩上等、ってところがポイントです!)
喧嘩師たち(⁉)が産んだ激流を、流されずに渡り切った大勢の裏方さん。(←激流を渡るって、ホント大変ですから。流されたらおしまいですから!)
……よほどのエネルギーを費やさないと、簡単には進まない“お金作り“や“枠作り“。そういう裏方の仕事に奔走した人たちがいて、「想像もつかないような役割(肩書)」の人が、ものすごくたくさんいて。
文字通り、彼らの力があってこそ、初めて、幕は開く。
それに、今回、忘れていけないのが、会場のすぐ外を「えんとつ町」の世界へと作り上げていたボランティアスタッフの皆さん。
会場のすぐ外に“リアルえんとつ町”を築き、日常と非日常の境界で、夢を見せる場所を作ってくれた。
そしてなんと言っても、演者の皆さん。
大きな期待と責任をその身に背負い、過去に類を見ない圧倒的スケールに負けないため、表現に、演技に、ダンスに、歌に、命を懸けていた。
「お客さんに感動のパンチくらわしたる!」という熱意がぶんぶん飛んできた。
観客はみんな、そのパンチを喰らった。
喰らって泣き、喰らって勇気をもらった。
そうそう、このミュージカルの感動を説明するにあたって、千秋楽の話を。
実は、このミュージカルは、「アンコールが起きない」ように設計されていた。たしかに、アンコールって、いい面もイマイチな面もあり、下手すると、“引きさがり時”がわからなくなったりする。それは、お客さんにとってもキャストにとっても、ちょっと気まずい時間になる。そこで、西野さんはその時間が生まれないように、「優しさ」を取ったわけだ。
しかし、観客の皆さんの、溜まりに溜まった「感動」と「感謝」の渦は、最終日、さすがに爆発した。
アンコールで、キャストさんは何度も登場してくれた。
皆さんの眼が、涙で濡れに濡れていた。
惜しみない拍手、心の底から生まれる拍手。
そして何度目かのアンコールには、ついに製作総指揮の西野亮廣さん、演出の吉原光夫さん、プロデューサーの小栗了さんも、もじもじと出てきた。
総立ちのお客さんが浴びせる、轟音のような拍手は、言葉にできない感動が、爆発した音、だった。
もう一度、見たい。この舞台を――
このミュージカルを、劇場で生で見ることができた人は、もっとこの熱に浸っていたいと思うだろうし、
残念ながら見ることが出来なかった人は、実際どうだったのか、気になるのではないだろうか。
朗報。「この世界」はまだまだ体感できる。
オンライン配信が待っている。
そもそも、劇場にいると、バチコーン! って勢いに呑み込まれ、細部まで丁寧に見ることはできない(と思う)。
それに客席からステージまで、距離もある。
その点、映像は、寄りも観られるし、何度も見ることができる。映像だから楽しめるいい点が、いっぱいある。
なんていっても、完成度にこだわる西野亮廣が目を光らせて作った映像だ。文句なしに、楽しでほしい。
■ミュージカル『えんとつ町のプペル』のオンライン配信チケットはこちらから(特典映像盛り沢山!)
最後に。
ミュージカル界において、西野さんは、明らかに新参者だ。
その新参者が、エンタメ界に強烈なパンチをくらわして、バチコーンとでっかいヒットを打った。
西野さんは、絵本の時も新参者で、映画の時も新参者だった。
新参者が、勝つ姿は、前からその場にいた人にとっては、痛い。
でも、その痛みを、間違った形に転換するのはもったいない。
ちなみに、西野さんこそ、実は痛みを知っている。
絵本を出した時も叩かれ、映画が公開になった時も叩かれた。
殴られっぱなしだ。(殴られっぱなしでも、ニコニコして、異様なスピードで前に進む、超パンチドランカーだけど……)
そして、反撃した。「圧倒的に感動させる」というやり方で。
なんてハッピーな闘いだろう!
もし、まだ、この成功から、あえて目を逸らしている人がいるのだとしたら。
新参者が作った圧倒的な感動、圧倒的な成果など、見たくないという人がいるとしたら。
まずはチラ見から、どうぞ。
それでもまだ、「新参者」というレッテルを、あなたは貼りますか?
――この舞台を、もっともっと観たい!
そう本気で強く願った頃に終わってしまうというのは、“人生“って感じがする。
いつだって、感動の隣には、寂しさがあるものだ。
あなたの寂しさが、このオンライン配信で、少しでも癒されます様に――。
(写真:マタヒラタカマサ)
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