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和ノ音日和

2025.10.21 公開 ポスト

ー わびさびモダンとサブカルの狭間で ー

“和”はなぜ日本人にとって“アングラっぽく”見えるのか?鈴華ゆう子(シンガーソングライター/詩吟師範)

日本人にとって「和」を取り入れた音楽やビジュアルの作品は、どこかアンダーグラウンドなものとして見られがちではないでしょうか?
私自身が幼少期から、その空気を感じていました。
私はこれまで、そんな印象を少しでも変えたいという思いで、“和”の要素をわびさびの美学やスタイリッシュなモダン感覚と融合させ、ほど良いバランスでミクスチャーすることを意識してきました。
いわば、“J-POPとして成立する和”をどう作るかという挑戦です。

“わびさびモダン”という日本人の美意識

現代の日本人が“おしゃれ”と感じるのは、極端な“和”ではなく、ほんの少し香る“和”です。
つまり“和モダン”とは「さりげない伝統」であり、「わびさびスタイリッシュ」とは、過剰でも派手でもなく、静けさの中に美を見出す感覚だと思います。
言葉にするのは難しいですが、この感覚に共感してくださる方も多いのではないでしょうか。

少し踏み込んで言うなら、
観光地のお土産屋さんに並ぶようなテイストの“和風モチーフ”が作品全面に出ると、「和が好きな人だけが好きな世界」になりやすい気がします。
そうなると、どうしても“コアな世界”“アングラ”といった限定的な印象を持たれ、食わず嫌いを生んでしまうのです。

しかし、海外ではむしろそうした“わかりやすい日本らしさ”が歓迎されます。
豊かな色彩、原色の組み合わせ、祭りのような日本独特のリズム。日本の音階を含む旋律。
それらが“日本的エネルギー”として受け入れられるのです。
わびさびの美意識は世界の舞台では“控えめすぎて伝わりにくい”とも言えるかもしれません。

なぜ“和”が日本ではアンダーグラウンドに見られるのか

・戦後の「洋への憧れ」と「伝統からの離脱」が美意識の主流になったこと。
・“和風”が一時期「古い・ダサい」と扱われた時代の名残。
こうした背景が、少なからず今の価値観にも影響しているのでしょうか?
皆さんはどう思われますか?

「日本人が好む和」と「海外の人が求める和」には、明確な違いがあります。
海外公演の経験などからも多々感じることです。
もちろん例外はありますが、一般的に日本では“控えめで上品なわびさびモダン”が美しく、海外では“大胆でカラフルな派手な和”が魅力的に映るのです。

ハッピーエンドでなければ盛り上がらない国もあれば、BAD ENDの物語に判官贔屓という日本らしさと近い感覚を持つ国もあります。
そのギャップを理解したうえで発信の方向性を分けることが、作品づくりをより自由にしてくれると感じています。

和は“過去”ではなく、“未来を映す鏡”になれると思います。
“アンダーグラウンド”に閉じ込めるのか、“ハイカルチャー”として解き放つのかは、今を生きる表現者たち次第ですね。
日本人にとっての“和”を、もう一度“おしゃれの最前線”に取り戻したい。
そう思いながら、私は音楽を作り続けています。
民族や文化によって、色彩感覚も、DNAに刻まれるリズムや音の好みも異なります。
それを踏まえ、“和”を世界にどう翻訳していくか。
この問いを、私はこれからも音楽を通して探り続けていきたいと思います。

今回10月29日にリリースするアルバムは、その葛藤の中で今の自分なりの答えを詰め込んだ作品でもあります。
“和と多ジャンルの融合”をテーマに、音楽だけでなくジャケットやミュージックビデオ、付属のグッズに至るまで全体を自己プロデュースしました。
新たな挑戦の第一歩として、結果がどうであれ、アーティストとしての歴史に刻みたい一枚です。
音楽大学で学んだクラシック、この10年間培ってきたロック、幼少期から親しんだジャズなどをはじめ、
あらゆるジャンルと“和”を融合させた全15曲を収録しています。
雅楽や歌舞伎、お祭りなどに使用される和楽器なども幅広く取り入れたり、日本昔話をテーマにした曲もあります。
作詞・作曲の日々は刺激的で、レコーディングの時間は興奮の連続でした。

今作では、“和”を背負う素晴らしいアーティストの皆さんとの豪華なコラボレーションも実現しました。
リード曲「SAMURAI DIVA」では、東儀秀樹さんが篳篥や笙で参加。
オーケストラとロックが交錯する中で、その音色が鮮烈に響きます。
作詞は私、作・編曲はアニメ界の巨匠・田中公平さん(『ワンピース』『サクラ大戦』『笑ゥせぇるすまん』など)が手がけてくださいました。
また、昔話「さるかに合戦」をテーマにした楽曲では、ORANGE RANGEのHIROKIさんとラップと歌で新たな表現に挑戦しています。
ぜひ、多くの方にこのアルバムを、“和の新しい表現の提案”として聴いていただけたら嬉しいです。

アルバム情報
『SAMURAI DIVA』2025年10月29日 発売決定!

ジャンルを超え、降臨。
《SAMURAI DIVA》――それは、和を纏い時代を斬る声。

和×ロック、和×JAZZ、和×クラシック、和×メタル、和×EDM…
あらゆる音楽を切り結び、“和”の力と美しさで昇華した唯一無二のサウンドの世界。

このアルバムのために制作された新曲の数々に加え、ファンのリクエストで選ばれた楽曲、そして音源化が期待されていた「泥棒猫」をはじめ他数曲収録予定!

2025年10月29日――9年の時を経て、魂のソロアルバム、ついにリリース!

          

価格:¥3,500(税込)        価格:¥11,000(税込)      価格:¥9,900(税込)

▼詳細はこちら▼
https://yuko-suzuhana.com/news/250627/

ライブ情報
鈴華ゆう子 LIVETOUR2025『SAMURAI DIVA』〜東名阪台ノ陣〜

ソロ初の全国ツアー、鈴華ゆう子 LIVE TOUR 2025『SAMURAI DIVA』〜東名阪台ノ陣〜チケット先行抽選受付中!

新アルバム「SAMURAI DIVA」を引っ提げ、あらゆる音楽を“和”の力と美しさで昇華する、唯一無二のサウンドを、ぜひ会場で体感してください。

▼詳細はこちら▼
https://yuko-suzuhana.com/news/250801/

◆公演情報◆

【大阪公演】
日時:2025年11月1日(土) 開演 17:30
会場:TEMPO HARBOR THEATER

【名古屋公演】
日時:2025年11月15日(土) 開演 17:30
会場:インターナショナルレジェンドホール

【東京公演】
日時:2025年11月22日(土) 開演 17:30
会場:日経ホール

【台湾公演】
日時:2025年12月6日(土)
会場:CORNER HOUSE
第一部 開演:13:30
第二部 開演:18:30
※台湾公演のチケットは、国内公演とは発売元が異なります。

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和ノ音日和

詩吟と音楽。古典と現代。二つの世界をつなぐ架け橋として生きる、鈴華ゆう子。

伝統とポップカルチャーのあいだを行き来しながら、
それぞれの世界で得た気づきや想いを、等身大の言葉で綴っていきます。

音楽が好きな方から、伝統芸能をちょっと覗いてみたい方まで。
"表現"や"文化"の本質に、そっと触れられるようなエッセイです。

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鈴華ゆう子 シンガーソングライター/詩吟師範

和楽器バンドのボーカル(リーダー)を務め、メンバーを集めてバンドを立ち上げた発起人でもある。

3歳よりクラシックピアノ、5歳より詩吟・詩舞・剣舞を始める。
東京音楽大学器楽(ピアノ)専攻卒業。中高音楽教員免許の取得などを通じて、教育分野にも深く関わっている。
2011年、コロムビアレコード全国吟詠コンクールにて一位を獲得。2025年には吟道鈴華流を創流し 宗家「鈴華慶晟」としても活動している。

また、企画力に優れたアイディアマンとして、楽曲提供など創作面でも多彩な活動を展開し、音楽イベントをはじめとする各種プロデュースも手がけ、アーティストのプロデュースにも携わる。
2024年には音楽への想いを自らの言葉で綴った一冊初の著書『唄いろは』を出版。
声優やラジオパーソナリティとしても活動し、幅広い表現の場で実績を重ねてきた。

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