
幼い頃に見た30代の大人は、今の自分よりも大人びていたように見えた。
それは何も見た目に限った話ではなく、佇まいや話し方など、もっと大人大人していた記憶がある。
私は30代になってしばらく経つが、見た目や体力が老いただけで精神年齢は18歳の当時、いや……。もっと前から何も変わっていないように感じる。
(もちろん様々な事象や人に触れて、多様な価値観を受け入れられるようになってはいるが。)
だからこそ10代~20代の頃の感覚と変わらず、30代の私は今もあの頃の夢を追いかけている。むしろ夢を諦めるタイミングがわからないのだ。
それは何も過去の夢に囚われている訳ではなく、まだその夢を掴みたいという一心で、まだその夢が叶うと思っているからだ。
一方、“将来の夢”はいつから“将来”の夢でなくなるのか、わからないでいる。
夢が叶う“将来”がまだ訪れると信じて疑わない10代~20代の頃の気持ちのまま。
しかし幼い頃思い描いていたよりも、予定していた将来、30代はあっという間に来てしまった。とっくにその“将来の夢”を叶えているはずの年齢も過ぎ去った。
それでもなお“将来の夢”を掲げて変わらずに今を生きているのは、「現実を見ない方が楽だから」でしかないのかもしれない。
いや、自分で核心を突く自虐行為はこの辺にしよう。
こんな事は心のどこかで感じつつも、夢を追っている今を心から幸せを感じているのも事実だ。
『良いこと悪いこと』(日本テレビ)のニコちゃん(松井玲奈)のように、過去の夢がまたどこか違う形のステージで花開くチャンスが巡ってくるかもしれない。
そう、生きていれば。
残念ながらニコちゃんは“望んではいない形のスポットライト”に照らされて、その生涯に幕を閉じたのだった。
その直前、ニコちゃんはどの子(新木優子)に過去のいじめについての気持ちを述べた。ニコちゃんは過去のいじめについて正直よく覚えておらず、当時のことを心から謝ることはできないと言い放つ相変わらずの態度であった。しかし自身のうまくいっていない現状と、どの子の順風満帆な現状を対比し、その違いは“執念深さ”だと結論づけ、ニコちゃんはうまくいかない現状と頑張れなかった過去を悔やんだ。
過去のいじめについては謝れないながらも、罪滅ぼしの現れか、恋人の所持する違法薬物に関する資料をどの子に渡したニコちゃん。これはニコちゃんだから出来る精一杯の贖罪だ。と同時に、2話を通して積み重ねられたニコちゃんの“死亡フラグ”が最高到達点を迎えたのだ。
1話では同窓会にも参加せず、その姿は殆ど見ることができなかったニコちゃん。かと思えば2話では出ずっぱり。そして悪態を撒き散らす。
「ニコちゃんの出番、今夜限りです!」と言わんばかりの流れに、おいおい大丈夫か……と思っていたところに極め付けの改心ムーブ。
悪かったやつが突然改心して良い動きをすると、ドラマでは大抵死ぬ。
そして繋がった「童謡:森のクマさん」の替え歌に出てくる6人の名前が、殺害の順番になっているということ。
嗚呼、終わった。
しかしステージ上でのスポットライトを回避したニコちゃん。どうやって殺害されるんだ? と思っていたところに、想像の斜め上をいくトラックのヘッドライトに照らされて歌を口ずさみながら轢かれるという最後。
かなりの拘りよう……。
脚本……。いや真犯人すごいなと。
真犯人と実行犯が分かれている説は消えた?
真犯人は小学生の頃に描いた“将来の夢”になぞらえた殺害方法を一貫しているという点。かなりの執着だ。
真犯人はステージ上での殺害を計画しているかと思われたが週刊誌の潜入によりステージには立たなかったニコちゃん。それにより殺害方法を変えたのか、初めからトラックに轢かれるよう計画していたのかは不明だ。
しかしより忠実に“将来の夢”を再現するのであれば、ステージ上でニコちゃんの頭上に照明機材を落とすなどの方法があったはずだ。そう考えると、殺害方法を急遽変更したと考える方が妥当ではないか。
以前の考察では、真犯人の他に実行犯がおり、その実行犯が直接手を下しているのではないかと考察した。しかし、急遽変更した計画を真犯人が実行犯に伝え実行してもらうのは、かなりのタイムラグが生じ、失敗の危険性や犯人がバレるリスクが高くなるだろう。
よって真犯人の他に実行犯などおらず、ニコちゃんがステージに立たなかったことにより、真犯人が自ら機転を利かせ“トラックのヘッドライトをスポットライトに見立て殺害した”という推理の方が現実味があるのではないかと考えられる。
ではその真犯人……。現在の考察では一体誰なのか?
ターボー(森本慎太郎)怪しくなってきたなと。
ターボーも同窓会不参加メンバーのため、しっかり登場するのは今回がはじめてであった。
海外で働くターボーだが、新規事業の会見があり、“つい最近日本に帰ってきた”というのだ。
つい最近……?
なんともふわっとしたこの表現も気になり、具体的な日付は不明だが、同窓会でその会見が話題にならない違和感も感じる。もう一人のメディアに出ている同級生であるどの子はかなり話題にあがり、もてはやされた。メディアへの露出度や知名度は違えど、メディアに出たターボーが会見をしたことなど話題になってもいいはず。
そしてカンタロー(工藤阿須加)へのお見舞いの態度も気になる。一切心配している様子がないのだ。
そして医師に面会を拒否されるも、カンタローの容態を聞くこともせずあっさり引き下がったターボー。そういった違和感や、日本でのアリバイが不透明な点からも犯行が行えそうなターボーが真犯人である可能性は十分あるのではないかと考えられる。その動機は不明だが、どうやら第3話ではそんなターボーに疑惑が向くようだ。
あれ? ミステリードラマのセオリー的には一度疑われ、その疑いが晴れた人物は犯人ではない可能性が高いが……。
安心して欲しい。
過去に途中で疑いが晴れた人物が真犯人だったこともあった。そして日々ミステリードラマはアップデートされている。
上記の疑惑が晴れない限りは、いや晴れても、疑いの目を向けていい人物の一人であることは間違いないだろう。なんせ森本慎太郎氏の知名度が高いのだから。(※これは俗にいう知名度考察である。知名度が高い俳優は重要なポジションを与えられるため、真犯人である可能性が高い。覚えておくように。ん? そんなの考察でもなんでもないって声が聞こえたが、そんなことはわかっている。)
第1話で疑った委員長(藤間爽子)も第2話は出番がなく、疑うにも疑えない状況だ。連続殺人も折り返しを迎えるであろう第3話がどう動くのかで今後の考察の指針が決まると思うので、第3話はかなり注目だ。
••┈┈┈┈•• ドラマ情報 ••┈┈┈┈••
日本テレビ『良いこと悪いこと』( 毎週土曜夜9時~)
出演:間宮祥太朗、新木優子、森本慎太郎(SixTONES)、深川麻衣、戸塚純貴、剛力彩芽、木村昴、藤間爽子、工藤阿須加、松井玲奈、稲葉友、森優作、水川かたまり(空気階段)、徳永えり、木津つばさ、玉田志織、秋谷郁甫、田中美久、宮崎莉里沙、赤間麻里子
チーフプロデューサー: 道坂忠久
プロデューサー:鈴木将大、妙円園洋輝
脚本:ガクカワサキ
演出:狩山俊輔、滝本憲吾、長野晋也
音楽: Jun Futamata
制作協力:ダブ
制作著作:日本テレビ
主題歌:ポルノグラフィティ『アゲハ蝶』(Sony Music Labels)
著者:ケメ・ロジェ
イメージイラスト:サク
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3人組ドラマ考察系YouTuber 6969b(ろくろっくび)による考察記事の連載がスタート!
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