一日一冊読んでいるという“本読み”のアルパカ内田さんが、幻冬舎の刊行作品の中から「今売りたい本」を選び、そして“POP職人”としての腕を振るって、手描きPOPも作ります。
そして、アルパカ内田さんへの「オススメ返し」として、幻冬舎営業部の人気者・コグマ部長からも、一冊ご紹介。
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元カリスマ書店員でPOP職人のブックジャーナリストが売りたい本
第19回 真下みこと『わたしの結び目』
こんにちは。読みました。まことに見事な物語に大満足のアルパカ内田です。
なんとも鮮烈な印象を放つ一冊だ。中学二年生という微妙な年頃の揺れ動く心模様が赤裸々に再現されている。淡い光の中にあった深い闇。心の奥底で眠っていたセピア色の記憶が鮮やかな色を帯びて蘇ってくる。
少女たちの苛烈な心の葛藤を描いた物語であるが、実は年齢も性別も関係ない。目には見えない人間関係に多くの人が悩まされたであろう。重苦しい学校の空気を知るすべての者に大いなる普遍性が感じられるはずだ。
転校生の素朴な不安。菊の花がメッセージとなった教室に隠された秘密。孤独の寂しさや喪失の哀しみを埋めるための友情が、いつしか歪んでバランスを失ってしまう。思春期の小さな背中には重たすぎる十字架が物語の随所から見えてくる本書は、理不尽でミステリアスな社会の象徴でもあるといえよう。
初めてリボンを、ネクタイを結んだ日はいつのことだろうか。そして誰からその結び方を教わったのかも思い出してほしい。胸元の「結び目」は人との絆そのものであり、さらにその変化こそが成長の証ともいえるかもしれない。過去と現在を固く結びつけたこの作品は多くの読者と繋がるに違いない。
爽やかなだけが青春じゃない。誰もがたくさんの苦しみや痛みを背負って生きている。際どくもあれば危うくもある。残酷な現実を経験した者ほど射しこむ光は美しく見える。ガラス細工のように繊細で真綿のように温かい。まったく偽りのないピュアな血潮がここにある。
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アルパカ通信 幻冬舎部
元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。
幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!
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