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礼はいらないよ

2022.11.15 更新 ツイート

トランプ前大統領の重大発表とは?「アメリカと完全に一致」と言い続ける日本の意味不明 ダースレイダー

(写真:iStock.com/wildpixel)

アメリカで2022年の中間選挙が行われた。日本では特に政府の姿勢として、「アメリカと完全に一致」という言葉が簡単に使われる。「唯一の同盟国」なる言葉もよく出てくる。

 

今の国際秩序の前提となるのは日独伊3カ国が戦争に敗れて出来たものだし、アメリカは直接日本を占領していた国だ。いまだに国連には敵国条項が存在し、その敵国とはそもそも日独伊を指す。そんな前提を考えるだけでも、日米が”完全に一致”という言葉は意味不明なわけだが、そもそもその一致する相手としてのアメリカを日本側はどう考えているのか? 

アメリカの分断がいわれて久しい。トランプ政権以降に顕著になっただけで分断の傾向そのものはもう20年以上前から指摘されてきている。トランプが分断の原因なのではなく、むしろ分断の帰結としてトランプ的なものが出現したのだ。そして、今では赤(共和党)と青(民主党)の分断は、ほぼどんな論点でも合意出来ないほどに進んでいる。

アメリカという一つのゲーム盤の上でどのような意見が大勢を占めるかというゲームが行われていたのが、そのゲーム盤ごと真っ二つに割れてしまい、お互いに自分たちのルールでゲームを進めるようになってしまった。かつて南北戦争で真っ二つに分かれたゲーム盤を一つにする試みは為されたわけだが、今はまた似た状況になっているといえる。1.6 議場乱入はまさにゲーム盤が割れた瞬間といえるだろう。

さて、日本が完全に一致しているのはどこなのか?

中間選挙とはそもそも大統領就任の2年目のタイミングで行われるので、政権運営に対する審査的な側面がある。上院下院の連邦議員、州知事や州務長官、州議会の選挙も併せて行われる。アメリカでは大統領は任期4年、上院は任期6年で2年ごとに三分の一改選、下院は任期2年で全員改選だ。選挙期間がずらされているのは大衆人気のみで全体が決まるのを避ける仕組みで、民主主義というシステムの弱点の一つであるポピュリズムへのブレーキが最初から組み込まれているといえる。

さて、この中間選挙では傾向として政権与党が負けるというデータがはっきり出ている。そのため、大統領の後半2年は政権と議会でねじれが生じ、政治的には停滞してしまう。近年ではジョージ・W・ブッシュの1期目が例外的に与党勝利となっている。これは9.11翌年、テロとの戦争を打ち出していた政権の支持率が高かったためだ。

アメリカ国内の報道でもこうした前提を踏まえて事前予測を立てていたが、右派はさらに強気な「Red wave(赤い波)」、つまり野党共和党の圧勝を予言していた。ところが蓋を開けてみたら上院は民主党が過半数を維持、下院も執筆時点では情勢は確定していないが共和党の大勝とは程遠い内容だった。

ここで面白かったのが中間選挙を巡る日本の報道だ。毎日新聞ではワシントン支局の秋山信一記者は、開票開始早々に共和党のトランプが推薦した候補が次々と当選し、次期大統領選への布石を打ったと報じた。結果が徐々に判明してからも共和党寄りの論調は変わらず、上院で民主党が過半数を取った後も民主党が完敗から逃れたという言い方で報じている。

これは誤報ではない。秋山記者の記事は共和党サイドから見た選挙結果と一致しているのだ。日本の安倍政権時代のトランプ政権との親密さは国際的にも評判になるほどであり、安倍氏逝去の折の海外メディアの評伝でもこの点は強調されていた。日米の完全なる一致という言葉がかなり政権レベルではしっくり来ていたともいえる。日本国内でもトランプを(他国の大統領なのに)支持する人がいることも話題になっている。

さてCNNやニューヨークタイムズ、ワシントンポストなどの誌面では選挙分析が始まっているがトランプに関しては次期大統領への布石どころか、11月15日に共和党圧勝を受けての大統領選への出馬宣言が延期される可能性まで指摘されている。トランプ推薦候補は多数いてたしかに当選もしているが極端な候補たちは落選している。選挙否定派と呼ばれる「2020年のバイデン大統領当選」を認めない主張をしている人たちだ。

こうした主張も共和党というゲーム盤の中では一定の支持を得ていたわけだが、自分に不都合な選挙結果を受け入れない候補が選挙で勝つという滑稽すぎる状況は大局的には避けられた。今回の選挙では人工妊娠中絶に関する最高裁判決も影響して若い有権者の多くが民主党に投票したのが事前予想を翻したともいわれている。さて、日本はどちらと完全に一致していくのか?

統一教会問題を巡って、立憲民主党の打越議員が山際元経済再生担当大臣に統一教会の信者かどうかを問い質した国会質疑が話題になった。アメリカでは、政治家は自身のプロフィールに信仰する宗教を明示している場合が多い。単純にその方が選挙に有利なのと政治家が良心に従って政策を行う場合の良心の拠り所を明示することが有権者にとっては有益な情報だと考えるからだ。

トランプ政権のペンス副大統領は自身がキリスト教福音派であることを明示している。福音派の考えによれば、地球で温暖化が起きようが災害が起きようがそれは神の思し召しであり、神を信仰している自分たちだけは何があっても天国に行けるという。彼らは進化論も信じていない。こうした宗教右派は地道な政治活動を続けていて現在の共和党の強力な支持基盤にもなっている。もう一度考えてみたい。日米が完全に一致する、とはどういう意味なのか?

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ヒップホップは逆転現象だ。病、貧困、劣等感……。パワーの絶対値だけを力に変える! 自らも脳梗塞、余命5年の宣告をヒップホップによって救われた、博学の現役ラッパーが鮮やかに紐解く、その哲学、使い道。/構造の外に出ろ! それしか選択肢がないと思うから構造が続く。 ならば別の選択肢を思い付け。 「言葉を演奏する」という途方もない選択肢に気付いたヒップホップは「外の選択肢」を示し続ける。 まさに社会のハッキング。 現役ラッパーがアジテートする! ――宮台真司(社会学者) / 混乱こそ当たり前の世の中で「お前は誰だ?」に答えるために"新しい動き"を身につける。 ――植本一子(写真家) / あるものを使い倒せ。 楽器がないなら武器を取れ。進歩と踊る足を止めない為に。 イズムの<差異>より、同じ世界の<裏表>を繋ぐリズムを感じろ。 ――荘子it (Dos Monos) / この本を読み、全ては表裏一体だと気付いた私は向かう"確かな未知へ"。 ――なみちえ(ラッパー) / ヒップホップの教科書はいっぱいある。 でもヒップホップ精神(スピリット)の教科書はこの一冊でいい。 ――都築響一(編集者)

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礼はいらないよ

You are welcome.礼はいらないよ。この寛容さこそ、今求められる精神だ。パリ生まれ、東大中退、脳梗塞の合併症で失明。眼帯のラッパー、ダースレイダーが思考し、試行する、分断を超える作法。

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ダースレイダー ラッパー・トラックメイカー

1977年4⽉11⽇パリで⽣まれ、幼少期をロンドンで過ごす。東京⼤学に⼊学するも、浪⼈の時期に⽬覚めたラップ活動に傾倒し中退。2000年にMICADELICのメンバーとして本格デビューを果たし、注⽬を集める。⾃⾝のMCバトルの⼤会主催や講演の他に、⽇本のヒップホップでは初となるアーティスト主導のインディーズ・レーベルDa.Me.Recordsの設⽴など、若⼿ラッパーの育成にも尽⼒する。2010年6⽉、イベントのMCの間に脳梗塞で倒れ、さらに合併症で左⽬を失明するも、その後は眼帯をトレードマークに復帰。現在はThe Bassonsのボーカルの他、司会業や執筆業と様々な分野で活躍。著書に『『ダースレイダー自伝NO拘束』がある。

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