
母本人が覚えていることは少ないままだが、ここ数日、とくに大きな事件はない。メモリークリニックに連れていった時、「先生、何かのきっかけで思い出すことってあるんでしょうか」と母は医師にいきなり質問したが、会話は成り立っていた。私も最近ようやく、「デイサービスでお風呂に入ってきたでしょう」「入ってない。あそこにお風呂なんてない」と言い張る母との無限ループを避ける方法を思いついた。
* * *
2021年4月12日 月曜日
<介護166日>
前回カットしたときは翌日に、「いつの間にか髪が短くなっている」と大騒ぎになったが、今回は、切ったことは覚えていた。しかし、どこで切ったかは忘れ、そのあと、蕎麦屋に行ったことも覚えていない。自分が考えていたより短くなったことへの不満は消えていない。
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時をかける老女

91歳の母親と、33年ぶりに一つ屋根の下で暮らすことになった。この日記は、介護殺人予防のために書き始めたものである。
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