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時をかける老女

2023.06.13 公開 ポスト

#54

認知症の母は咲いている花が「つつじ」だと分かるが、花に興味のない息子は「つつじ」だと分からない中川右介

2022年4月16日 土曜日

〈介護537日〉

昨日混乱したことなど忘れ、何の疑問もなく、デイサービスへ。

阪神の試合が終わる頃、帰ってくる。「ドラえもん」を見ながら、夕食。

そのあとのニュースで、大谷のホームランのシーンが映ると、「この人、うまいわね」と感心していた。母にも分かるくらい、大谷はすごいということだ。

「今日は疲れたけど、お風呂に入りたい」と言うので、入浴。18時就寝。

4月17日 日曜日

〈介護538日〉

朝食後、出かける準備をしてしまう。日曜日でデイサービスはないと分かると、「したくして、損した」と悔しがる。

午前中も午後も、寝ていた。16時過ぎ、起きてくる。テレビは野球。

「野球なんて、面白がるのは、男の子だけね」「最近は女のお客さんも多いよ」「どこが面白いのかしら」と言いながら、誰かが打つたびに「よく当たるわね」と感心。

入浴なし、18時就寝。

4月18日月曜日

〈介護539日〉

昼食後、特養へ連れて行き、2泊のショートステイ。介護休暇に入る。横浜へ行く。

「十大交響曲」の念校がメールで届くのを待ってから出かける。だいたい、この日にこの本は終わると目処が立った時点で、ちょうど、阪神も横浜で試合なので、横浜のホテルを予約しておいた。ホテルに着いて、ゲラのチェック。週刊誌のゲラも届き、それも片付ける。

介護は休んだが、仕事は休みにならなかった。

4月19日火曜日

〈介護540日〉

午前中は横浜から藤沢のクリニックへ。月に一度の経過観察。

夜は横浜スタジアムへ。試合は、最初はよかったが、逆転されると、再逆転の雰囲気はなく、敗北。

4月20日水曜日

〈介護541日〉

10時に横浜を出発し、11時半に帰宅。まず、帰りの車中に届いたゲラをプリントして、読んで、戻す。

12時に特養へ母を迎えに行って昼食。面倒なのでコンビニで買ってくる。

留守中に届いた郵便、荷物、新聞を読んで、ひとやすみ。

夕食。18時就寝。

4月21日 木曜日

〈介護542日〉

久しぶりのデイサービスへ。桜が散ったことは分かる。咲いていたことも。

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時をかける老女

91歳の母親と、33年ぶりに一つ屋根の下で暮らすことになった。この日記は、介護殺人予防のために書き始めたものである。

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中川右介

一九六〇年東京都生まれ。編集者・作家。早稲田大学第二文学部卒業。出版社勤務の後、アルファベータを設立し、音楽家や文学者の評伝や写真集を編集・出版(二〇一四年まで)。クラシック音楽、歌舞伎、映画、歌謡曲、マンガ、政治、経済の分野で、主に人物の評伝を執筆。膨大な資料から埋もれていた史実を掘り起こし、データと物語を融合させるスタイルで人気を博している。『プロ野球「経営」全史』(日本実業出版社)、『歌舞伎 家と血と藝』(講談社現代新書)、『国家と音楽家』(集英社文庫)、『悪の出世学』(幻冬舎新書)など著書多数。

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