1. Home
  2. 生き方
  3. キリ番踏んだら私のターン
  4. 結婚した途端、「旦那」の付属物にされるこ...

キリ番踏んだら私のターン

2021.11.10 更新 ツイート

結婚した途端、「旦那」の付属物にされることについて 長井短

すっかり冬ですがみなさんいかがお過ごしですか? 

私は着る毛布をきてぬくぬくしながら、漫画を読んでニヤニヤしています。超楽しい。

緊急事態宣言も明けて、少しずつ人に会う機会も増えてきたね。人に会うのはやっぱり楽しい。のだけど、やっぱりダチ以外と会うと色々思うこともあるわけで、最近もっぱら私が気になっちゃうのは「短ちゃんってごはんとか作るの?」からの「旦那さんのために?」というコンボだドン!!!!!!! 

言いたいことは、もうわかるな?

 

メシを作るのは生存本能だろ?

「ご飯とか作るの?」って質問自体は、とてもありふれたもので、世間話の代表格とも言える。この質問は独身時代もたびたび投げかけられるもので、実際私も「一人暮らししてる」と言う相手に聞くことが多い。

まぁでももしかしたらこの時点でも、女性は聞かれることが多くて男性は聞かれることが少ないっていうズレが起きているのかもしれないけど、少なくとも私の周りの世界では、男女どちらも「作ってる?」って聞き合って、お互いのおすすめ超簡単ご飯を紹介しあっていた。人から聞く簡単テクは面白いし、作ってみると美味しいし良いことだらけである。

さぁさぁさぁ一方だよ!!

結婚した途端!

このハッピーな会話にはクソみたいなおまけが付く。「旦那のために作ったりするんだ?」という謎フレーズだ。私はこれを言われるたびに「いや別に(笑)食いたいんで(笑)」とか言って小さく反撃するのだけど、反撃したところで相手は不思議そうに首を傾げるだけだ。

この手の質問をしてくる人は、ほぼ確実に「旦那」という言葉を使う。「パートナー」とか「夫」という言葉に置き換えられて同じ質問をされたことはない。

まぁなんか、だよね~。

久しぶりに映画館で映画を観た。すっごい良かった。すっっごい良かった。

別に好きな言葉を使って話してもらって全然おけなんだけど、「旦那」とか「奥さん」という言葉を使う相手には身構えてしまう。「ショッキングな発言を投げかけられる可能性があります」って警告が脳内で流れるのだ。その警告は大体当たる。「旦那のためにご飯作るの?」という質問が私の心をかき乱す。

もちろん、夫のために夫の好物を作る日もある。でも基本的には、私も夫もお前も俺も食わないと死ぬので、死ぬから作ってんだよ。当たり前だろ。夫を死なせないため以前に私が死ぬから作ってんの! 

それは夫にも言えることで、彼も死なないためにご飯を作る。時々私の好物を私のために作ってくれることもある。でもどちらにせよ根底にあるのは「食べないと死ぬ」っていう生存本能なはずだ。愛以前のお話で、愛するために食べものを作っているといってもいい。

少年ジャンプがモヤモヤの正体を教えてくれました

でもここで「いや自分のために作ってます!」と言い切るのにも正直違和感がある。

だって、そりゃやっぱり作る時に夫のことを考えるし、そういう意味では「夫のために作っている」とも言えるのだ。一人だったらここまでやらないけど……ってメニューが生まれたりもする。

そういう愛情をないものにしたいわけじゃない。夫のためって、言えるけどなんか違うという機微を伝えるほど真剣に会話をしていないから、私はヘラヘラ反撃するに留まってしまう。

じゃあどうしてこんなに「旦那のために作っている」と捉えられることが嫌なんだろう。どうしてこんなにカッとなるんだろう。その理由を教えてくれたのは、なんと週刊少年ジャンプでした。

週刊少年ジャンプ47号に掲載されている読切漫画。一ノへ作「失恋ビギニング」

電子版なら今からでも買えるので是非みなさん読んでみてください。拙いですがあらすじを……

 

漫画家を志す高校2年生、鬼門おうが君の学校にはハーレムが存在していて、モテモテのきりん君は三人の個性豊かな女の子にモテている。鬼門君はラブコメが嫌いだけど、漫画家として視野を広げようとこの典型的なハーレムを観察し始める。そこに現れたのは、物語では絶対にヒロインになり得ない’’負けヒロイン’’の田北玄子だった……

 

というわけで、少年漫画伝統のハーレム学園ものを、俯瞰から見つめる少年が主人公の漫画なのだ。超面白そうでしょ? 

超面白いんだよ!! そして今作のヒロイン(と呼んでいいのか?)田北玄子は圧倒的に地味で、ほんと、負けヒロインなの。このセットアップから物語がどう展開していくのかは是非みなさん購入して読んでほしいんですが、本当に素晴らしい、目の覚めるような台詞があって、それを紹介させてください。主人公の鬼門君がラブコメを嫌いな理由を語り出すのです。

「それでも俺は ラブコメって嫌いなんですよ

脇役(読み仮名ヒロイン)が 魅力的じゃないんですよね

自分が主役の人生なのに みんな主人公のことしか見てないから」

(一部省略)

「みんな 自分の物語の魅力的な主人公になれてたのに

なんで主役じゃなくて 脇役を目指すんですか」

これだよこれこれこれ!!!!! 

私は恋をしようが結婚しようが、どうなっても自分の人生の超絶主人公をやってるつもりなのに、なんで外野が私をヒロイン=脇役みたいに扱うわけ? そこが気に入らないんだよ! 

少し前に、渋谷パルコに八代亜紀さんのデコトラが来てた…凄すぎる…レコードも買ってしまった…好き…

確かに私は結婚したし、夫のこと好きだけど、だからって夫のことだけ見てるわけじゃないし、超自分のこと見てるっつんだよ。私と夫は別に一つじゃない。お互いのために生きる瞬間もあれば、そうじゃない瞬間もあって、主演作と別にもう一本、ダブル主演の作品を作ることにした同志なのだ。

一ノへ先生のおかげで怒りの理由がわかった私は、これから先また同じような質問をされたら、普通に「そういうんじゃないです」と言おうと決める。私の人生は私のものだ。そのことを、わかってもらわないといけない。

苗字を変えたからって、人生まで変わるわけじゃないと教えなくちゃいけない。ありがとう一ノへ先生。こんな素晴らしい漫画がジャンプで読めるなんて、少しずつだけど、世界はいい方向に進んでいる。

{ この記事をシェアする }

キリ番踏んだら私のターン

相手にとって都合よく「大人」にされたり「子供」にされたりする、平成生まれでビミョーなお年頃のリアルを描くエッセイ。「ゆとり世代扱いづらい」って思っている年上世代も、「おばさん何言ってんの?」って世代も、刮目して読んでくれ!

※「キリ番」とは「キリのいい番号」のこと。ホームページの訪問者数をカウントする数が「1000」や「2222」など、キリのいい数字になった人はなにかコメントをするなどリアクションをしなければならないことが多かった(ex.「キリ番踏み逃げ禁止」)。いにしえのインターネット儀式が2000年くらいにはあったのである。

バックナンバー

長井短

1993年9月27日生まれ、A型、東京都出身。

ニート、モデル、女優。

恋愛コラムメディア「AM」にて「長井短の内緒にしといて」を連載中。

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP