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血圧を最速で下げる

2020.09.16 公開 ツイート

カロリーオーバーの盲点は「おかずの品数」 奥田昌子

食事や運動、生活習慣によって血圧を正しく効率的に下げる方法を説く『血圧を最速で下げる』(奥田昌子氏著)が発売即重版となり話題を呼んだ。ここでは本書の一部をご紹介する。血圧を下げるために絶大な効果を発揮するのは、なんと減量だった!

*   *   *

(写真:iStock.com/Ljupco)

新たな難敵「食べすぎ高血圧」

「食べすぎ高血圧」とは、ようするに肥満による高血圧ということです。
さいわいなことに、減量すれば血圧はたいてい下がります
45~66歳の高血圧患者さんあわせて2100人を対象とする8つの調査を総合的に分析した研究からは、約4kg減量するだけで上の血圧が4.5ミリ、下が3.2ミリ下がることがあきらかになっています。

理想は20歳のときの体重に戻すことです。人の体は20歳前後にできあがるため、それ以降増えた体重はほとんどが余分な脂肪だからです。
高血圧と診断を受けている人が、20歳のころの体重まで減らして必要な減塩をおこなえば、半数以上の人が薬を飲まなくてもよくなると考える専門家もいるくらいです。

余分なひとくちを削れば6kg減

ただし、まずは現実的な目標として、体格指数(BMI)でぎりぎり普通体重に入るレベルを目指しましょう。こちらの式を見てください。男女共通です。

身長(m)×身長(m)×25=目標体重(kg)

現在、身長が170cmで体重が78kgの人なら、目標体重は約72.3kgとなり、いまより6kg減らせばよいことになります。

一気に下げるのは体にとって負担なので、毎月2kgまでの減量にとどめてください。6kgを3ヵ月以上かけて落とす計算です。
そのためには、1日あたりの摂取カロリーをどれくらい減らせばよいでしょうか。

減らしたい体重(kg)×25=1日に減らすべきカロリー(kcal)

6kg落とすのが目標の人は、1日の摂取カロリーをこれまでより150kcal減らせばよいのです。
ちょうどカステラ一切れくらいです。これならなんとかなりそうな気がしませんか。

(写真:iStock.com/yasuhiroamano)

「いや、自分は6kgじゃとうてい足りない」という人も無理は禁物です。まずは6kgの減量を目指しましょう。

運動によるカロリー消費は考えているより少ない

血圧を下げるには運動が欠かせません。けれども、こと減量に関しては、運動だけで達成するのは不可能といってよいでしょう。
運動によるカロリー消費は想像するより少ないからです。

(写真:iStock.com/zhudifeng)

たとえば体重70kgの男性が運動で150kcal消費しようとすると、ジョギングなら約12分、自転車なら30分、ウォーキングなら45分かかります。
これを毎日続けるのは、ちょっと大変です。

しかも、さわやかな汗を流して帰宅して、プリンを1個食べるか、ペットボトルのアイスティーを1本飲んだら、せっかくの150kcalが一瞬で帳消しです。これは厳しいですね。

カロリーオーバーの盲点は「おかずの品数」

運動はするにしても、減量の基本はやはり摂取カロリーを減らすことです。
まずは、これまで無駄に摂取していた150kcalを見つけてください。体重が気になっていながら落とせなかったのは、必ず何かを余分に食べているからです。
「そんなに食べてないんだけど」と言う人がよくいますが、体重計の数字を見れば、どこかに盲点があるのはあきらかです

探す手がかりは、お菓子、果物、アイスクリーム、乳製品、カロリーのあるペットボトル飲料、揚げ物、おかずの品数、飲酒などです。

(写真:iStock.com/kazoka30)

「おかずの品数」は少し意外かもしれませんが、あれもこれもと添えればカロリーオーバーします。
「健康によい」といわれる食品も毎日食べなくてもよいでしょう。そのせいで肥満したらむしろ逆効果です

つづけるコツは食事内容をメモすること

(写真:iStock.com/Pra-chid)

ここにあげた食習慣をすべてやめる必要はないので、ひとつだけルールを決めて実行してください
ペットボトルはカロリーのないお茶に変える、おかずは一汁二菜にする、平日は晩酌しない、お菓子、果物は3日に1度にする、という具合です。
この程度でも150kcalならラクに減らせます。

ここでおすすめなのが、食事の内容をカレンダーか手帳に書いておくことです。
人間は目の前のことに集中するようにできているため、おとといの食事内容となると忘却のかなたです。
「親子丼、味噌汁、漬け物」程度でよいでしょう。たくあんだったか、柴漬けだったかまでは書かなくてかまいません。
あとになってメモを見返すたびに発見がありますし、着実にやせていく自分の減量記録を見るのは楽しいものです

関連書籍

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奥田昌子『胃腸を最速で強くする 体内の管から考える日本人の健康』

消化管の病気を抱える日本人は1010万人にのぼる。最も多いがんも消化管のがんだ。ところが軽い胃もたれや下痢は「そのうちよくなるだろう」と見過ごされがちで、悪化はがんをはじめ重大な病気に直結する。最新の研究でわかった、強い消化管をつくるために欠かせない食事や生活習慣、ストレス対処法を解説。「管」のすべてが腑に落ちる。

奥田昌子『内臓脂肪を最速で落とす 日本人最大の体質的弱点とその克服法』

内臓脂肪をほうっておくと高血圧や糖尿病など生活習慣病はもちろん、さまざまながん、さらに認知症の原因になることがわかってきた。だが、体質だからと諦めるのは早い。内臓脂肪は皮下脂肪よりも落ちやすく、普段の食事や生活習慣の改善が減量に直結する。肉や炭水化物の正しい摂り方、脂肪に効く食材、効果抜群の有酸素運動などを、最新の論文をもとに解説。

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血圧を最速で下げる

2020年7月29日発売『血圧を最速で下げる 老化を防ぐ「血管内皮」の鍛えかた』(奥田昌子・著)の最新情報をお知らせします。

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奥田昌子

京都大学大学院医学研究科修了。内科医。京都大学博士(医学)。愛知県出身。博士課程にて基礎研究に従事。生命とは何か、健康とは何かを考えるなかで予防医学の理念にひかれ、健診ならびに人間ドック実施機関で30万人近くの診察にあたる。航空会社産業医を兼務。著書に最新刊『血圧を最速で下げる』のほか、10万部を突破した『内臓脂肪を最速で落とす』や、胃腸を最速で強くする欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』『日本人の病気と食の歴史などがある。

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