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血圧を最速で下げる

2020.09.12 更新 ツイート

減塩を心がけている人がハマりがちな落とし穴 奥田昌子

食事や運動、生活習慣によって血圧を正しく効率的に下げる方法を説く『血圧を最速で下げる』(奥田昌子氏著)が発売即重版となり話題を呼んだ。ここでは本書の一部をご紹介する。
塩からいものを食べると血圧が上がるというのはよく聞く情報だが、どういうしくみで血圧が上がるのだろうか?

*   *   *

(写真:iStock.com/LordHenriVoton)

塩で血圧が上がるという単純な事実

塩からいものを食べるとなぜ血圧が上がるのでしょうか。
その最大の原因は血液の量が増えることです。
地球の最初の生命は海で発生しました。そのため、人を含めて動物はすべて、塩に含まれるナトリウムなしでは体の機能を維持することができません。
体重60kgの人なら、体内に塩を約200gたくわえているとされています。

血液の塩分濃度はつねに一定の範囲内にたもたれていて、1Lの血液に約9gの塩が溶けています。
9gというと一般的なカレースプーンで3分の2杯くらいですから、意外に多いですね。
汗や涙はもちろん、骨にも塩が含まれており、血液中の塩分が少なくなると骨から塩が出ておぎないます。

塩からいものを食べたときのことを思い出してください。水を飲みたくなったでしょう。

(写真:iStock.com/kazuhide isoe)

体は血液の塩分濃度が上がったことに気づくと、水を飲ませて血液をうすめ、上がりすぎた塩分濃度をすみやかに下げようとするからです。
このときは細胞からも水が出て血液をうすめるのに協力するため、よけいにのどがかわきます。
これにより、血液の塩分濃度は適切な範囲まで低下しますが、同時に困ったことが起こります。
水が入ったぶんだけ血液の量が増えて、血管の壁にかかる血液の圧力、すなわち血圧が上がってしまうのです。
いうなれば電車の車両の大きさはそのままで、乗客が2倍に増えた状態です。

ラーメン1杯で血液が1リットル増える

塩分の多いものを食べると、血液はどのくらい増えるのでしょうか。
血液1Lには塩が約9g溶けるようにできているため、仮に塩を4.5g余分に摂取したら、血液は約500ml、よくあるサイズのペットボトル1本分増えることになります。
塩4.5gといえば、お店によって差はあるものの、牛丼とか冷やし中華1食に含まれるくらいの量です。

(写真:iStock.com/GI15702993)

ラーメン1杯には塩が8~9g入っていることもあり、そうなれば血液は1L近く増えます。

それでも、日常生活で塩からいものを食べてのどがかわいたときは、遠慮なく水を飲んでください
血圧は上がりますが、血液の塩分濃度が上がりすぎるほうが危険だからです。
まさしく痛しかゆしです。こんな事態をさけるには、味の濃い料理をはじめから食べすぎなければよいのです。

減塩を心がけている人がハマりがちな落とし穴

塩分ひかえめがよいと考えて、あれこれ気をつけている人は多いでしょう。出汁(だし)をきかせるとか、調味料を工夫するのはたしかに大切です。
しかし、気持ちとは裏腹に、実際にはほとんど減塩できていない例が少なくないようです。

高血圧と診断されている人たちにアンケートを実施して、「減塩を心がけている」と回答したグループと、「あまり気にしていない」と回答したグループの2つに分けて、実際の塩分摂取量を比較した調査があります。
このときは尿を24時間にわたって採取する方法で、塩分摂取量を厳密に推定しました。

その結果はどうだったでしょうか。
「気にしていないグループ」が塩を1日に平均10.6g摂取していたのに対して、「減塩グループ」は平均9.4gでした。その差わずか1.2gです
おそらく「減塩グループ」の人たちは、自分たちの塩分摂取量を6~7gと見積もっていたと思われます。
一生懸命気をつけているつもりでも、これではちょっと残念ですね。

味つけはそのままで減塩できる

この原因のひとつは、味の濃い薄いの判断を本人の感覚に頼っていることです。
高血圧と診断されている人はたいてい濃い味に慣れていて、ふつう程度に塩分を含むものを食べると物足りなく感じます。

たとえば、おなじみの減塩みそ。

(写真:iStock.com/Gyro)

塩分を通常のみその半分程度におさえた製品ですが、実際にできあがったみそ汁を調べると、お椀1杯に含まれる塩分量は普通のみそ汁と大差ないという話があります。
減塩みそがいけないわけではなく、無意識のうちにみそを多めに入れてしまいがちだからです。

それならみそを選ぶよりも、みそ汁の量をお椀半分にするほうが確実でしょう。
みそ汁とならんでやり玉にあげられがちな漬け物も、食べる量を半分にすれば体に入る塩分は半分になります。
減塩というと、味を薄くすることばかり考えがちですが、減塩の目的は体に入る塩の総量を減らすことです。
腹八分目にするだけで、味つけはそのままでも塩分を20%カットできます

卓上調味料は使い方ひとつで減塩可能

しょうゆやソースはどうすればよいでしょうか。

(写真:iStock.com/taa22)

料理に直接かけると皿の底にたまり、これを料理が吸ってしまいます。最初から小皿に入れておき、そこに料理をつけることにしましょう。
「使いたいのをがまんする」のではなく、「むだに使うのをやめる」ということです。
小分けパック1袋だけ使うと決めておく手もあります。
あの量が平均的な使用量だと思えば、日ごろ使いすぎているのがわかります。

マヨネーズ、ケチャップなどもご用心です。
これらの調味料は、しょうゆのように純粋に味をつけるためというより、基本的には、すでに味がついた料理の風味を増すために使うものです。
家庭で食べるときは、やはり小皿に入れるとよいでしょう。
サラダのドレッシングに関しては、各自でかけるより、事前にざっとあえたものを個々人の器に入れるほうが野菜全体にむだなく味がつき、使うドレッシングの量をおさえることができます

もうひとつ。酢を加えると塩味が引きたつので減塩につながります。
ただし、酢は酸味をわずかに感じる程度に加えればじゅうぶんです。
酸味が強くなると塩味をむしろ感じにくくなって、かえって塩がほしくなるようです。

関連書籍

奥田昌子『血圧を最速で下げる 老化を防ぐ「血管内皮」の鍛えかた』

「減塩すれば血圧は下がる」「少し高いほうが長生きする」「上と下の差が大きければ大丈夫」は全部ウソ! 本書では血圧を最速で下げる方法を最新研究から明らかにする。また血圧が上がると血管内部の膜(血管内皮)が傷つき劣化して、それが生活習慣病や全身の老化を招くとわかってきた。血管内皮を再生させて血圧を下げる食事や運動、生活習慣をていねいに解説。

奥田昌子『胃腸を最速で強くする 体内の管から考える日本人の健康』

消化管の病気を抱える日本人は1010万人にのぼる。最も多いがんも消化管のがんだ。ところが軽い胃もたれや下痢は「そのうちよくなるだろう」と見過ごされがちで、悪化はがんをはじめ重大な病気に直結する。最新の研究でわかった、強い消化管をつくるために欠かせない食事や生活習慣、ストレス対処法を解説。「管」のすべてが腑に落ちる。

奥田昌子『内臓脂肪を最速で落とす 日本人最大の体質的弱点とその克服法』

内臓脂肪をほうっておくと高血圧や糖尿病など生活習慣病はもちろん、さまざまながん、さらに認知症の原因になることがわかってきた。だが、体質だからと諦めるのは早い。内臓脂肪は皮下脂肪よりも落ちやすく、普段の食事や生活習慣の改善が減量に直結する。肉や炭水化物の正しい摂り方、脂肪に効く食材、効果抜群の有酸素運動などを、最新の論文をもとに解説。

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血圧を最速で下げる

2020年7月29日発売『血圧を最速で下げる 老化を防ぐ「血管内皮」の鍛えかた』(奥田昌子・著)の最新情報をお知らせします。

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奥田昌子

京都大学大学院医学研究科修了。内科医。京都大学博士(医学)。愛知県出身。博士課程にて基礎研究に従事。生命とは何か、健康とは何かを考えるなかで予防医学の理念にひかれ、健診ならびに人間ドック実施機関で30万人近くの診察にあたる。航空会社産業医を兼務。著書に最新刊『血圧を最速で下げる』のほか、10万部を突破した『内臓脂肪を最速で落とす』や、胃腸を最速で強くする欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』『日本人の病気と食の歴史などがある。

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