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血圧を最速で下げる

2020.09.10 更新 ツイート

高血圧改善の常識、じつはまちがいだらけ 奥田昌子

食事や運動、生活習慣によって血圧を正しく効率的に下げる方法を説く『血圧を最速で下げる』(奥田昌子氏著)が発売即重版となり話題を呼んだ。 ここでは本書の一部をご紹介する。
いま日本人をむしばんでいる「メタボ高血圧」とはいったいどんな病気だろうか?

*   *   *

(写真:iStock.com/takasuu)

日本でもっとも患者数の多い病気・高血圧

みなさんがこの記事に目を止めてくださったのは、健康診断で血圧が「高い」、もしくは「高め」と言われたからでしょうか。
「血圧を下げる薬を飲んでいるのに数値がなかなか安定しないから」とか、「この病気のことをもっと知りたいから」という人もいらっしゃるでしょう。

 

高血圧は正式には高血圧症といい、現代の日本でもっとも患者数の多い病気です。
そのため、私も日常診療や健康診断でみなさんのような人とお話しする機会がよくありますが、生活指導のむずかしさは医者泣かせです。
「血圧? 塩分はひかえめに。野菜を中心に。あと運動もだいじよね」と、自分から解説してくれる患者さん。
しかし、検査結果を見れば、そういう生活を送れていないのはあきらかです
テレビ、書籍、雑誌、新聞、クリニックやお役所に置かれたパンフレットなどを通じて高血圧に関する情報が大量に流れ、みなさん少々食傷ぎみ。
もはや慣れっこになっていて、まるで他人(ひと)ごとのように受けとめかたが軽いのです。

必要なのは減塩ではない

こういうときの私の切りふだは、「いえ、必要なのは減塩ではなく、その体重を落とすことです」ときっぱり言うことです。
減量カードをちらつかせると、患者さんはたいてい、「えっ、そうなんですか?」と敏感に反応します。
減塩しなきゃと思って、それなりに気をつけているんだけど、血圧はちっとも下がらない。なにかカンちがいしてたんだろうか?

(写真:iStock.com/sakai000)

減塩しなくてよいわけではありませんが、食事のポイントはほかにもありますし、減量と運動をさけて通ることはできません。
「でもね、運動といっても、散歩がてら町内をひと回りするのではだめですよ」と話すと、患者さんがぐっと身を乗り出します。「なにかコツがあるんですか?」。
ひととおり説明すると、自分だけが特別な秘密を知ったような気持ちになるのでしょうか、「今日はいい話を聞きました」と患者さんは満足そうです。

メタボ高血圧を退治せよ

そうなのです。気にしている人がこんなに多くて、情報がこんなにあふれているのに、高血圧ほど誤解と思いこみが多い病気はほかにないと思います。
「血圧が上がると頭がふらふらする」。そんなことはありません。
「薬は飲みはじめたらやめられない」。これまた間違いです。

 

かつて日本は塩分のとりすぎによる高血圧が多く、そのせいで脳の血管がやぶれて起きる脳出血は長らく日本人の死因第1位でした。
ありふれた病気だったために、思いこみや根拠のすくない民間療法もまた深く浸透し、根強く残っているのかもしれません。

 

その後、減塩が進んだことで「塩分とりすぎ高血圧」はかなり減少しましたが、いまも成人の約半数が高血圧に悩んでいます。
減塩の効果に下げ止まりが近づくなか、あらたな脅威が登場したからです。
それが、食べすぎなどを原因とする「メタボ高血圧」です。近年、お腹の脂肪、正確にいうと内臓脂肪が蓄積すると血圧が上がることがあきらかになっています。

(写真:iStock.com/spukkato)

血管の劣化が寿命をちぢめる

高血圧という病気の本当の顔も見えてきました。
ひとつは、高血圧はいわゆる中年太りや白髪、シワ、EDこと勃起不全、白内障、認知症などと同じく老化現象であることです。
そしてもうひとつが、高血圧は以前考えられていたような独立した病気ではなく、全身の血管の壁を劣化させ、ほかの生活習慣病や老化を引きおこす土壌であるということです。

 

昨今、おもにインターネット上で、人の外見の変化に関して「劣化」と表現することがあるようです。
年齢にともなう自然な変化をさす「老化」に対して、「劣化」は質の低下に目を向けた表現です。
人が劣化することはないため、人に対してもちいるのは不適切ですが、血管は劣化して、健康と若さ、そして命をむしばみます
少し前まで、一度あらわれた老化のサインを取り消したり、劣化した組織を回復させたりするのは不可能と考えられていました。しかし、必ずしもそうではないようです。
傷ついた血管を癒やして血圧を安定させ、老化現象全般にブレーキをかけるための有望な手がかりが少しずつ集まってきています。

血管のキズを直せば体は変わる

最新の研究成果を整理して、医学的にみて本当に有効な対策を、読みやすく、わかりやすくおとどけするのが本書『血圧を最速で下げる』です。
自分なりに健康に気をつかってきたつもりでも、30年、40年とたつうちに血管の壁はよごれて細かいキズが無数につき、かたい場所、ぶよぶよした場所があらわれて、血液の流れが悪くなっていきます
本書を片手に壁のよごれを落とし、血管を休ませてキズの修復をうながせば、血圧がしだいに安定し、体が変わったことに気がつく日が来ます。

「最近、朝起きたときに頭がすっきりしているな」
「信号が急に点滅したから小走りで渡ったけど、体が軽くておどろいたよ」
「添えものの野菜すらおいしく感じるようになった」

中高年になっても体はこたえてくれます。思いたったが吉日です。さっそく本書を読んで、血管の大掃除をはじめましょう。

関連書籍

奥田昌子『血圧を最速で下げる 老化を防ぐ「血管内皮」の鍛えかた』

「減塩すれば血圧は下がる」「少し高いほうが長生きする」「上と下の差が大きければ大丈夫」は全部ウソ! 本書では血圧を最速で下げる方法を最新研究から明らかにする。また血圧が上がると血管内部の膜(血管内皮)が傷つき劣化して、それが生活習慣病や全身の老化を招くとわかってきた。血管内皮を再生させて血圧を下げる食事や運動、生活習慣をていねいに解説。

奥田昌子『胃腸を最速で強くする 体内の管から考える日本人の健康』

消化管の病気を抱える日本人は1010万人にのぼる。最も多いがんも消化管のがんだ。ところが軽い胃もたれや下痢は「そのうちよくなるだろう」と見過ごされがちで、悪化はがんをはじめ重大な病気に直結する。最新の研究でわかった、強い消化管をつくるために欠かせない食事や生活習慣、ストレス対処法を解説。「管」のすべてが腑に落ちる。

奥田昌子『内臓脂肪を最速で落とす 日本人最大の体質的弱点とその克服法』

内臓脂肪をほうっておくと高血圧や糖尿病など生活習慣病はもちろん、さまざまながん、さらに認知症の原因になることがわかってきた。だが、体質だからと諦めるのは早い。内臓脂肪は皮下脂肪よりも落ちやすく、普段の食事や生活習慣の改善が減量に直結する。肉や炭水化物の正しい摂り方、脂肪に効く食材、効果抜群の有酸素運動などを、最新の論文をもとに解説。

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血圧を最速で下げる

2020年7月29日発売『血圧を最速で下げる 老化を防ぐ「血管内皮」の鍛えかた』(奥田昌子・著)の最新情報をお知らせします。

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奥田昌子

京都大学大学院医学研究科修了。内科医。京都大学博士(医学)。愛知県出身。博士課程にて基礎研究に従事。生命とは何か、健康とは何かを考えるなかで予防医学の理念にひかれ、健診ならびに人間ドック実施機関で30万人近くの診察にあたる。航空会社産業医を兼務。著書に最新刊『血圧を最速で下げる』のほか、10万部を突破した『内臓脂肪を最速で落とす』や、胃腸を最速で強くする欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』『日本人の病気と食の歴史などがある。

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