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暮らしの中に終わりと始まりをつくる

2020.07.09 公開 ポスト

頭と心を小休止させてくれるお茶の力一田憲子(編集者・ライター)

「暮らしのおへそ」「大人になったら、着たい服」の編集ディレクターであり、『丁寧に暮らしている暇はないけれど。』『面倒くさい日も、おいしく食べたい!』『大人になってやめたこと』などの著者である一田憲子さんの最新作が『暮らしの中に終わりと始まりをつくる』です。

コロナウイルスの影響で生活スタイルが変わり、家事や掃除のやり方について改めて考えた方も多いのではないでしょうか。本書では、数多の暮らし上手な人を取材し続けてきた一田さんが実践している、生活をリセットしていく小さな習慣をたくさんご紹介しています。

未曽有の状況でまだまだ不安定な日々ですが、本書で自宅時間を少しでも発見のあるものにして頂けたら幸いです。

自宅にいると、四六時中温かい飲み物を飲んでいます。朝目覚めてすぐは白湯を。そのあと、気分に合わせてコーヒーや番茶を。お昼には、パンを焼き、熊本の「天の紅茶」を入れます。ポットの飲み物がなくなれば、その都度ストックの中から好きなお茶を入れます。以前は「紅茶はリーフティーでなければ!」と無理していたけれど、最近では「ま、いいか」とティーバッグを愛用。ティーポットにポンと放り込み、お湯を注いで、書斎のデスクの上に運び、ちびちび飲みます。

忙しい毎日の中では、特別に「ティータイム」として時間を取ることはできません。だから私のお茶時間はいつもパソコンに向かいながら。それでも、紅茶専門店「ウーフ」の「アンバー」を入れれば、ほのかなローズの香りが鼻に抜け、「ティーポンド」の「プリンセス ライチ」を入れれば、ライチのほんのり甘く、エスニックな味と香りを楽しむことができます。ほぼ無意識に、傍に置いたカップを口に運び、なくなればまたキッチンに立ち、新しいお茶を入れるだけ。それでもすぐ手が届くところに、好きな飲み物があることは、自分で思っている以上に、心を穏やかに保ってくれているよう。

場所を変えて、どこかの編集部やホテルの部屋などで原稿を書く時、パソコンを広げてしばらくすると、「あ~お茶が欲しい!」と切実に思います。私はきっとお茶なしでは、原稿を仕上げることができないのかもしれません。自由にお茶を手に入れることができない環境に身を置いて初めて、「お茶」の持つ静かな力を思い知るのです。

人生の後半にさしかかって、「今まで」より「これから」の時間の方が短いんだ、と気づくと啞然としました。私は今まで何をやってきたのだろう? 確かに仕事を頑張ってきたけれど、それが何になるんだろう? もっと大事なことがあったんじゃないか? 人生を楽しむことにもっと時間を使った方がよかったんじゃないか……。

今日まで続いてきた生活を急に変えるわけにもいきません。私は私の生活を、どうしたら豊かにできるのだろう? そう考えた時、「あ、お茶かも!」と思ったのです。いきなり「週末は必ず休む」と決めるわけにはいかないし、仕事の量を半分にすることもできない。だったら、せめて仕事の合間においしいお茶を飲もう。それが、今の私にできることかな、と思い至ったのでした。

「100点」はとれないけれど、「自分ができること」をまず手がけてみよう……。これは、負けず嫌いの私にとって画期的な出来事でした。50点、60点でも、やらないよりやってみる方がいい。必ず何かが変わるし、この手に受け取るものがある。それは、決して「負け」ではないのだと……。

暮らしを豊かに楽しむために、今の私が唯一「できること」が、仕事帰りにコーヒー豆や、お気に入りのティーバッグを買い、ストックしておくことでした。そうして、仕事をしつつ「ながらティータイム」を過ごす……。私は原稿を書きながらお茶を飲むことで、力を抜き、心を休め、「さあ、もうひと頑張り!」とアイドリング状態からアクセルを踏むのだと思います。

暮らしの中の「けじめ」というと、「何かをスパッとやめて新しいことを始める」といったイメージですが、そんなことはなかなかできません。だったら自分なりの「無理をしないけじめ時間」を作ればいい……。お茶を飲むことは、忙しい日々の中で、上手に自分のご機嫌を取る方法のひとつなのだと思います。

関連書籍

一田憲子『暮らしの中に終わりと始まりをつくる』

1日、月ごと、年ごと。自分をリセットしていく人生の習慣41。暮らしも人生も、「一段落」を取り入れると、みずみずしく動き始めていきます。

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暮らしの中に終わりと始まりをつくる

『丁寧に暮らしている暇はないけれど。』『面倒くさい日も、おいしく食べたい!』『大人になってやめたこと』著者・一田憲子さん最新作! 自分をリセットしてくれる「人生の習慣」41。

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一田憲子 編集者・ライター

OLを経て編集プロダクションに転職後、フリーライターとして女性誌、単行本の執筆などを行う。2006年、企画から編集、執筆までを手がける「暮らしのおへそ」、2011年に「大人になったら、着たい服」(共に主婦と生活社)を立ち上げる。自身のウェブサイト「外の音、内の香」(http://ichidanoriko.com/)も運営。著書に『丁寧に暮らしている暇はないけれど。』『面倒くさい日も、おいしく食べたい!』『大人になってやめたこと』『おしゃれの制服化』などがある。

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