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なんで僕に聞くんだろう。

2020.02.08 公開 ツイート

ガンになった36歳の写真家に、なぜかみんな人生相談をした。 幡野広志

読み物サイトcakesで2019年のナンバーワンPVだった記事、何だったと思いますか?

写真家で元狩猟家の幡野広志さんの人生相談です。

cakes「幡野広志の、なんで僕に聞くんだろう。」

この人気連載が、このたび書籍化され、発売となりました。タイトルはなんで僕に聞くんだろう。

幡野さんは、ガンを宣告されているのですが、その幡野さんに、病気の悩みだけでなく、恋の悩み、人生の悩み、ありとあらゆる悩みが届くのです。

どうしてみんな幡野さんに相談するんでしょうか?

本書より「はじめに」を公開します。

*   *   *

はじめに─ガン患者のぼくが、あなたからの悩みを募集するにあたって

ぼくはガン患者だ。残念ながら治る見込みはないけど、あと数年であろう人生を楽しんでいます。

余生を謳歌しているので“奇跡はおきるから。ありのままでいいから。明けない夜はないから”みたいなJ─POP系の励ましはしなくても大丈夫です。J─POPを奏でて他人の心配をして悲しんでいる場合でも、不幸だと思い込んでよろこんでいる場合でもありません。これを読んでいるあなたもいつか死にます。自分の心配をしましょう。

 

ガンであることを公表してから、おおくの人から励ましや応援のメッセージ、宗教や健康食品や高額な治療法の勧誘メッセージなどたくさんいただいた。ここまでは想定内……というよりも覚悟の上だった。

まったくの想定外だったのは、人生相談のメッセージがたくさん届いたことだ。

ぼくはお坊さんではない、ただの写真家だ。

写真家っていうとなんだか聞こえがいいけど、いってみれば八百屋さんや魚屋さんと同じ。ただ写真のことを専門的にやっているだけ。写真で稼いだ一万円札もコンビニで稼いだ一万円札もおなじだ。写真家だからって偉いわけでもなんでもありません。

「家族がガンになってどう接していいかわからない」という病気に関する悩みをぼくに相談するなら、まだ理解できる。しかし恋愛相談などになってくると、はっきりいって理解ができない。恋愛しまくってる恋愛戦士のようなお坊さんに相談したほうがいいのではないだろうか。

それでも、ある理由から、悩みの内容にかかわらず答えることにした。

いままでにツイッターで500件近くの相談に答えてきたが、答えられていない相談が数千件もある。すべてに目を通してはいるが、すべてに答えていたら、きっとさらに寿命が縮んでしまう。というのは冗談だけど、ツイッターには文字数の制限があり、いいたいことをすべていえないもどかしさがあった。

それを解消したくて、cakesで連載を始めた。そしてそれがこのたび、こうして一冊の本になる。

 

cakesでは「幡野広志の、なんで僕に聞くんだろう。」という連載タイトルにしたのだけど、さいきんすこしだけ、ぼくに質問をしてくる理由がわかってきた。

相談を受けるとここぞとばかりに、相談者のことを否定して自分の考えを押し付ける人がいる。場合によってはそのまま説教や批判をしだす人や、「昔はさぁ~」とまったく役に立たない過去の話をしだす人がいる。

ちなみにここでいう昔って、縄文時代のころの話でも江戸時代のころの話でもなく、その人の若いころの話です。彼らはただ自分の話をしたいだけなんです。ぼく自身も過去に先輩などに相談して、これをやられて嫌になった記憶がある。そういう人には二度と人生相談をしていない。

こういうことはすくなくないのだ。だから周囲に相談できる人が見つからず、ガン患者に人生相談をしてしまう。

いまの彼氏や彼女と結婚するかどうか迷っている人は、人生相談を彼氏彼女にしてみるといいです。考えを押し付けてくるような人だったり、自分のことを否定してくる人だったら、結婚は控えたほうがいいとぼくはおもいます。子どもができたとき、子どもという絶対的に弱い存在にたいしてもおなじことをするからです。考えを押し付けてくる人って、やっぱり誰かから考えを押し付けられてきたのだとおもいます。

 

じつは人生相談というのは、回答者の人間性や性格を表すものなんです。答えることのハードルを自分であげてしまったけど、さいきん気づいたことです。

それでぼくは、相談はすべて自分の息子からされたものだと想像するようになりました。だから内容にかかわらず答えている。

この連載でも、ぼくは相談にたいして、息子から聞かれたと想像して答えています。息子からの相談であれば、こちらも真剣に答えてあげなければと考えるようになるから。

関連書籍

幡野広志『だいたい人間関係で悩まされる #なんで僕に聞くんだろう。』

甘いだけのアドバイスなんてもう要らない! 厳しかったり、ゆるかったり。突き放したり、抱きしめたり。 ガンなった写真家が、相談者の心のど真ん中を刺してくる! 本気で悩む人の「本当に欲しい言葉」が見つかる、唯一無二の人生相談。

幡野広志『他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。 #なんで僕に聞くんだろう。』

がんになった写真家になぜかみんな人生相談。 毎週必ず話題になる『なんで僕に聞くんだろう。』書籍第2弾。 「クリエイターと読者をつなぐサイトcakesで、2019年&2020年上期“もっとも読まれた記事"1位。更新のたびにバズる人生相談。

幡野広志『なんで僕に聞くんだろう。』

「家庭ある人の子を産みたい」「親の期待と違う道を歩きたい」「虐待してしまう」「風俗嬢に恋をした」「息子が不登校」「毒親に育てられた」「売春がやめられない」「精神疾患がバレるのが怖い」......。誰にも言えない悩みを、なぜか皆、余命宣告を受けた写真家には打ち明ける。どんな悩みも、軽やかだけど深く、変化球な名言で刺し、包む!異色の人生相談。

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なんで僕に聞くんだろう。

ガンになった写真家に、なぜかみんな、人生相談をした。

「クリエイターと読者をつなぐサイトcakesで史上もっとも読まれた連載」
「1000万人が読んだ人気連載」が待望の書籍化!

「家庭のある人の子どもを産みたい」「親の期待とは違う道を歩きたい」「いじめを苦に死にたがる娘の力になりたい」「ガンになった父になんて声をかけたらいかわからない」「自殺したい」「虐待してしまう」「末期がんになった」「お金を使うことに罪悪感がある」「どうして勉強しないといQAけないの?」「風俗嬢に恋をした」「息子が不登校になった」「毒親に育てられた」「人から妬まれる」「売春がやめられない」「精神疾患がバレるのが怖い」「兄を殺した犯人を許せない」……

――恋の悩み、病気の悩み、人生の悩み。どんな悩みを抱える人でも、きっと背中を押してもらえる。

人生相談を通して「幡野さん」から届く言葉は、今を生きるすべての人に刺さる”いのちのメッセージ”だ。

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幡野広志 写真家

1983年、東京生まれ。写真家。2004年、日本写真芸術専門学校をあっさり中退。2010年から広告写真家に師事。2011年、独立し結婚する。2016年に長男が誕生。2017年、多発性骨髄腫を発病し、現在に至る。近年では、ワークショップ「いい写真は誰でも撮れる」、ラジオ「写真家のひとりごと。」(stand.fm)など、写真についての誤解を解き、写真のハードルを下げるための活動も精力的に実施している。著書に『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』(PHP研究所)、『写真集』(ほぼ日)、『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』(ポプラ社)、『なんで僕に聞くんだろう』『他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。』『だいたい人間関係で悩まされる』(以上、幻冬舎)、『ラブレター』(ネコノス)がある。

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