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なんで僕に聞くんだろう。

2022.07.26 更新 ツイート

「相手との距離感が近すぎる人のほうが、むしろコミュニケーション能力が低い人なんだとおもうようになりました」 幡野広志

cakesの人気連載が書籍化されたなんで僕に聞くんだろう。』。さらに2つの新たな人生相談も加えて、このたび文庫化!コンパクトになり、ますます手に取りやすくなりました。

大切な人にも読んでほしい、”一生モノ”の人生相談本。今回の文庫化にあたり、本文一部公開です。

*   *   *

コミュニケーション能力とはなにか

Q

いつも拝見させていただいております。

私は人と穏やかな関係を築く方法がわかりません。

周りの人を見ると誰もが軽快にコミュニケーションを取り、会って時間がそう経っていないにもかかわらず和やかな空気に包まれているのを見るとうらやましくなります。

会話が苦手という訳ではないのですがその場だけで後に続きません。

私は交友関係が狭く浅く、それもほんのうわべだけとわかる瞬間がとても辛いです。

それも物凄く気を遣われるか、軽んじられるかのどちらかしかなく、長い付き合いを持ったことがありません。

誰とでも深い関係になりたいとは望んではいません。

せめて人と対等なやりとりができるようになりたいと考えています。

よろしければご回答頂けると幸いです。(匿名希望23歳 女性)

A

軽快にコミュニケーションをとれる人ってうらやましいですよね。ぼくはコミュニケーション能力が高いかといわれれば、そういうわけではありません。どちらかといえば苦手なほうです。

飲み会に誘われれば快諾するのに、ドタキャンまではしませんが、直前になって面倒になってしまったり。基本的にメールは返さないし、あまり電話にも出ません。そのくせツイッターとかやっちゃうので、ダメ人間を自覚しています。怒った誰かにトドメを刺されても不思議ではありません。

コミュニケーション能力が低い人ってどんな人を想像しますか? ぼくはなんとなく、人と目が合わせられないとか、会話が続かないとか、消極的で相手との距離感が遠い人を想像していました。

でもここ1年でたくさんの人とお会いしたり、メッセージやメールなどのやりとりをしたりして感じたことなのですが、本当にコミュニケーション能力が低い人というのは、相手との距離感が遠い人ではないんです。相手との距離感が近すぎる人のほうが、むしろコミュニケーション能力が低い人なんだとおもうようになりました。それってたとえば、自分のことをずっとしゃべっている人だったりします。その内容がおもしろくて聞きたいような内容であったらいいのですが、残念ながらそういうこともありません。距離感が近すぎる人というのは、どうでもいい、つまらない話を延々と、相手にまったく口を挟ませずにするような人です。

距離感が近すぎるせいで相手が距離をとって引いてしまい、本人はますます孤独を感じることになります。話を聞いてもらいたいものだから、出会った人にまた延々と自分語りをしてしまいます。そういう人は、話を聞いてほしいけど聞いてもらえないという悪循環に陥っているのかもしれません。SNSでも日常生活でもいますよね、本題とはまったく違うのにすぐ自分の話に結びつけて、会話ドロボウをしてしまう人。

じゃあどんな人がコミュニケーション能力が高いかというと、ぼくは、知らないことについてちゃんと知らないといえる人や、相手の言葉に耳を傾けられる人だとおもっています。やっぱりそういう人と会話していると、気持ちがいいものです。

(写真:幡野広志)

初対面の人とのコミュニケーションって、日常生活でもたくさんあることです。初対面の相手との会話がたとえその場かぎりでも、自分の人生に大きな影響を与えてくれることがあるかもしれません。もしかしたら初対面の相手が親友になるかもしれないし、恋愛や結婚にも発展することだってあるかもしれません。

もちろん悪い影響を与えてくる可能性もあるわけで、自分にとって毒だとおもえば、逃げる必要もあります。それを見極めるためにもコミュニケーション能力はとても大切です。日常生活においては分数の割り算よりも大切なことなのに、学校では教えてくれないですよね。ぼくが分数の計算ができないからそうおもうだけで、得意な人には日常生活に分数の割り算が必須なのかもしれませんが。

家庭でコミュニケーションのとりかたを教えられるかといえば、すこし難しいかもしれません。親がコミュニケーションをとるのがうまい人だったらいいのですが、そうでなかった場合どうでしょう。それに、コミュニケーションのとりかたには普遍的なものもありますが、その人の生きた時代ですこしずつ違います。

コミュニケーションは一人でできるものではありません、相手がいて成り立つものです。しかし「合う」「合わない」は絶対にあります、合わない人と無理に合わせようとするから苦しいんです。もしあなたがうわべだけと感じるのであれば、それはうわべだけの相手なんです。それは悪いことではありません、出会った人全員と親友になれるわけなどないんですから。

付き合いの長さというのも意味はありません。ぼくがいま付き合っている人たちは病気になってから知り合った人ばかりなので、みんな付き合って1年未満の人たちです。

相談者さんは、「それも物凄く気を遣われるか、軽んじられるかのどちらかしかなく」とおっしゃっています。なにかそうされてしまう特性があるのかな? ともおもいましたが、どちらにしても、気を遣われるのも軽くみられるのも嫌なものですよね。もしもなにかあなたにそういう特性があるとしても大丈夫。そのときに感じたことは相手を測るリトマス試験紙のようなものだと考えればいいです。人を軽く見るような人とは仲良くなる必要はありません、うわべだけの関係でいいんです。

自分と合う人って必ずどこかにいます。いないわけないんです。まだ出会っていないだけです。

穏やかなコミュニケーションは穏やかな相手でないといけません。そして相談者さんも穏やかでなければなりません。

穏やかな人と出会ったときのために、相談者さんも穏やかな人はどんな人かについて追究してみたらどうでしょう? ぼくはやっぱり、自分がされたつらいことや嫌なことをしない人だとおもいます。

応援しています。

関連書籍

幡野広志『なんで僕に聞くんだろう。』

「家庭ある人の子を産みたい」「親の期待と違う道を歩きたい」「虐待してしまう」「風俗嬢に恋をした」「息子が不登校」「毒親に育てられた」「売春がやめられない」「精神疾患がバレるのが怖い」......。誰にも言えない悩みを、なぜか皆、余命宣告を受けた写真家には打ち明ける。どんな悩みも、軽やかだけど深く、変化球な名言で刺し、包む!異色の人生相談。

幡野広志『他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。 #なんで僕に聞くんだろう。』

がんになった写真家になぜかみんな人生相談。 毎週必ず話題になる『なんで僕に聞くんだろう。』書籍第2弾。 「クリエイターと読者をつなぐサイトcakesで、2019年&2020年上期“もっとも読まれた記事"1位。更新のたびにバズる人生相談。 「DVを受けてきた自分は、どうしたら人を憎まずにいられるか」 「障害とうまく付き合っていく方法を聞きたい」 「精神疾患を持つ夫を受け入れられない」 「結婚する友だちを妬ましく思ってしまう」 「地味にまじめに勉強をしている私は間違っている」? 「就活が迫っているのに、したいことがわからない」 「毒親を辞任してるシングルマザーだけど、今の彼の子供がほしい」 「私も幡野さんみたいに本音で行きたい」 「親に復讐したい」 「23歳だけど恋人ができたことがない」 「好きだった先生を忘れられない」 「受験に失敗してからずっと前を向けない」 ――家族のこと、恋愛のこと、将来のこと、病気のこと。みんな“幡野さん"に聞きたがる!

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なんで僕に聞くんだろう。

ガンになった写真家に、なぜかみんな、人生相談をした。

「クリエイターと読者をつなぐサイトcakesで史上もっとも読まれた連載」
「1000万人が読んだ人気連載」が待望の書籍化!

「家庭のある人の子どもを産みたい」「親の期待とは違う道を歩きたい」「いじめを苦に死にたがる娘の力になりたい」「ガンになった父になんて声をかけたらいかわからない」「自殺したい」「虐待してしまう」「末期がんになった」「お金を使うことに罪悪感がある」「どうして勉強しないといQAけないの?」「風俗嬢に恋をした」「息子が不登校になった」「毒親に育てられた」「人から妬まれる」「売春がやめられない」「精神疾患がバレるのが怖い」「兄を殺した犯人を許せない」……

――恋の悩み、病気の悩み、人生の悩み。どんな悩みを抱える人でも、きっと背中を押してもらえる。

人生相談を通して「幡野さん」から届く言葉は、今を生きるすべての人に刺さる”いのちのメッセージ”だ。

バックナンバー

幡野広志 写真家

1983年、東京都生まれ。2004年、日本写真芸術専門学校中退。2010年から広告写真家・高崎勉氏に師事。 2011年、独立し結婚する。2016年に長男が誕生。2017年、多発性骨髄腫を発病し、現在に至る。著書に『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』(PHP研究所)、『写真集』(ほぼ日)、『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』(ポプラ社)、『なんで僕に聞くんだろう。』『他人の悩みはひとごと、自分の悩みはおおごと。♯なんで僕に聞くんだろう。』(幻冬舎)、『ラブレター』(ネコノス)。

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