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気持ちのいいことが、好き。「“官能”と“快楽”の回路を開くために」

2014.01.19 公開 ツイート

特集<気持ちのいいことが、好き。>

第2回 気持ちのいいことになぜ、罪悪感を抱くのか? 植島啓司/湯山玲子

一夫一妻制度は低~中位の男にとって快適

植島 「これまで何人の男性とセックスしましたか」っていう質問を大学にいた頃に女の子たちに聞いたことがあるんだけど、3年生ぐらいで平均6人ぐらいだって。親が聞いたら卒倒しちゃうね。ぼくもすごいびっくりしたんですけど。でも、上野千鶴子さんとの対談『快楽上等!』の中では、生涯だいたい女性が経験するのは3人という統計が出てる。

湯山 3人ねえ。

植島 どうですかね。3人。

湯山 いや、少ないでしょうね。

植島 女性が生涯男性経験3人っていうのはもう異常に少ない。

湯山 普通にしてたら考えられない。それって、湯山の普通で考えられないっていうだけですかね(笑)。でも、いま、極端ですよね。私、日大芸術学部の非常勤でね、ジャーナリズム論っていうのを7年間くらいやってるんですけど、最近の学生たちが違うんですよ。幼児化子ども化が激しい。少し前までは私の高校生ぐらいの感じかなと思ったら、いまね、私の小学校6年の感じ。男の子も女の子も。そうなると、もうセックスまで行かない。まずお母ちゃんの存在もすごく大きいし。
最近多いのは、「湯山さんをボクのお母さんに引き合わせたい」っていうの。それを見てると、日本の男性の落ち着き方って、セックスレスの、お母さんを中心とした共同体に絶対なりますね。男はもともとマザコンだし、母親も息子が恋人。それで、息子は結婚したらしたで、今度はパパになって、妻の子どもになっちゃう。自分の子どものお兄ちゃんだよね。見てると、お母さんの下に、子どもが二人いる感じ。それで男は安定するんだよ。ヤダねー。だけど、それは日本人の男のいちばん幸せな方法だと思う。

植島 もともとね、お母さんと子どもがやっぱり家族の基本概念でしょう。でも、それが、夫婦が基本になったのは近代社会になってから。でも、それって他人同士じゃないですか。他人同士が最低単位になるっていうところに、もともと無理があるとぼくは思ってるんですよ。夫婦が基準になってくると、夫の権力というのがそこから芽生えてきて、男性社会が生まれてくる。だから、夫の苗字をみんなが継いでいきましょう、みたいになっていくわけ。

湯山 そうですね。あと、遺産相続、相続の話、でかいですよね。

植島 でも、これはやっぱりうまくいかなかったんじゃないかって反省があるわけです。そうなってくると、やっぱり昔の女系社会のほうが、つまり、生まれた子どもは全部、女系の女の人たちが共同で育てる。だから、産んでる女性も、産んでない女性も、みんな共同生活して育てるみたいな、そういう社会って、またモデルとして出て来てくるんじゃないかって思うんだけど。

湯山 現実的にすでにあるかもしれないですね。女のほうも望むでしょうし。女同士だとけっこうヘビーな、すごい話出ますからね。だから何かっていうと、もう、イケメンかつ優秀な一人の男だけでいいと。先生も『官能教育』の中で書いてましたけどね。一夫一婦制っていうのは、結局劣位の男にとって、すごく快適なシステムであると。

植島 そうですね。

湯山 女の人のリアリティとしては、夫は別にいなくてもいい。でも、子どもは欲しい。それは、必ず出て来る話ですね。それで誰の子でもいいんだったら、いい方の子どもがいいに決まっている。たとえば、坂本龍一さんとかね(笑)。共通の知り合いなんで、出しただけなんですけどね。

植島 お互いに仲良しなのね。つまり、男性は素敵な女性に子どもを産んでもらいたいと思っても限りがあるけれど、女性は坂本龍一がひとり来れば、全員素敵な子どもを産めるわけですよね(笑)。

湯山 そうそう。でね、逆にパートナーと言えば、不倫で安定という人も現実には少なくない。「家庭を捨てて、結婚して!」と、日陰者として大変に不幸な毎日になるというのが常識だけど、こういうカップルは割り切って現実の落としどころを見つけている。子供もいらないし、他人と暮らすのは嫌だしという人もいるわけです。

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植島啓司

1947年東京生まれ。宗教人類学者。東京大学卒業。東京大学大学院人文科学研究科(宗教学専攻)博士課程修了。シカゴ大学大学院に留学後、NYニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ客員教授、関西大学教授、人間総合科学大学教授などを歴任。著書に『快楽は悪か』(朝日新聞出版)、『男が女になる病気』(朝日出版社)、『賭ける魂』(講談社現代新書)、『聖地の想像力』、『偶然のチカラ』、『世界遺産 神々の眠る「熊野」を歩く』、『生きるチカラ』『日本の聖地ベスト100』(いずれも集英社新書)、『熊野 神と仏』(原書房、共著)、監訳『図説 聖地への旅』(原書房)など。

湯山玲子

著述家、プロデューサー。日本大学芸術学部文芸学科非常勤講師。自らが寿司を握るユニット「美人寿司」、クラシックを爆音で聴く「爆音クラシック(通称・爆クラ)」を主宰するなど多彩に活動。現場主義をモットーに、クラブカルチャー、映画、音楽、食、ファッションなど、カルチャー界全般を牽引する。著書に『クラブカルチャー』(毎日新聞社)、『四十路越え!』(角川文庫)、『女装する女』(新潮新書)、『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『ベルばら手帖』(マガジンハウス)、『快楽上等!』(上野千鶴子さんとの共著。幻冬舎)、『男をこじらせる前に 男がリアルにツラい時代の処方箋』(KADOKAWA)などがある。

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