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世にも美しき数学者たちの日常

2019.06.24 公開 ポスト

冒険家・田中幹也が、”山のベテラン”や”旅のツワモノ”よりも、数学者に共感した理由とは?二宮敦人(小説家・ノンフィクション作家)

冒険家の田中幹也(たなか・かんや)さんが、『世にも美しき数学者たちの日常』についての書評をくださいました。

冒険家が、数学者の生き様に共感するというミラクル……!

一見意外なようですが、良く読み、良く考えれば、大いに納得です。

*   *   *

直感。才能。宇宙。――冒険家と数学者に共通する「何か」

読んだ本。

『世にも美しき数学者たちの日常』(二宮敦人著)

気鋭の数学者たちにインタビューしたもの。

オイラは数学のことなどさっぱりわからんけど、それでもなんだか言わんとすることがわかりそうな気がした。

読みはじめたら予想どおり。

すくなくとも山小屋とかで会う自称・山のベテランさんや旅先のゲストハウスとかで見かける自称・旅のツワモノたちよりも、この本に登場する数学者たちのほうが遥かに話が通じそうだ。

彼らの数学を自分のやっている山や旅に置き換えてみると、なぜかピタリと意味が通じてしまった。
 

「数学は何かのために作ったわけじゃないですよ。心の赴くままにやったものなんです」
気がついたらやっていた。なぜ? に対する理由なんて後付けにすぎないのだろう。


「おそらくですね、数学の定理を作るって、努力したからできるものじゃないんです。天性のものだと思います」
→死にもの狂いで努力しただけでは不十分。なおかつ直感や閃きといった嗅覚のようなものがないと大成しない。ときには才能のない自分という現実をも受け入れていかざるを得ないシビアな世界ということだろう。


「山を見た時、あ、これなら登れるなとピンとくる。そういう感覚と同じかもしれません。実際に登れるかは、やってみないとわからない部分もある。数学が美しいという感覚は、そこなんじゃないか
→できるかできないか偏差値的(科学的?)な判断ではなく、直感的なものがきわめて大きいということだろう。


なおこの本の数学とは、試験で点数をとるためのものではない。

宇宙とは何かといった疑問を解決するための手段のひとつとして数学というものを捉えている。

 

田中幹也(たなか・かんや)

冒険家・登山家。
90年グランドジョラス北壁登攀。95年~2014年厳冬カナダをスキーや自転車で2万2000km踏破。
13年植村直己冒険賞受賞。19年「クレイジージャーニー~雪山登山で生と死の極限に挑み続ける男」出演。
田中さんのFacebookはこちら
お問い合わせはこちらから。(株)スカイブルーサービス

 

関連書籍

二宮敦人『世にも美しき数学者たちの日常』

百年以上解かれていない難問に人生を捧げる。「写経」のかわりに「写数式」。エレガントな解答が好き。――それはあまりに甘美な世界! 類まれなる頭脳を持った“知の探究者”たちは、数学に対して、芸術家のごとく「美」を求め、時に哲学的、時にヘンテコな名言を繰り出す。深遠かつ未知なる領域に踏み入った、知的ロマン溢れるノンフィクション。

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世にも美しき数学者たちの日常

「リーマン予想」「P≠NP予想」……。前世紀から長年解かれていない問題を解くことに、人生を賭ける人たちがいる。そして、何年も解けない問題を”作る”ことに夢中になる人たちがいる。数学者だ。
「紙とペンさえあれば、何時間でも数式を書いて過ごせる」
「楽しみは、“写経”のかわりに『写数式』」
「数学を知ることは人生を知ること」
「数学は芸術に近いかもしれない」
「数学には情緒がある」
など、類まれなる優秀な頭脳を持ちながら、時にへんてこ、時に哲学的、時に甘美な名言を次々に繰り出す数学の探究者たち――。
黒川信重先生、加藤文元先生、千葉逸人先生、津田一郎先生、渕野昌先生、阿原一志先生、高瀬正仁先生など日本を代表する数学者のほか、数学教室の先生、お笑い芸人、天才中学生まで。7人の数学者と、4人の数学マニアを通して、その未知なる世界を、愛に溢れた目線で、描き尽くす!

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二宮敦人 小説家・ノンフィクション作家

1985年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。2009年に『!』(アルファポリス)でデビュー。『正三角形は存在しない 霊能数学者・鳴神佐久のノート』『一番線に謎が到着します』(幻冬舎文庫)、『文藝モンスター』(河出文庫)、『裏世界旅行』(小学館)など著書多数。『最後の医者は桜を見上げて君を想う』ほか「最後の医者」シリーズが大ヒット。初めてのノンフィクション作品『最後の秘境 東京藝大―天才たちのカオスな日常―』がベストセラーになってから、『世にも美しき数学者たちの日常』『紳士と淑女のコロシアム 「競技ダンス」へようこそ』など、ノンフィクションでも話題作を続出。

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