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アルテイシアの熟女入門

2019.03.01 更新

不安定なプレJJはサナギの時期、JJへ完全変態を遂げるとスッキリするアルテイシア

新刊『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった アルテイシアの熟女入門』の重版が決まった。ヒャッハー!!!
読者の皆様に感謝して、トゲ肩パットの紐を締め直しつつ、JJ(熟女)ライフを綴っていきたいと思う。

先日、40代の女性編集さんからこんなメールをもらった。
『小学生の娘に「二重跳びができない」と言われて「じゃあママがお手本を見せてあげる!」と勢いよく跳んだところ、びっくりするぐらい尿漏れしました』

びっくりするぐらいとは、大さじ何杯程度だろうか。お玉で計るレベルだろうか。
そのメールはこう続いていた。
『でも良いこともありまして、若い頃はセックスが痛くてあまり好きじゃなかったのが、最近は痛みを感じなくなり、純粋に楽しめるようになりました』

まさにジョースター卿のアレである。「逆に考えるんだ。尿漏れするから、セックスを楽しめるようになったのさ」とポジティブ転換するJJ力がすばらしい。

JJはあらゆるパッキンが緩むお年頃。私も最近、尻の穴が緩くなった気がしてならない。屁をこくたびに「便が出るんじゃ?」とドキッとする。
という話を同世代の編集さんにしたら「ある意味、羨ましいです」と返された。
どういう意味かと尋ねてみると「私は逆に便秘気味で、ウンコをきばったら痔になってしまいました」と告白された。「なのでゲイの友人に勧められた肛門科に通ってます」とのこと。

20代の頃なら、仕事仲間に尿漏れや痔の話はできなかっただろう。誰にも言えず1人で悩んだかもしれない。
それが40代になると「オッス、オラ尿漏れ☆」「拙者、痔主でござる♪」と明るく話せるようになる。

JJになると老化に慣れて、多少のことでは動じなくなるからだ。

振り返ると、35歳から40歳までの「プレJJ期」の方が戸惑いが大きかった。肉体の変化に心がついていかず、なんとなくモヤモヤしていた。まだ「若い女」の土俵に片足乗っていて、中途半端で不安定な状態だった。

そのサナギの時期を抜けてJJへ完全変態を遂げると、憑き物が落ちたようにスッキリするのだ。

メタモルフォーゼ前のプレJJたちは「いろんな変化にショックを受けて、心も体も不安定なんですよ~!」と訴える。

私も35歳の時、初めて股間に光るものを発見して「こ、これが噂の股白髪…!」と息を飲んだ。プレJJ期の最初の1本は衝撃だったが、JJ最盛期の今は数えきれないほど生えているため「レインボーカラーに染めてみっか」と悠々と構えている。
新刊にも書いたが、VIO脱毛のレーザーは白髪に反応しないので、パイパンにするならお早めに。

プレJJの女友達は股白髪にショックを受けて、ブラジリアンワックスでパイパンにしたという。彼女いわく「そしたら新しく生えてきた毛が半分ぐらい真っ白なんです!股間に極度のストレスを与えたからかもしれません…」(※個人の体験談です)
だが、陰毛のマリー・アントワネット現象もあるらしい。

股間より人目につくのは頭部である。プレJJが集まると「最近、白髪が出てきた」「いつから染めるべき?」という話に必ずなる。白髪は表面に生えるタイプと内側に生えるタイプがあり、場所によっては自分でも気づきにくい。

プレJJの女友達いわく「彼氏のヒザ枕でイチャついてた時、彼氏が私の髪をくしゃっとして『すごいっ…すごいよ白髪!』と息を飲みました」とのこと。

乙女ゲーでおなじみの髪くしゃも、年をとると白髪・薄毛・頭皮のニオイが気になってドキドキする。「壁ドンで心臓発作」などの事故もありうるし、ときめきは二次元で補給するのがおすすめだ。

私は35歳を過ぎてから「若い子」と言うようになった。「この店、若い子に人気なんだってね」というふうに。つまり「自分はもう若い子じゃない」と自覚しているわけだが、かといって年寄りでもない。
そんな曖昧なポジションに居心地の悪さを感じつつ、焦りや寂しさも感じていた。

それに気づいた時はショックだった。若い頃から「若さ=女の価値」という呪いに反発してきたのに、自分も毒されていたのか?と。

「わかります…!!」とプレJJたちは同意する。35歳の女子は「数年前まで20代の男子に口説かれたりしたのに、今はもう恋愛対象外だと気づいた時、ショックを受けたんですよ。そんなふうにショックを受ける自分にもショックを受けました」と語る。
プレJJ期は「自分はもう若くない」と冷水をぶっかけられる、アイスバケツチャレンジのような日々なのだ。

「年齢なんて気にするな」という意見もあるが、気にしなさすぎると老害になる。若い女性に優しくされて「俺に気がある?」と勘違いするおっさんになってしまう。
「勘違いされたら相手は大迷惑だよな、と私も気を引き締めてます。でも、そんな自分に寂しさも感じるんですよね…」と彼女。

私も身に覚えがある。「男にモテたいわけじゃないのに、なぜ寂しいのか?」と己と向き合って出た答えは“郷愁”だった。
「私の若い日々が終わってしまった…」という寂しさ、女子中高生を見て「青春時代は二度と戻ってこないんだなあ」と涙が出るアレである。

そんな時は女友達とカラオケに行き、SPEEDの『White Love』とか合唱してオイオイ泣くといいだろう。ちなみに43歳JJの青春ソングはプリプリの『Diamonds』だ。

老化に不慣れなお年頃は戸惑いがちだが、良い変化もある。

プレJJたちにヒアリングすると「吸収、成長!と20代はギラついてましたが、今はもう無理がきかないので、ちゃんと休むようになりました」との声があがった。

JJになると無理=死に直結するので、ますます体を労わるようになり、それがメンのヘルスにもつながる。また「とにかく横になりたい」という一心で、仕事の効率化を考える。結果、サスティナブルな働き方が実現するのだ。

靴マニアであだ名が「イメルダ」のプレJJは「20代は散財しまくって貯金がゼロだったけど、あのギラついた物欲が落ちつきました。今年の誕生日は自分へのご褒美で、国債を買いました」と話していた。

20代はテストステロンの分泌盛りでギラつきがちだが、プレJJになると鎮火してくる。

「男の好みも変わりました。20代はギラギラ系に股キュンして、ヤリチンやモラハラにハマったけど、今はカサカサ系に惹かれます」という意見も耳にする。その結果「最近、肉より野菜が美味しくて」と穏やかな草食夫と結婚する女子も多い。

プレJJの変化にはメリットもあるので、加齢を恐れすぎないでほしいと思う。

35歳のプレJJは「最近どんどん涙もろくなっていて。通りすがりの保育園の見ず知らずの子どもたちの卒園式を見て号泣しました」と話していたが、JJは会社の後輩の結婚式に行って、親の方に感情移入して号泣する。

この“若い子が自分の産んだ子どもに見える現象”は加齢の最大の武器である。

今はなき雑誌『ニキータ』の「コムスメに負けない!」というコピーを見て「これって男の発想だよな」と思った。少なくとも私の周りには、若い子に対抗意識を燃やして、青筋立てながら膣トレに励むJJは見当たらない。

私もオンラインサロン「アルテイシアの大人の女子校」の生徒さん達のことが本当にかわいくて、守りたい、幸せになってほしいと思う。

また若い男子のイキった発言も20代の頃ならムカついたが、今は「息子よ…」と広い心で受け止められる。

良寛和尚が子どもたちと遊んでいたのも、単純にかわいかったからだろう。ただ私はヒトの子どもより動物の方が2億倍かわいく見えるので、老後は薫尼(くんに)と名乗って、デンデラで保護猫や保護犬を飼いたいと夢見ている。

『世界ネコ歩き』の岩合光昭さんが「お年寄りにとって猫は最高のパートナー」「動作がゆっくり穏やかで、いつも家にいてくれて、生活リズムも一定なリタイア世代こそ、猫にとっても理想の同居人」と語っていた。

男にモテなくても、おキャット様にモテるのであれば、至上の幸福ではないか。

40歳を過ぎたら生きるのがラクになった理由として、コンプレックスが減ったことも挙げられる。

若い時ほど容姿コンプレックスが強くて、美人は遠い星の住人のように感じていた。だがJJになると美人も老けたり太ったりして、近所の星に引っ越してくる。

またブス星出身の私は「素材はどうしようもない」と嘆いていたが、JJになると美<<<健康に優先順位がシフトする。

ウィルスの研究者の女友達が「インフルエンザは細胞レベルで、罹りやすい人・罹りにくい人がいるのよ」と教えてくれた。たしかに夫は何度もインフルに罹っているが、同居人の私は一度もうつったことがない。

一方、予防注射を受けたのに今年もインフルに罹ったJJ仲間は「容姿とかどうでもいい、細胞レベルで健康な素材がほしい!!」と訴えていた。

彼女いわく「インフル特有の筋肉痛や関節の痛みを感じたけど、普段から肩凝りと腰痛があるので気づかなかった」「インフルだと診断された時、別の病気の方が怖いと怯えていたので、安心した」とのこと。

「若い頃は楽して痩せたかったけど、今は楽して体力をつけたい」はJJあるあるだ。

私は体力も運動神経もないことがコンプレックスだったが、無いものは減らないので、年をとっても「こんなもんか」と受け入れられる。

一方、ヤワラちゃん(谷亮子をヤワラちゃんと呼ぶのもJJあるある)は「昔はヒグマを投げられたのに、今はマレーグマしか投げられない」とショックなんじゃないか。

そういう意味でも、持てる者と持たざる者の溝が埋まるのがJJ期かもしれない。

私は人生で一度も二重跳びを跳べたことがないが、「ビュンビュン跳べるけどジャンジャン尿漏れする」という話を聞いて、人類皆姉妹という気分になった。こうしてシスターフッドは強まっていく。

若さを失うのはたしかに寂しい。私もお気に入りの古着のチビT(死語)を、二度と着れないのに捨てられない。でも年をとって、新たに手に入るものもいっぱいあるのだ。

私の場合は40歳を過ぎて「大人の女子校」を始めたことで、寂しさが一気に減った。プレJJの皆さんも新しいことを始めてみるのがおすすめだ。

先頃、女子校で合唱部を発足することになった。プロの声楽家のJJ仲間にレッスンしてもらい、みんなで第九とか合唱して多幸感ホルモンを出していきたい。生徒さんには「私が酸欠で倒れたら介抱してね」とお願いしている。

声楽の発声は肛門にキュッと力を入れるので、骨盤底筋群も鍛えられるだろう。尿漏れ&便漏れしないRJ(老女)に完全変態するために、部活動に励みたいと思う。

アルテイシア『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった』

加齢最高!大人気連載が1冊になりました。若さを失うのは確かに寂しい。でも断然生きやすくなるのがJJ(=熟女)というお年頃!おしゃれ、セックス、趣味、仕事等にまつわるゆるくて愉快な熟女ライフがぎっしり。一方、女の人生をハードモードにする男尊女卑や容姿差別を笑いと共にぶった斬る。「年を取るのが楽しみになった」「読むと元気になれる」爆笑エンパワメントエッセイ集。

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アルテイシアの熟女入門

人生いろいろ、四十路もいろいろ。大人気恋愛コラムニスト・アルテイシアが自身の熟女ライフをぶっちゃけトークいたします!

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アルテイシア

神戸生まれ。現在の夫であるオタク格闘家との出会いから結婚までを綴った『59番目のプロポーズ』で作家デビュー。 同作は話題となり英国『TIME』など海外メディアでも特集され、TVドラマ化・漫画化もされた。 著書に『続59番目のプロポーズ』『恋愛格闘家』『もろだしガールズトーク』『草食系男子に恋すれば』『モタク~モテるオタクになる恋愛ガイド~』『オクテ男子のための恋愛ゼミナール』『オクテ男子愛され講座』『官能女子養成講座』など。最新作は『オクテ女子のための恋愛基礎講座』。 女性のリアルな本音を赤裸々かつ軽快なタッチで描いて人気。 ペンネームはガンダムの登場人物「セイラ・マス」の本名に由来。好きな言葉は「人としての仁義」。
twitter : @artesia59

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