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週末島旅

2018.08.08 更新 ツイート

日本にとっても素晴らしい財産「尾上邸」を、日本一の宿に!小林希

6月8日に上梓された、旅作家・小林希(こばやしのぞみ)さんの最新刊『週末島旅』。
6月27日に、『週末島旅』の発売を記念したトークイベントが開催され、書籍に収録されていない話も含めて、たっぷりと島旅の魅力をお聞きしました。今回は、讃岐広島での新規プロジェクトのお話。(文:世良 菜津子)

新たな島の挑戦、尾上邸プロジェクト

今、讃岐広島で「尾上邸プロジェクト」を立ち上げようとしています。

尾上邸は江戸時代後期か、明治時代初期に建てられたと言われている、総ケヤキづくりの200年以上建っている古屋敷です。尾上邸の周りには、4メートルくらいの高さの石垣があります。讃岐広島は石の島ですので、石垣には島の石が使われています。母屋があり、納屋、茶室があり、その間に蔵といったものがいくつかあって。尾上邸は、本当に中が広くて歴史を感じる建物です。

ここが現在、空き家になっています。尾上家が「自分たちで管理できないので…」ということで、尾上邸を丸亀市に寄贈したそうです。

スペイン×アート×丸亀らしさで、日本一の宿にしよう

尾上邸は外側から見ることはできるけど、中には一切入れない状態です。今、この瞬間も、尾上邸は日に日に朽ちていっています。島の方たちと、「人が中に入れるようにして、建物を保護していかないといけないね」と話しています。

私が初めて尾上邸を訪れたのは、今から3~4年前。その時に撮った写真と、先月行った時に撮った写真を比べると、建物が悪くなっている様子がはっきりとわかります。屋根が落ちてる、瓦が少し剥がれている、畳が浮いてきている…。建物って言うのは、こんなに悪くなるのが早いんだ…っていう驚きとともに、深刻な状態だということを感じました。

今、尾上邸をどういう風に利用保護していくか、島の人たちと話しています。が、全く何も決まっていない状態です。できれば、大勢の方の応援やアイデアを聞きながら進めたいなと思っています。

ゲストハウスひるねこを島の皆さんと立ち上げた経緯もありまして、丸亀市から直々に

「この尾上邸をどうしたらいいか?」とご相談をいただき、アドバイザーとしてかかわることになりました。
いま、お金がまったくない状態で、国の交付金の申請をはじめ、いろいろ考えています。

島のみなさんと、尾上邸をどうしたらいいかっていうことを相談をしている中で、宿にしたらいいんじゃないかという案が出たので、農泊できたらいいなと。

いずれは、丸亀らしさを詰め込んで、本来の尾上家、建物の良さというのも残しながら活用したいですね。例えば、丸亀はサンセバスチャンっていうスペインの都市と姉妹都市なので、スペインを巻き込めたら楽しいなど。

姉妹都市・サンセバスチャンは、世界的にも有名な食の街です。尾上邸では、瀬戸内の食材を使ったサンセバスチャン料理を出せたらと、夢はふくらみます。

もうひとつは、アート。丸亀出身の猪熊弦一郎の絵画を飾りたい!というのを個人的に夢想中です(笑)。

いずれにしても、多くの人が来島してくれる、ユニークな施設にしたいですね。まだまだ、先の話にはなりそうですが、島のゆったりとしたペースで、地元主体でがんばりたいと思っています。

本来の目的は、島にお金のサイクルを生み出すこと

尾上邸プロジェクトの最大の目的は、日本一の宿にすることではなくて、島の活性化です。今、島の人口がどんどん減っていて、3~4年前は300人くらいいたのが現在では200人を切っている状態です。

ほとんどの方が高齢で、かつ、1番動ける世代っていうのが働かなければいけない、それぞれの家庭を養わなければならないという理由から、島を出ています。島には働くところが、ほとんどありません。働く場所がないことがわかっているので、島の方たちも、息子さんや娘さんに島に帰って来いって言えないんです。


いろんなことが複雑に絡んでいますが、島側の思いとしては、単発的に、「尾上邸のある島に行きたい!」と、パッと観光客が来て終わりではなくて、ここに住んでくれる人が増えたり、息子さんたちが帰って来たり、そういった環境を作るためのプロジェクトでありたいと考えています。

とにかく雇用が生まれることが大事。作った野菜やとってきた魚を尾上邸で買って使ってもらうとか、そういったお金のサイクルを島の中で作り出していきたいなと思っています。

尾上邸は島の財産でもあるんですけど、日本にとってもすばらしい財産だと思うので、みんなで盛り上げていけたら嬉しいです。

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週末島旅

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小林希 旅作家

一九八二年東京生まれ。旅作家。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。1年後帰国して、『恋する旅女、世界をゆくー29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫)で作家に転身。旅をしながらネコの写真を撮り続ける。また、執筆活動の傍ら、瀬戸内海の島にゲストハウスをオープンするなど島おこしに奔走する。著書に『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』(幻冬舎)など多数。現在五十五カ国をめぐる。『デジタルカメラマガジン』(インプレス)で「世界のネコに恋して」を連載中。
◆インスタグラム&ツイッター:nozokoneko

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