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週末島旅

2018.07.31 更新 ツイート

直に自然を感じられる松島小林希

6月8日に上梓された、旅作家・小林希(こばやしのぞみ)さんの最新刊『週末島旅』。
6月27日に、『週末島旅』の発売を記念したトークイベントが開催され、書籍に収録されていない話も含めて、たっぷりと島旅の魅力をお聞きしました。今回は、佐賀県にある松島編です。(文:世良 菜津子)

島の若者が島の未来のために奮闘

佐賀県にある、玄界灘に浮かぶ人口56人の松島。松島では、若者たちが「島の食材を使って、島の未来を考える」という挑戦をしています。松島では、女性ではなく男性の海士さん達が、海に潜ってアワビとかウニとか、玄界灘の豊かな海の恵みをとって出荷しています。

松島に、宗勇人(そうはやと)さんと言う28歳の若者がいます。彼は、1年半前くらいにリストランテマツシマというお店をオープンさせました。

すでに2号店のビストロマツシマが福岡にあって、大人気なんです。松島にあるリストランテマツシマも、現在3ヶ月ぐらい予約待ちで、予約が全然取れない1日1組限定のお店です。

松島の人口56人のうちの9人が20代の若者で、年齢が下が23歳で上が28歳です。彼らは海士さんとして働いたり、お客さんを近くの五島列島まで渡してあげる瀬渡しの仕事など、海に関わる仕事をしています。

リストランテマツシマで出している食材は、海士さんたちが獲って来たばかりのウニ、アワビ、サザエ、クエ、石鯛など、新鮮なものばかり出てきます。

「自然が元気だったら、海の生き物も当然元気なわけです」と、宗勇人さんに言われたことがあります。最近、ウニを割ってみると、中が空っぽだったりちょっとしか入っていなかったり、そういうことがあるらしいんです。それは、地球の温暖化が原因じゃないかと言われています。

松島の若者たちは、海の生き物と寄り添っているからこそ、海の変化に敏感に気づきます。自分たちがその自然を守り、どうやったら大切にできるか、ということを常に考えているんです。

島の最高の食材を提供することが、島の活性につながる

松島の海士さんたちは、全員が一槽の船に乗り込んで漁をしています。今日はあの辺で潜ろうと決めて、そこに船を止めてからそれぞれ潜り始めます。一槽の船に、今日採ってきたあわびやウニを乗せて帰ります。

本当に豊かな自然を感じたのは、10センチ以上あるムール貝を食べたときでした。海外では、ムール貝ってワイン蒸しで食べたりしますが、大きさは5センチ程度。ギュッと引き締まって味が濃くて、それがおいしいと思うんですけど、松島のムール貝は、実をナイフで切って食べるくらい本当に大きいんです。それでいて、味もすごくしっかりしていて。

リストランテマルシマに来たデンマーク人のシェフが、「こんなに大きなムール貝があるんだ!」と本当に驚いたと言ってました。これは、自然が豊かで海が健康的な証拠なんです。その状態を守っていくのが、島で生まれて育ち、島の恵みを海から採ってくる自分たちの役割だと、彼らは思っています。

宗勇人さんは「できる限り島に来る人たちに最高の食材を提供したい、そんな思いからリストランテを作った」と、言っていますし、それが島の活性にもなると考えて動いています。

将来、島の若者が、島を出ることなく島の中で結婚して、子供を産んで、島の学校に子供を通わせて暮らしていく…島の中で生きていけるようにするためにはどうすればいいか?ということを考えています。現時点で、小学校は休校。
今、来島者がすごく増え、リストランテマツシマを中心に島が盛り上がっています。でもそこに頼るだけではなく、若者がそれぞれ自立できるよう、それ以外にも挑戦しようとしています。

島野菜として出荷するために、野菜を作る。ハチミツも

松島では、島の未来を見据えたプロジェクトをやっています。松島はひょうたん型をして、くびれの部分に12〜13軒の集落があります。すごく勾配のある急な坂道が1本メインストリートであって、集落には重機が入ることができません。だから、自分たちで木を切って耕して、畑を開墾します。

集落の畑は、島のみんなが食べるために野菜を作っているわけではなく、みんなで島で暮らしていくための手段として作っています。島野菜として出荷したり、他のレストランに提供したり、島で働くため、生きていくために野菜の生産をしています。

島野菜は、肥料に海藻を使って育てています。島の周りにひじきやわかめがいっぱいあるので、それを肥料に使っています。「ちょっと味が違うんですか?」って島の方に聞くと、海藻を肥料に使うと、甘みが増しておいしいという風に教えてくれました。

さらに最近、蜜蜂を育ってハチミツをつくりはじめました。私もついこないだ松島で試食させてもらい、ハチミツ搾りも参加しましたが、これはかなりいいものだと思います。どう、売り出していくか、これからが楽しみです。

松島では、おいしいランチコースをいただきながら、私たちももっと自然のことを考えないといけないなと反省することができました。例えば、冷夏で野菜があまりスーパーに並ばない時も、自然界ではいろんなことが起きてるんだな…とか。もっと直に自然のことを感じて、反省したり感謝したりって言う気持ちを感じないといけないな、と思えるような島旅でした。

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小林希『旅作家が本気で選ぶ!週末島旅』

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週末島旅

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小林希 旅作家

一九八二年東京生まれ。旅作家。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。1年後帰国して、『恋する旅女、世界をゆくー29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫)で作家に転身。旅をしながらネコの写真を撮り続ける。また、執筆活動の傍ら、瀬戸内海の島にゲストハウスをオープンするなど島おこしに奔走する。著書に『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』(幻冬舎)など多数。現在五十五カ国をめぐる。『デジタルカメラマガジン』(インプレス)で「世界のネコに恋して」を連載中。
◆インスタグラム&ツイッター:nozokoneko

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