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週末島旅

2018.08.02 公開 ポスト

すごくミステリアスで、濃厚で、不思議。島旅との出会い。小林希(旅作家)

6月8日に上梓された、旅作家・小林希(こばやしのぞみ)さんの最新刊『週末島旅』。
6月27日に、『週末島旅』の発売を記念したトークイベントが開催され、書籍に収録されていない話も含めて、たっぷりと島旅の魅力をお聞きしました。(文:世良 菜津子)

27歳、「島旅ってすごい!」と思ったきっかけ

27歳の時に行った奄美加計呂麻島で、島旅のおもしろさに気づきました。

私はもともと大手IT企業の出版社の立ち上げをして、編集者として働いていました。編集長の山川さんに、ある日「お前、旅の本を担当したら。旅が好きだろ」って言われて、「やります、やります!」って即答して。

そして、担当編集になったのが、私にとっての島旅の師匠・島旅作家の斎藤潤さんでした。

斎藤さんとの初めての仕事で、山川編集長と3人で奄美大島へ取材の旅にいきました。私自身、奄美大島に行くまでは「島旅よりも、海外旅行の方がおもしろいんじゃないかな?」と思っていました。けど、奄美加計呂麻島の旅をきっかけに「島って、海外よりおもしろいかも」と思うようになったんです。

奄美加計呂麻島は、すごくミステリアスで、濃厚で、あまりにも不思議な世界。もはや、1つの国だなと思いました。私にとって新たな日本の真髄に触れた、新しい扉が開いたような感じがした旅でした。

お医者さんも頼りにする、ユタ神様を取材

奄美大島では、ユタ神様を取材しました。ユタ神様というのは民間信仰で、いわゆる霊感によって神様の言葉を伝える人ではなく、修行をして人々の悩みを解決してあげる方のことを言います。

悩みを解決してあげると言うよりも、「こういう間取りだったら、何々を変えなさい」とか、「あなたは水を飲みなさい」とか、その人の話している内容聞きながら改善する策を授けたりします。

私は取材のときに、ユタ神様に「水をたくさん飲みなさい」と言われました。話してもいない私の両親の話をされたり、すごく不思議な体験でした。斎藤さんや山川さんのことも、的確なアドバイスをされていたので、「なんだわかるのかしら」と思ったのをよく覚えています。
奄美や沖縄では、ユタ神様はとても敬愛されつつ、崇められているので、西洋医学の病院で「この病気は原因不明でよくわからない」と診断されると、「ユタ神様に行ってください」と言われるそうです。

それぞれの島に、文化や宗教があることを知りました。奄美の信仰では「自然が全て神様」という考えなので、私も自然崇拝に目覚めたって言うと大げさなんですけど、自然のすごさに気づいたような、そんな旅でした。

また、当時ユタBARっていうユタさんたちが集まるBARがあって。そこでまたユタ神様のまこさんを取材しました。その時に、まこさんから「すごい夢を見たんです」って言われて。それは、大きな大きな津波がやってきて必死に山のほうに逃げていて、杖をつきながら一生懸命登っているんだけど、あまりにも大きな津波だから怖かった、という内容です。

その時、「きっといつか、そういうようなことが起きるわよー」ってまこねえが言っていました。今思えば、東日本大震災よりも前の出来事だったので、ユタ様には東日本大震災の予感があったのかなと。

ユタ様には、それは科学ではとても説明できないような特別な能力があるのかなと言うことを、すごく感じた取材でした。

「ここは神様に祝福された場所だから、私はここから出ない」

奄美には、85歳位のおばあちゃんが1人で暮らしている、青久(あおく)と言う集落があります。青久は、ほんとにパワーやエナジーが溢れていて、すごく神秘的な場所です。

以前は20軒くらい家があったみたいで、今はただ石垣が残っていて、周りがちょっとした遺跡のようになっている集落です。青久を訪れて、1人で暮らしているおばあちゃんの話を聞いたときに、「ここは神様に祝福された場所だから私はここから出ない」と言っていました。

山を越えて、ジャングルのような塗装されていない道を降りていくと、青久という集落があります。そこを、昔は4歳位の子供たちが、山を1つ越えて別の集落まで学校へ行っていたらしいんです。奄美ってすごいハブがいて大変危険なので、「子供たちは、山を越えるときにハブとか大丈夫だったんですか?」って聞いたら、「子供たちは神様の子だから、そういう事は一度もなかった」って言っていました。

実は最近また青久を訪れ、おばあちゃんと再会しました。そこで、「子供は生まなくてもいいんだけど、でも結婚しなさい」と言われたんですね。おばあちゃんは、同じ集落で生まれた幼なじみのおじいちゃんと、ずっと幼い頃から一緒に過ごしていて、ある時結婚して、最後まで一緒だったらしいんです。それが本当に幸せだったって言っていました。

だから、子供がいる・いらないって言うことじゃなくて、大切な人と一緒に生きていくっていうのがすごく大事なことよって。そんなこと言われて、フムフムと思いながら話を聞いていました。

こういう島にいるおばあちゃんたちの言葉っていうのは、すんなりと心に届いてくるんですよね。島の方たちの話を聞くことができるということも、島旅の魅力です。

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週末島旅

6月8日に上梓された、旅作家・小林希(こばやしのぞみ)さんの最新刊『週末島旅』。
6月27日に、『週末島旅』の発売を記念したトークイベントが開催され、書籍に収録されていない話も含めて、たっぷりと島旅の魅力をお聞きしました。

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小林希 旅作家

一九八二年東京生まれ。旅作家。元編集者。出版社を退社し、世界放浪の旅へ。1年後帰国して、『恋する旅女、世界をゆくー29歳、会社を辞めて旅に出た』(幻冬舎文庫)で作家に転身。旅をしながらネコの写真を撮り続ける。また、執筆活動の傍ら、瀬戸内海の島にゲストハウスをオープンするなど島おこしに奔走する。著書に『泣きたくなる旅の日は、世界が美しい』(幻冬舎)など多数。現在五十五カ国をめぐる。『デジタルカメラマガジン』(インプレス)で「世界のネコに恋して」を連載中。
◆インスタグラム&ツイッター:nozokoneko

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