差別の根本は、あの頃と何も変わっていなかった。
1978年。
児玉はサンパウロで出会い、愛し合ったマリーナと結婚し、息子・洋介マルコスを連れて日本へ帰国する。
フリージャーナリストとして筆をとるが、収入は乏しく、家族を養うためにノンフィクション賞の受賞を狙う日々が続く。
一方の小宮は、サンパウロで自動車整備工場を開き、順調に事業を拡大していた。
だが、ブラジルを襲ったハイパーインフレがすべてを狂わせる。
資金難に追い詰められた彼は、出稼ぎとして日本行きを決意する。
日本で再会を果たした二人。
それは再生への第一歩だったのか、それとも――絶望への入り口だったのか。
かつて決別した過去が、影のように二人の背後から忍び寄っていた。

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