
5月11日に貫井徳郎さんの新作ミステリ長編『宿命と真実の炎』が発売されます。山本周五郎を受賞した『後悔と真実の色』の続編。かつてのエリート刑事、西條輝司のその後が描かれます。
続編とはいえ、まったく独立した作品として没頭できる『宿命と真実の炎』。『後悔と真実の色』を読んでない方もまったく心配はありません。
(もちろん『後悔と真実の色』を読んだ方は、よりいっそう楽しめます)
本特集では、書店員さんの感想や、鼎談、そして貫井さんのインタビューなど、本書の魅力、読みどころを随時お伝えしていきたいと思います。
まずは、担当編集者からのメッセージです。
物語の鍵は“復讐を生きるふたり”と、警察を去った西條と女刑事の因縁
「おれはこの先、ずっと後悔を抱えて生きていかなければならないんです」
貫井徳郎さんの山本周五郎賞受賞作『後悔と真実の色』の最後でこう語った、主人公の元捜査一課の刑事・西條輝司。
“名探偵”として鮮やかに事件は解決したものの、仕事も家族も財産も何もかもなくした西條がその後どうなったかをお伝えできないまま、8年も経ってしまいました。
それがようやく、警察を去った西條の姿と、彼がいなくなったあとの捜査一課第九係の様子を『宿命と真実の炎』としてお届けできることになりました。
『後悔と真実の色』もそうだったのですが、『宿命と真実の炎』も、連載から単行本としてまとめるまでに、多大な時間がかかりました。2014年2月から2015年7月まで『ポンツーン』で連載された「宿命と真実の炎」も相当におもしろい作品でした。しかし、貫井さんはそれでは満足できずに、頭から大幅に改稿。いや、改稿というレベルを超えています。ほぼ書き下ろしのようなかたちで生まれ変わることになりました。
貫井さんの作品の魅力は、それぞれの登場人物たちの抱える人生の重さを容赦なく描ききるところでしょう。そして、誰もが持つ、人間の多面性を見せつけられるところにあると思います。
今回の作品では、警察への復讐を心に決めたふたりと、警察を去り、一人で暮らす西條、そして、男性社会の警察組織のなかで、孤軍奮闘する所轄刑事の女性が物語の鍵を握ります。
それぞれが、自分の意思では思い通りにならない出来事に翻弄され、それぞれに納得できるかたちで人生を前に進めようとします。たとえそれが犯罪であったとしても――です。人生の苦難は、どこでわかれてしまうのか? 絶望の淵に立つとき、何が生きるよすがとなるのか? 私は、読みながら、何度も考えました。
しかし、そんな重さを感じながらも、どんどん読んでしまう、読めてしまうのが貫井作品のすごいところです。圧倒的な読み応えと鮮やかなトリック、そして驚愕の結末。貫井さんの魅力を存分に味わうことができます。
500ページ近くの大作です。上記に書いたこと以外にもたくさんの読みどころがあります。それぞれの読み方で、本書をぜひ堪能してください。
幻冬舎第一編集局 竹村優子













