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近藤勝重氏に学ぶ文章上達の極意

2017.08.31 公開 ポスト

第2回

まずは名文を「真似る」こと。そうして文章を「学ぶ」のである。中原真智子(国語教師)

 好評につき、第二期開催が決定した、コラムニスト近藤勝重さんによる、文章が学べるサロン「幸せのトンボ塾」。近藤さんから直接添削指導が受けられる、少人数制の贅沢な講座です。
 具体的には、どんな内容の講座になるのか?あらためて文章を学びたいと思う方へ向けて、2016年に開催した、第一期受講者のお一人で、国語教師の中原真智子さんによるレポートをお届けいたします。

 第2回近藤勝重先生の文章サロンin東京に行ってきました。

 毎月第1土曜日の昼間に2時間あります。今回は岡山・羽田往復の飛行機を早めに予約したら、宿まで付いて3万円を切りました。びっくり。岡山・羽田間は1時間10分です。早い。

 そしていよいよ第2回目の講座が始まりました。
 まず初めに書くことについての講義がありました。後半は前回の宿題「気付いたこと」について書いてきた4人の作品を取り上げ、添削して講評を言われました。まずは、講義の内容から…。

 
 ・「書く」ことは、頭で理解して心で納得すること。
  頭と心の往復運動。
  理性的になり、相手の身になって考える時間を持つこと。
 ・「書く」ことの長所は、「考えられる・生きられる・優しくなれる」ことである。 
 ・文章を上手に書く必要はない。
  まずは「真似る」こと。そうして「学ぶ」のである。
  まねても自分は自分であって他者にはなれない。
 ・「気付き」のポイントは対比である。それから「観察力」である。


 この後、80代とおぼしき女性、山名信代さんの作品を取り上げました。宿題「気付いたこと」は400字のはずでしたが、なぜか山名さんは800字でした…ま、いっか。

 

無駄な要る物 

山名信代

 いつだったか新聞で「むだの効用」という記事を読んだことがある。一見無駄に見える物が、豊かな心にしてくれるといった内容だったと記憶している。

 整然とした部屋はスッキリしているが、何となく生活感に乏しい気がする。そこに、何かが飾ってあると明るく和やかな雰囲気が漂う。それが旅の思い出や子(今では孫)の作品だったりするとその思いは深い。私は料理は好きだが掃除が苦手。つまり整理下手、物が捨てられない。海外生活経験の隣家の方は、整理整頓が完璧であった。物が溢れている我が家を何とかしたく、ハウスキーピングに通い、整理術の本は積ん読のみ、相変わらずだ。食卓の出窓には、観葉植物、香草の水栽培、みやげ物、カレンダー、ティシュケース、楊枝入れ、眼鏡入れ、孫が遊んだおもちゃ、プレゼントカードなどなど。私は毎日それらを眺め、語り、その物に纏わる人々を想う。また、季節ごとの伝統行事の度び飾る物を換え絵もかえる。好きで集めた食器も、和洋中華と増えていく。整然とした部屋が落ち着く、雑然としても落ち着くといるのではなかろうか。勿論、私は後者だ。

 若い時はいいが、老いた今、管理するエネルギーの大きさ、しかも健康でなくばと痛感する。大震災後、物を持つより、地震で壊れない物ー知識、文化、友達ーを大切にときくが、そう簡単に身につかぬ。その物が必要か不要かは各人の価値観や生活信条によると思う。いただいた物は大切にしたい、季節も楽しみ、安らぐひと時もちたいが、物に振り回されるのもどうかと迷ったりもする。

この夏さつま芋の芽の切れ端をカップなどに浸したらアッという間に日に向き蔓を伸ばし、まるで緑のカーテンとなり、その生命力、逞しさに、目を見張り、老々介護の私共は、力づけられ、水やりに努めている日々だ。


☆ポイントはいかに削るか

・「~が、~が」で続く文は、「~ものの」「~ながら」「~が、一方」などに変える。
・一文が長すぎるときは、いったん切る。
・改行を恐れてはいけない。5~6行も続いたら改行するくらいのつもりで段落を変え、読みやすくする。
・体言止めは多用しない。体言止めでないとダメだというところで使う。
  例:~が苦手。→ ~が苦手だ。
・漢字を使いすぎない。和語は基本的には平仮名がよい。
   例:物→もの  時→とき  勿論→もちろん
・句点「。」読点「、」を意識して使い分ける。
・必要なところには読点を打つ。
・「思う」「感じる」「考える」で終わる文章をなるべくやめる。他の言葉に置き換えることができるならば置き換える。(時々出てくるのはいい)


 全体としては三重丸の作品だとほめられました。確かに、山名さんは手書きで難しい字をさらさらと書いており、普段から書き慣れていると思いました。

 この後、他3人の作品を読みながら直していきました。

 ここでは作品は割愛しますが、アドバイスは列挙します。


・ひらがなを大切にする。
・「…」「!」「?」などの区切り符号は、やたらに使わない。
・構成は「現在・過去・未来」にするとよい。
・不必要な「私」は省略する。書かなくても分かるときは書かない。


「今を語ることによって世の中が平和になればいいと思って書いている。」
 近藤先生は講義の終わりにこうおっしゃいました。だから日々のちょっとしたことを大切に考えて書いていらっしゃるのです。    
 

                       2016年10月5日(水)

*   *   *

<2017年9月9日から開催決定!>
近藤勝重さんから直接文章指導が受けられる、第二期「幸せのトンボ塾」のお申し込みも受け付けております。

関連書籍

近藤勝重『今日という一日のために』

毎日新聞夕刊(一部地域朝刊)に連載のコラム「しあわせのトンボ」。新聞が届いたらまずここから読む、という人も多い大人気コラムです。週1回、10年に及ぶ連載分から64編を厳選し、大幅な加筆修正をして1冊にまとめました。 著者の近藤勝重さんは端正な文章に定評のあるコラムニストであり、ジャーナリストです。毎日新聞の社会部時代にはグリコ・森永事件や山口・一和会の大阪戦争、日航ジャンボ機墜落事故を最前線で取材し、記事にしてきました。しかし「しあわせのトンボ」では堅苦しい話は抜きにして、散歩中に心奪われた風景、友との会話で気づいたことなど、身近な話題と世相をていねいに織り上げることを大切にしています。「日々の暮らしが穏やかに続く。その日々のほんのささやかな幸福感やありがたさを書かず、語らずして、政治に物申すことも、政治を変えることもできない」と、近藤さんは言います。 心は内に閉じ込めるものではなく、外に連れ出すものなのかもしれない。そう気付いて始めたのは、外に出て自然に触れることであった。(「心は外に」) 改めて言うまでもなく、人の心はわかりにくい。本音と建前の物言いもあれば、うそも言う。さらに言うなら、自分の心すらわかっていないのが人間だ。鏡の自分を見て、そこに映っていないもう一人の自分がささやく。「本当のことを言ったら」と。(「『わかった』はわかっていない」) その一日、何か無為に過ごしたかのような気もしたが、思い返せばよく笑った日であった。ぼくは何人もの笑いの天使に会った。今日という一日も、こんなぐあいに過ぎてくれれば日々これ好日である。(「笑いの天使とともに」) しみじみと味わい深い文章で日常のなにげない風景を鮮やかに切り取った名コラム。近藤さんとゆく〈読む散歩〉をぜひお楽しみ下さい。

近藤勝重『書くことが思いつかない人のための文章教室』

「文章を書く」とは、長い間の記憶から体験を引き出して描写することだ。自分にはそんな特別な経験はないと考える人でも、うまい引き出し方さえわかれば書ける。また、伝わる文章にしたいなら、くどくどと説明してはいけない。とにかく描写せよ。細部に目をこらして書けば、真に迫る。たとえばさびしい気持ちなら、「さびしい」と書くな。さびしさを表わす「物」を描写してそれを伝えよ――ベテラン記者で名コラムニストの著者が、ありきたりにならない表現法から、書く前の構成メモ術まですぐ使えるコツをやさしく伝授。

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近藤勝重氏に学ぶ文章上達の極意

好評につき、第二期開催が決定した、コラムニスト近藤勝重さんによる、文章が学べるサロン「幸せのトンボ塾」。
プロのコラムニストである近藤さんから直接添削指導が受けられる、少人数制の贅沢な講座です。
具体的には、どんな内容の講座になるのか?
あらためて文章を学びたいと思う方へ向けて、第一期受講者のお一人で、国語教師の中原真智子さんによるレポートを全7回でお届けいたします。

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中原真智子 国語教師

中学校国語教師。岡山県倉敷市在住。 近藤勝重氏主宰の文章教室「幸せのトンボ塾」第一期生であり、その授業内容をまとめたレポートを近藤氏に評価され、幻冬舎plusでの連載にいたる。 趣味は旅・映画・読書。

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