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うかうか手帖

2026.09.09 公開 ポスト

もしも、新しい地で暮らすなら益田ミリ(イラストレーター)

故郷の大阪。

 

その故郷より長く暮らしている東京。

もしも、次に新しい地で暮らすなら?

と聞かれたら、わたしは盛岡と答えるんだと思う。

盛岡の街の雰囲気が好きだ。

駅から歩いてすぐの北上川にかかる開運橋。その上から見える美しい岩手山。訪れるたびにホッとする。

2026年、夏休みの東北旅。

盛岡に一泊し、その後、秋田の男鹿をめぐるプランである。

 

さて、盛岡に到着したのは午後3半。大慌てでホテルに荷物を預けて向かった先は、盛岡駅前、焼肉の名店「盛桜閣」。夜は絶対に長蛇の列になるはずなので、ならば中途半端な時間に行くのが得策であろう。

と、行ってみたらそこそこ並んでいたのだった。

午後3時半の焼肉。みんな一体、ナニごはん? え、おやつ? 自分もナニごはんかは不明だが、入り口で名前を書き、待つこと20分。入店。

広々とした店内にはテーブル席と座敷席。テーブル席に通され、さっそく焼肉。わたしはカルビとロースをタレで。昔はタン塩やハラミなども食べていたが、今はもうこの二択。焼肉にバラエティを求めないタイプである。最後はもちろん名物の盛岡冷麺。辛味は別添えで、味へんしながら。懐かしいもちもち麺。盛岡に来たーっと心の中で叫びつつ、淡々と食べ終える。

その後、お気に入りの喫茶店「カプチーノ詩季」で温かいカプチーノ。焼肉のテンションを一旦、沈める。

翌日は早朝から移動なので盛岡観光はほんの束の間。

夏の夕暮れ時。のんびり歩くだけでも、もう十分に楽しい街だった。

しばらく散歩して、今度は新しいカフェに入ってみた。

洋服ブランド「ミナ ペルホネン」が手掛ける カフェ「コータ ヨキ」。フィンランド語でコータは集う、ヨキは川だそうで、その名のとおり2階のテラス席からは中津川が見渡せる。

テラス席でホットコーヒー。8月なのに風にはもう秋の気配がする。

犬と散歩する人々が川沿いをゆったりと歩いている。猫も好きだが犬も好きだ。もし犬を飼ったら、絶対に猫っかわいがりするに決まっている。

けれども、わたしは犬を飼わない人生なのだと思う。そして猫も。気ままに旅に出たいから観葉植物すら家にはない。

閉店間際まで「コータ ヨキ」で過ごし、てくてく歩いて再び開運橋を渡って盛岡駅へ。

駅ナカのお土産屋さんを見て回る楽しいひととき。「チロル」のチーズケーキはテイクアウトで夜のおやつ用。軽く蕎麦を食べてホテルに戻り、やっぱ、盛岡ええなぁとテレビを見ながらケーキを食べた。

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うかうか手帖

ハレの日も、そうじゃない日も。

イラストレーターの益田ミリさんが、何気ない日常の中にささやかな幸せや発見を見つけて綴る「うかうか手帖」。

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益田ミリ イラストレーター

1969年大阪府生まれ。イラストレーター。主な著書に、漫画『すーちゃん』『僕の姉ちゃん』『沢村さん家のこんな毎日』『週末、森で』『きみの隣りで』『今日の人生』『泣き虫チエ子さん』『こはる日記』『お茶の時間』『マリコ、うまくいくよ』などがある。また、エッセイに『女という生きもの』『美しいものを見に行くツアーひとり参加』『しあわせしりとり』『永遠のおでかけ』『かわいい見聞録』や、小説に『一度だけ』『五年前の忘れ物』など、ジャンルを超えて活躍する。

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