誰かと一緒にいても、抱きしめられても、孤独からは逃れられない。
少なくとも私は逃れられないでいる。
私は数日前の主催イベント(筆者はYouTuberである)で100人近くのお客様の前に立ったけれども家に帰れば1人。その落差によって余計に孤独を感じた。
そんなことを感じつつも、むしろ私は1人が好きな方だ。精神状態が安定している時は。
しかし不安に苛まれた時、悲しみに暮れた時、どうしようもなく孤独を感じては「私は世界でひとりぼっちなのではないか?」という思考に脳内が支配されてしまう。
そんな時、人と一緒にいてもなぜだか余計に“1人であること”を痛感してしまうし、温もりを求めて人と身体を寄せ合ってもそれは一時の気休めにしかならない。
孤独から逃れるには、1人じゃないと思えるにはどうしたら良い?
その答えをずっと探していた。
まさかこんなところで見つかるとは……。
それは「銀河の一票」(関西テレビ)第10話で東西新聞の記者:雨宮楓(三浦透子)が茉莉(黒木華)にかけたこの言葉。
「マジで1人じゃないっすからね。1人にしないんで。1人で1人になっちゃわないでくださいね。」

茉莉自身さえもわからなかった、“あの手紙の転落死した学部長の真相”に対しての向き合い方。
「隠されて守られるより本当のことを知りたい」という茉莉の心情を読み取った雨宮が茉莉にかけた「1人じゃない」という言葉。
自分に寄り添い、理解してくれている人からかけられる「1人じゃない」という言葉ほど、
孤独を打ち消してくれる言葉はないのではないかと思わずにはいられなかった。
雨宮が言うように、1人だなという気持ちには殺傷能力がある。
その気持ちは時に人の心を、肉体を殺しかねない。
だからこそ、それを言葉にして声でも、文字でも、手話でも、相手に直接伝えてあげることが本当に命を救うと私は思っている。
今回の“1人だなという気持ち”の話では直接言及こそされなかったが、このドラマは人の死……特に自死についてかなり真っ向から向き合っているように思える。
第7話では月岡あかり(野呂佳代)が「死ぬって言葉を取引に使うと戻れなくなっちゃうよ」というセリフもあったように、決して少なくはないであろう人たちが一度は抱えたことのある死にたいという気持ちに対して、このドラマはその胸の内の葛藤をオープンにし、優しく包み込んで諭してくれる。
殺傷能力があるというのも言い換えれば死にたくなるという気持ちに近いものだろう。
その気持ちへの向き合い方と言うべきか……救いのヒントを与えてくれたように感じた。
私はドラマを視聴していて、「1人じゃない」という言葉が欲しくてたまらなくなった。
もしかすると心の中では私に対して「あなたは1人じゃないよ」と思ってくれている人がいるとしても、実際にその言葉をかけてもらえることの大きさたるや……。
だからといってこれを見ている私と近しい人におねだりしている訳ではないので悪しからず……。
(然るべきタイミングでかけてくれたらきっと泣いてしまうよ、私。いや振りじゃないからね? )
もっと人を信じても良いのかもしれない
前回、SNS上でも話題となり、当連載記事でも話題の中心となった第9話のMVPキャラクター、大樹(伊能昌幸)。
私はすっかり彼の魅力に取り憑かれてしまったわけだが、今回の第10話で漂った一瞬の不穏な空気に私は彼を一度疑ってしまった。
ポスター貼りを進めている大樹から何の連絡もなく、ポスターの掲示状況がわかるアプリの更新も何もないという状況になった時、私は大樹が“飛んだ”と思ってしまったのだ。
前回あれだけ大樹の人柄を買ったのに……元不良だけど更生して……と考察したのに……私は彼を信じきれなかった。
もしかしたらあれだけ仕事の出来る大樹を印象付けた前回が振りになって、今回の第10話でその振りがよからぬ形で活かされるのではないか? とつい思ってしまった。
しかしその考えは杞憂だった。
彼が連絡を返さなかったのはただスマホの充電が切れていただけで、すでに全ての掲示板へのポスター貼りを終えて事務所に戻ってきたのだ。
本当にこのドラマはつくづく人を見る目について考えさせられる。
このドラマが開始された当初も言っていたが、もはや視聴者が持つ“穿った人を見る目”を炙り出しているのではないかとすら思う。
本当に反省させられる。
もう私は大樹に何が起きても、その顛末を知るまでは疑うことをやめようと思う。
そして他の人物たちもまだ視聴者が見えていない知られざる一面を幾つも持っているだろうから、先述の“穿った人を見る目”の炙り出しトリックも相まって、もはやこのドラマに本当の悪人などいないのではないかとすら思えてきた。
幹事長の鷹臣(坂東彌十郎)すらも、平たく言うと実は“良い人”なのではないかとも思えてきたのだ。
手紙を送ったのは誰? 最終話で明かされる真実とは……。
前回、“手紙の送り主”を考察することはしないと言いつつ……流石にこの展開は触れざるを得ない状況だ。
手紙というのは幹事長やガラさん(岩谷健司)、蛍(シシド・カフカ)や古書店の店主にも届いていた“新座値利学部長の転落死を報じた新聞の切り抜き”と“あなたが殺した”と書かれた紙が同封された差出人不明のものだ。
新座値利学部長は、茉莉の亡き母の担当医であり5年前に亡くなっているはずだが、流星(松下洸平)が古書店で売れ残ったのを常に見ていた「銀河鉄道の夜」が売れていることに気づき、買い主のことを店主に聞くと「悪役の名前が自分の名前に入っている」と本の買い主が言っていたとのことで「銀河鉄道の夜」に出てくるいじめっ子のザネリ=新座値利(ニイ“ザネリ”)と一致……ということは生きていて新座学部長が手紙を送った? と第9話時点では思われた。
しかし第10話では、新座学部長の死因が自死であることをガラさんが確認済みであり、その証拠となる映像も残っていたため、新座値利学部長が亡くなっていることは揺るぎない事実だと確認できた。
……となると余計に誰なんだ……手紙を送ったのは……。
現時点で一番怪しいのはしずちゃんこと雫石(山口馬木也)だろう。

しかしその動機がイマイチわからない。
雫石は幹事長の秘書であり、手紙の内容が世に出ることを避けたい人物であることは間違いないからだ。
だがその手紙の内容が、今見えている事実と違ったとしたら?
私が考える説はこうだ。
新座学部長は茉莉の母:瑠璃(本上まなみ)に対して彼女が患っていた「悪性心筋血管芽種」の治験を行った可能性が考えられる。(治験の実施期間が瑠璃の入院時期と重なっているため)
鷹臣には治験の了承を得たものの、治験の甲斐もなく瑠璃は亡くなってしまった。
決して治験のせいで亡くなった訳ではなかったものの、新座はその責任を感じ苦しんでいた。
それを見た鷹臣は、そんな新座を気にかけ後押しして新座を学部長の座に就かせた。
しかし程なくして責任からは逃れられなかった新座は自死を選んでしまった。
もし上記の考察の通りだとしたら決して鷹臣は所謂悪いやつではないし(それだけではチャラにならないか……)、雫石がこの手紙をばら撒いた理由も、この件で人が変わってしまった鷹臣を指した、“あなたが殺した”=“新座が鷹臣の心を殺した”という真意を周りの人々にわかって欲しかったからなのかもしれない。
……皆まで言わないで欲しい。
確かに支離滅裂だ。
流石にこの考察は難しい、わからない。
少し無理矢理……そして色々なものがひっくり返る、特に鷹臣の見え方がひっくり返るような考察をしてみた。
「銀河鉄道の夜」をしっかりと読んではいないが、ザネリはいじめっ子でありながらも、“主人公の親友:カムパネラが命を落としてまで助けた人物”だという。
そういう意味では新座を助けた鷹臣はある意味“人が変わってしまった=死んだ”とも捉えられるので、あながち遠くないかもしれない。
いってもこちら“考察食堂”。記事には間に合わなかったが、その名にかけて最終話までにしっかりとこの“手紙の送り主”を考察し、自分なりの考察レシピを生み出したい。
••┈┈┈┈•• ドラマ情報 ••┈┈┈┈••
関西テレビ『銀河の一票』( 毎週月曜夜10時~)
出演:黒木華、野呂佳代、渡邊圭祐、倉悠貴、小雪、本上まなみ、岩谷健司、山口馬木也、木野花、岩松了、松下洸平
脚本:蛭田直美
音楽:坂東祐大
主題歌:「おーへい」浜野謙太(在日ファンク)&後藤真希 feat. 黒木華&野呂佳代(日本コロムビア)
プロデュース:佐野亜裕美
制作プロデュース:植木さくら、森田美桜
演出:松本佳奈、藤澤浩和、瀧悠輔、稲留武
制作協力:AOI Pro.
制作著作:カンテレ、MYRIAGON STUDIO
著者:ケメ・ロジェ
イメージイラスト:サク
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3人組ドラマ考察系YouTuber 6969b(ろくろっくび)による考察記事の連載がスタート!
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