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その悩み、ハイパフォーマーならこうするね

2026.05.26 公開 ポスト

「失敗が怖い」とチャレンジを避けてきた人を待ち受ける“かたより”と“薄い職業人生”相原孝夫

ハイパフォーマーとは、一時的に成果を出した人ではなく、環境や状況が変わっても、一定以上の成果をあげ続けている人。「ハイパフォーマー研究」をライフワークとし、これまで3000人以上のハイパフォーマーにインタビューを重ねてきた、人事・組織コンサルタントの相原孝夫氏が、ハイパフォーマーの悩み方をまとめた、『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』を発売しました。 困難に直面したとき、ハイパフォーマーならではの考え方の軸とは何なのでしょうか? 「失敗」をめぐっての行動原理をお届けします。

完璧主義者はチャレンジできない

チャレンジができない典型的な人材タイプの一つが「完璧主義者」です。学生時代に優秀だった人に多いタイプです。完璧を求めるあまり、失敗してはいけないという思いが強く、新しいことへのチャレンジを躊躇してしまうのです。失敗しないために前例主義の考え方が強く、変化への対応が苦手です。変化の激しい時代にあっては、こういう人がリーダーをしていては組織を停滞させてしまいます。

高学歴の人がビジネスの世界では必ずしも成功を収めない、あるいは体育会系の人が成功を収めることが多い、そのように言われる理由の一端はこの点にあります。失敗を恐れてチャレンジしなければ、大きな成功もなく、成長もありません。どんどんチャレンジし、失敗も成功も多く経験していれば、経験値は高まり、あらゆる状況に対応できるようになります。10年、20年のスパンで見れば、雲泥の差がつくことになります。

結局、失敗を恐れてチャレンジを回避してきた人は、大きな失敗も成功も経験しておらず、薄い職業人生を送ることになります。結果として、他者と差別化できる強みを確立できていないため、組織に欠かせない存在とはなれず、影響力も発揮できないことになってしまうのです。

偏ったミドルになってしまう理由

チャレンジをせず、失敗もしてこなかった人のもう一つの大きな問題として、ある限られた面のみが伸びていき、やがて偏りが大きくなるという点があります。ミドルになっても安定感を欠くような人の多くはこのタイプです。失敗しそうなことへのチャレンジは避け続けるので、新たな側面の能力はいっこうに身に付かないままキャリアを歩んでいくことになります。

プライドが高く、コンプレックスも強いという人はこうなるリスクが高いといえます。このタイプは、自信を持ちたい、周囲に優秀だと認められたいとの思いが強いため、自分がうまくやれるとわかっていることだけをやるようになり、やれるかどうかわからず、自分の能力に疑問を抱く恐れのあることを避けるようになります。

キャリアが進むに従って、ますますそうした傾向は強まっていきます。気がついてみると、ある特定のことだけを任される特定業務遂行者としてのキャリアだけが残ることになります。失敗を克服した経験のない人にリーダーを任せることはできないので、リーダー候補からは真っ先に外されることになります。それでも、その特定の分野で価値が出せているうちはいいのですが、環境変化の激しい現代にあって、保有している能力が陳腐化し価値が出せなくなった場合には、途端に仕事を失うことにもなりかねないというリスクを背負うことになります。

「証明型」の人、「習得型」の人

失敗をしたくない人と、失敗をいとわずチャレンジし、そこから学べる人がいるわけですが、社会心理学者のハイディ・グラント・ハルバーソンは、このあたりのことを「証明型」と「習得型」という概念を用いて、「能力を示すためによい成果をあげること」を重視する「証明型」の人と、「成長や進歩、技能の習得」を重視する「習得型」の人がいると述べています。著書『やってのける(原題:SUCCEED)』(大和書房)の中で以下のように説明しています。

学生の多くは、試験で良い点数をとることばかり考えがちかもしれない。しかし、中には学ぶことそのものに意識を向けている学生もいる。「習得型」の人は成長を望む。技能や能力を高め、よりよい存在になろうとするのだ。そのような人は、「自己承認」ではなく「自己成長」という点を重視している。優れた存在であること(Be Good)を証明しようとするのではなく、優れた存在になること(Get Better)を重視するのだ。

「習得型」の人は、能力不足による低調な結果や直面するトラブルをネガティブには捉えない。問題にぶつかっても、とくに意気消沈したり、無力感を味わったりすることなく、壁を乗り越えるための行動を取ろうとする。ビジネスにおいて、うまくいかなければ、経験のある同僚にアドバイスを求める。後輩からでさえ何かを学ぼうとする。

一方、「証明型」の人は、自分に能力がないことを相手に知られたくないために、助けを求めることを躊躇しがちである。助けを求めることを自らの能力のなさを周りに示すことだと見なす傾向がある。「習得型」の人が人の力を借りることの価値を知っているのと対照的だ。

ある実験の結果、「習得型」の人は、成功への期待が下がった状況にあっても、モチベーションを失わずに挑戦を続けようとする傾向があったということが報告されている。成功の見込みが薄くなっても、学びや成長は続けられると考えるため、モチベーションを維持しやすくなる。成功が目的ではなく、その過程での成長が目的だからだ。「習得型」の人は、プロセスに興味を持ち、行動そのものに大きな関心と楽しみを見出す傾向がある。

そして、ハイパフォーマーの人たちは明らかに「習得型」の性質を持っているのです。なぜなら、成果に目が向いているからです。成果をあげるうえで必要と思えば、誰にでも躊躇なく教えを乞うのです。一つの典型例としては、畑違いの部署へ管理職として配置転換となったようなケースが挙げられます。ハイパフォーマーは、部下にも躊躇なく教えを乞い、早期にキャッチアップするのです。多くの人がなかなかキャッチアップできずに、メンバーと距離ができてしまうのとは大きな違いです。
 

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続きは、相原孝夫著『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』をご覧ください。

関連書籍

相原孝夫『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』

悩むのは、能力不足のせいではない。 より良い状態へ移ろうとしているサインだ ハイパフォーマー=仕事で成果を出し続ける人 3000人以上のインタビューから見えた 仕事の壁をキャリアのステップに変える思考法 3000人以上のハイパフォーマー=成果を出し続ける人にインタビューを重ねてきた、人事・組織コンサルタントが明かす、共通する「悩みの乗り越え方」。 それは、自分を責めず、焦らず、淡々と続けること。 なぜそれができるのか。 彼らは悩みを能力不足のせいにせず、 状況が変わり始めているサインとして受け止めているからだ。 「成長」「人間関係」「職場環境」「自信」―― 16の悩みに、ハイパフォーマーならどう向き合うのか。 仕事人生は、「悩み方」で大きく変わる。

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その悩み、ハイパフォーマーならこうするね

2026年5月13日発売『その悩み、ハイパフォーマーならこうするね』(相原孝夫著)について

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相原孝夫

人事・組織コンサルタント。立教大学大学院ビジネスデザイン研究科特任教授。株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長。早稲田大学大学院社会科学研究科博士前期課程修了。マーサージャパン株式会社代表取締役副社長を経て現職。人材の評価・選抜・育成および組織開発に関わる企業支援を専門とする。旧労働省大臣官房政策調査部研究会委員、総務省研究会委員、日本人材マネジメント協会(JSHRM)幹事等を歴任。経営アカデミー(日本生産性本部)、日経ビジネススクールほかでの講演等多数。著書に、『なぜ私たちは、仕事が嫌いになるのか。ハイパフォーマーの隠された真実 』『職場の「感情」論』『バブル入社組の憂鬱』『ハイパフォーマー 彼らの法則』『会社人生は「評判」で決まる』『コンピテンシー活用の実際』(以上、日本経済新聞出版)、『仕事ができる人はなぜモチベーションにこだわらないのか 』(幻冬舎)、『図解 競争優位を生み出す戦略人材マネジメント』(東洋経済新報社)ほか多数。

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