2026年3月27日に公開される『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』。このたび、その“本予告”となるCM動画が公開されました。
わずか90秒で、たちまち鷲掴みにされる予告ムービー!
長編の映画作品を、この90秒で展開するにあたっては、いろんな考えや選択肢があったはずだが……。
この告知動画について、映画について、西野さんがXでこんなことを書いています。
* * *
本日、東宝公式YouTubeチャンネルにて、『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』の本予告(90秒CM)が公開されました。
先日お披露目した30秒CM は、いわゆる「特報」にあたり、「来年3月に最新作が公開される」という事実を広く認知していただくことを目的とした映像でした。
一方、今回の本予告は、物語の一端に踏み込み、作品への関心を喚起し、「映画館へ足を運ぶ」という具体的な行動につなげることを目的とした、いわば勝負の映像です。
さて今回は、この本予告を編集するにあたり、僕自身がどのような思考を巡らせていたのか、その裏側を少しだけお話ししたいと思います。
編集にあたって設定したペルソナは、「映画館の席に座ったときの自分自身」でした。いわゆる「ペルソナ=俺」というやり方です。
まず前提として、データ上明らかになっているのは、「映画館に足を運ぶ人の大半は、日常的に映画館へ通う層である」という事実です。
普段はYouTubeやゲームに時間を費やし、今回だけ特別に映画館に来た、という人は実際にはごく少数派です。
つまり、最初に狙うべきは「映画館に行く習慣を持つ人たち」。
しかし、その層を抽象的に捉えても、「顔」も「名前」も浮かびません。
僕は、「顔と名前が思い浮かばないペルソナ」に実効性はないと考えています。
そこで最も具体的にイメージできたのが、「月に一度は映画館に足を運んでいる自分」でした。少なくとも、映画業界が想定するターゲット像の一端には、僕自身が含まれているはずです。
では、そんな僕が映画館でどんな行動を取っているか。
席に着くと、上映が始まるまでのわずかな時間に、溜まっていたLINEの返信を済ませ、関係各所には「これからしばらく返信が滞ります(※映画上映中は電源を切らなきゃいけないから)」という連絡を入れます。
頭の中を整理し、できるだけクリアな状態で本編に臨みたいからです。
その結果どうなるかというと、本編前に流れる予告編は、どうしても、スマホを触りながらの「ながら見」になります。
「予告を集中して観よう」という状態ではありません。
予告編そのものを記憶していないことも珍しくない。
だからこそ今回の本予告では、「(スマホの電源を切る為に)スマホを触っている西野の注意を、どうやってスクリーンへ引き戻すか」という一点に、編集の焦点を絞りました。
最初に前面に出したのは「音」です。
視線はスマホに向いていても、耳は空いている。ならば、まずは耳を掴みにいこう、と。
現時点で本作が持つ音素材の中で、最も強い引力を持っているのは、主演の永瀬ゆずなさんの声、そして主題歌『えんとつ町のプペル』だと判断しました。
この二つを軸に、予告映像を構築しています。
もちろん、CMである以上、一定の情報を伝える必要はあります。
しかし情報というものは、興味を持った後に欲しくなるものです。
コンテンツが飽和した現代において、冒頭から情報を詰め込まれれば、少なくとも僕自身は、心を閉ざしてしまう。
ここでも基準は「みんな」ではなく、「ペルソナ=俺」。
自分に刺さるかどうか、それだけを判断軸にしました。
その結果、本予告では主題歌がかなり大胆に使われています。
90秒のうち、およそ60秒は主題歌が流れている構成です。
一度でも観客の視線をスクリーンに向けることができれば、あとはスタジオ4℃という世界屈指の職人集団が、その映像表現で一気に心を掴んでくれる。そう判断しました。
なお、本作は一般的な「3Dアニメーション作品」ではありません。「3D技術を用いた2D作品」と表現するのが最も近いと思います。
僕自身、2Dアニメーションが好きで、前作以降、この表現領域の可能性を追い続けてきました。
今回、その探求はさらに一段階、進化しています。
およそ4年の時間をかけて磨き上げてきた作品のエッセンスが、この90秒に凝縮されています。
ぜひ、その一端をご覧いただけたら幸いです。
(西野亮廣(キングコング)さんのXより)
* * *
『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』は、製作総指揮・脚本・原作を西野亮廣、監督を廣田裕介、アニメーション制作をSTUDIO4℃による、長編アニメーション映画。
前作『映画 えんとつ町のプペル』で遠くに行ってしまった大切な友達プペルに、少年ルビッチがもう一度出会うまでを描く物語。プペルの声は前作に引き続き窪田正孝。主人公・ルビッチの声をオーディションで選ばれた永瀬ゆずなが担当。
2019年発売の『チックタック ~約束の時計台~』(にしのあきひろ作)を原案とした、冒険ファンタジーです。
西野亮廣の本

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