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しない生活

2023.04.30 公開 ツイート

不便なことを受け入れるほうがリラックスできる 小池龍之介

楽しみにしていた休暇、意気揚々と出かけた旅先なのに、ついちょっとしたことでモヤモヤ、イライラしてしまったりしていませんか。小池龍之介さんの『しない生活』は、そんな乱れた心をスーッと静めてくれる一冊。本書が説く108のメッセージの中から、いくつかピックアップしてお届けします。

*   *   *

ある日、午後九時半頃になって翌日に乗る飛行機の予約をしようとしてA航空会社の受付センターに電話をしてみると、すでに受付時間は終了している、とのこと。ただし、音声ガイダンスにより発着便の空席状況は確認できる、とのアナウンスが流れていました。

それを聞き、「なるほど、空席確認をした流れで予約もできるだろう」と思ったものです。というのは以前、別のB航空会社では受付終了後に、音声ガイダンスに従って電話で番号を押せば予約ができたから。

(写真:iStock.com/den-belitsky)

ところが、苦労してようやく「○×空港から△□空港まで○時△分発の便」を選択したところ、「その便には十分空席がございます」とアナウンスが流れるのみで、予約はできないことがわかりました。

「くー、予約できそうな思わせぶりをして、『十分空席がございます』ってことだけわかって予約はできないなんて、殺生な。こちとら眠る前の貴重な時間を十五分も潰してしまったぜ。B社を見習ってほしい」。そんなふうに、頭の中でケチをつけてしまっている最中に、ふっと思い当たりました。いったん便利なサービスを受け、それに慣れてしまったせいで、夜間に電話予約できない、というごく普通のことを諦められなく(、、、、、、)なっているのだ、と。

せっかく、便利すぎる世の中から身を退けようとしてインターネットや携帯電話を持たない生活を選んでいるはずが、たかが予約のことで「何て不便で気が利かないんだッ」とケチをつけるのですから、可笑(おか)しなものだと苦笑しました。

何事であれ、「無理なら仕方ない」と諦めれば肩の力が抜けてリラックスするもの。各種の便利すぎる道具やサービスに慣れて王様気分でいる私たち現代人は、諦めてリラックスする好機を奪われているのです、トホホー。

関連書籍

小池龍之介『しない生活 煩悩を静める108のお稽古』

メールの返信が遅いだけで「嫌われているのでは」と不安になる。友達が誉められただけで「自分が低く評価されたのでは」と不愉快になる。人はこのように目の前の現実に勝手に「妄想」をつけくわえ、自分で自分を苦しめるもの。この妄想こそが、仏道の説く「煩悩」です。煩悩に苛まれるとき役に立つのは、立ち止まって自分の内面を丁寧に見つめること。辛さから逃れようとして何か「する」のでなく、ただ内省により心を静める「しない」生活を、ブッダの言葉をひもときながらお稽古しましょう。

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しない生活

メールの返信が遅いだけで、「嫌われているのでは」と不安になる。友達がほめられただけで、「自分が低く評価されたのでは」と不愉快になる。つい私たちは、ちょっとしたことでモヤモヤ、イライラしがちです。小池龍之介さんの『しない生活』は、そんな乱れた心をスーッと静めてくれる一冊。本書が説く108のメッセージの中から、いくつかご紹介しましょう。

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小池龍之介

1978年生まれ。山口県出身。東京大学教養学部卒業。 元僧侶。ウェブサイト「家出空間」主宰。​2019年に還俗し、現在は「月読お稽古場」道場主  。 著書に『しない生活』(幻冬舎新書)、『沈黙入門』『もう、怒らない』(ともに幻冬舎文庫)、『考えない練習』『苦しまない練習』(ともに小学館文庫)、『超訳 ブッダの言葉』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『平常心のレッスン』(朝日新書)、『“ありのまま" の自分に気づく』(角川SSC新書)などがある。

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