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盾と矛

2023.01.24 更新 ツイート

キング牧師、サッチャー元首相が得意とした「修辞技法」の極意 加藤晃/ロバート・フェルドマン

テクノロジーの発展や、「人生100年時代」の到来によって激変している私たちの働く環境。ロバート・フェルドマンさん、加藤晃さんの共著『盾と矛 2030年大失業時代に備える「学び直し」の新常識』は、DX、AI、SDGs、MOTなど、理解しているようでしていない新しい概念をはじめ、ビジネスパーソンが身につけておくべきテーマをまとめた一冊。激動の時代をサバイブするために、ぜひ目を通しておきたい本書から、内容の一部をご紹介します。

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大失業時代を生き残るために

第2のスキルは、徹底してわかりやすい文章を書くコミュニケーション力です。犬と猫の例を挙げましょう。猫に「取って来い」と命じても意味はありません。猫にはその概念がないからです。犬なら、すぐわかります。

(写真:iStock.com/golubovy)

人間も同じです。例えば、「野球の大谷のようだ」と言えば、アメリカ人や日本人であれば、みんなわかるでしょう。しかし、相手が欧州人であれば、大谷のことがわかるどころか、野球さえわからない人が多いので通じません。欧州人と話す時は、「大谷のよう」と言わずに、「メッシのよう」と言うべきです。

つまり、相手がわかる比喩を使わなければ言いたいことは伝わりません。この点を理解し、的確な比喩を使えることが、コミュニケーション力・意思疎通力なのです。

 

さらに、修辞技法も効果的です。その一つは、同じ言葉を繰り返すこと。あるいは同じ言葉を、間をあけて繰り返す技法です。

例えば、ジェームズ・ボンドが自己紹介する時は、「ボンドです……ジェームズ・ボンド」と言います。この際、ゆっくり話した方がよいでしょう。普通に話すより3分の1くらいのスピードでよいかと思います。

並列構造も役に立ちます。修辞技法の名人はキング牧師です。

「Our scientific ability has outpaced our moral ability. We have guided missiles but misguided men.」。訳すと、「人類の科学力は道徳力を超えた。ミサイルは誘導できるが、道を誤っている人が多い」。比喩、並列構造、押韻も入っている、見本のようなキング牧師の文章です。

この、キング牧師の「I have a dream.」という有名なスピーチは、日本語の字幕も入り、インターネットで簡単に見ることができます。

わかりやすい文章のコツ

もう一つの良い例は、イギリスのサッチャー首相です。

彼女の有名なスピーチの中に、「In politics, if you want anything said, ask a man. If you want anything done, ask a woman.」という文章があります。訳すと、「政治の世界では、何か言ってほしいことがあれば男性に頼みなさい。やってほしいことがあれば女性に頼みなさい」。

(写真:iStock.com/Chinnapong)

中身はデタラメですが、修辞技法としては並列構造が極めて印象的ですね。

 

話し方だけではありません。わかりやすい文章を書くことももちろん意思疎通力の一つです。文章の書き方についての本は、英語でも日本語でもたくさんありますが、推薦できる一冊は、『ザ・エレメンツ・オブ・スタイル(The Elements of Style)』(Strunk, William & E. B. White、1959年)という本で、邦訳もされています。

非常に役に立つ簡単な、命令形のルールが書かれています。一番好きなルールは、「不要語彙を省け!」です。他には、「修正して書き直せ!」「読者を知れ!」「具体的な語彙を利用しろ!」「修飾語句は避けろ!」などです。これらのルールを忠実に守れば、わかりやすい文章になります。

 

例えば、「読者を知れ!」のルールです。数学者がビジネスマンに話す時、数式で表現しても通じません。しかし、数学者が難しい数式を左にして、右に「=5000億ドル」と書けば、ビジネスマンはすぐわかります。

このようにできる数学者は、本当に頭がいいと思います。すなわち、「相手が大事にしていること」に概念を合わせるのです。簡潔な文章の名人であるアーネスト・ヘミングウェイの『老人と海』を真似すれば良いのです。

関連書籍

ロバート・フェルドマン/加藤晃『盾と矛 2030年大失業時代に備える「学び直し」の新常識』

「繰り返し」の仕事は消滅する! 新たな時代のニーズを掴め! DX/AI/SDGs/MOTをあなたの武器にする本 はじめに 大失業時代、学び続けないものは生き残れない ・2030年までに1600万人が今の職を失う 1章 人生100年時代と「一所懸命」モデルの崩壊 ・DXによって学んだことの賞味期限はどんどん短くなる 2章 AIとDXを自分の言葉で語れるようになろう ・雇用を減らすイノベーション・生み出すイノベーション 3章 DXの本質は、ビジネスモデル変革 4章 最も弱いスキルを鍛えない限り、成長はない 5章 データを正しく解釈しよう。 新型コロナと日本人 ・日本のコロナ対応、欧米と日本で評価が180度異なるのはなぜ? 6章 エネルギー革命と成長する企業の決断 ・再生可能エネルギーは企業にとって「負担」ではなく「投資」 7章 投資家が重要視する「サステナブルファイナンス」とは おわりに 自己実現への道しるべ

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盾と矛

テクノロジーの発展や、「人生100年時代」の到来によって激変している私たちの働く環境。ロバート・フェルドマンさん、加藤晃さんの共著『盾と矛 2030年大失業時代に備える「学び直し」の新常識』は、DX、AI、SDGs、MOTなど、理解しているようでしていない新しい概念をはじめ、ビジネスパーソンが身につけておくべきテーマをまとめた一冊。激動の時代をサバイブするために、ぜひ目を通しておきたい本書から、内容の一部をご紹介します。

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加藤晃

東京理科大学大学院経営学研究科技術経営専攻(MOT)教授。防衛大学校(国際関係論)卒業、青山学院大学で博士(経営管理)を取得。貿易商社、AIU保険会社、愛知産業大学を経て、2020年より現職。経済産業省ISO/TC322国内委員・日本代表エキスパート、ISO/TC207環境ファイナンス関連規格検討委員会委員、日本証券アナリスト協会サステナビリティ報告研究会委員。単著に『CFO視点で考えるリスクファイナンス』(保険毎日新聞社)、共著に『サステナブル経営と資本市場』(日本経済新聞出版社)、『ガバナンス革命の新たなロードマップ』(東洋経済新報社)、監訳書に『サステナブルファイナンス原論』(金融財政事情研究会)、『社会を変えるインパクト投資』(同文舘出版)。

ロバート・フェルドマン

1970年、米国からAFS交換留学生として初来日、1年間名古屋で過ごした後、イエール大学で経済学/日本研究の学士号、マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。1983~89年、国際通貨基金(IMF)でエコノミスト、1990~97年、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社で首席エコノミストを務める。
1998年、モルガン・スタンレー証券株式会社(現:モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社)に入社、チーフエコノミストとして2017年まで勤め、その後シニアアドバイザー。
2000~20年、「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京系列)にコメンテーターとして出演。書籍出版、雑誌寄稿、講演などの対外活動にも積極的。2017年より東京理科大学大学院経営学研究科技術経営専攻(MOT)にて教授を兼業。

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