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コンサバ会社員、本を片手に越境する

2022.11.09 更新 ツイート

【新連載】(旧)勝ち組会社員が覚悟を決めた「人生100年時代」のシビアな現実 梅津奏

時代の価値観は常に移り変わり、ずっと同じままではいられない――。揺れる心にハッパをかけてくれるのは、いつだってたくさんの本たち。筋金入りのコンサバ会社員が、本を片手にVUCAの時代をサバイブする連載の第2回は、大企業勤務だけを頼りにしてきた生き方への不安。

「もう逃げ切れない」と覚悟を決めて

「これを買っておけば安心だから」

そう言い含められたから、一生懸命お金を貯めて、行列に並んでゲットしたお宝商品。それを後から、「もうそんなの古いよ」「それ、実は効果ないよ」と言われたら?

 

怒り、羞恥、失望。そして、「ふん、私はこれで十分だし」という開き直り。

2016年に『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』(リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット/東洋経済新報社)を読んだときに私を襲ったのが、まさにこれらの感情だった。

 

「人生100年時代」を迎え、「教育・仕事・引退」という人生の3ステージ制が機能しなくなる。60代で会社を定年退職し社会的基盤を失った後も、人生はまだまだ続く。社会に必要とされる仕事はどんどん変化するので、手持ちのスキルだけで生きていくのは難しくなる……。

読めば読むほど、これまでの働き方では先細りだということが納得できてしまった。ガリ勉して必死に就職活動して、やっと手に入れた大企業就職。生涯保証付き通行手形だと思っていたのに、実は有効期限付きだったの……?

しかし、人間には強烈な現状維持バイアスがある。漏れなく私にも。

「大丈夫、私はきっと逃げ切れる」

そう自分に言い聞かせ、狭い人間関係・狭い時間軸の世界に閉じこもって息をひそめるように働いてきた。

 

そして迎えた、いや「襲い掛かってきた」パンデミック。私たちは、急転直下のパラダイム・シフトを経験することになった。

「オフィスに行けない」「人に会えない」「ハンコをもらえない」「接待や懇親会ができない」

行動制限から逆算した働き方改革が進められ、問答無用で「日常」になった。これまで重要だと思っていた業務がいくつも、「不要不急」の箱に投げ込まれ、消失・又はより実質的なやり方にシフトした。

このパラダイム・シフトの特徴は、「全世界的に、例外無し」だったこと。お手製のノアの箱舟に乗り込み、「自分たちだけでも、これまで通りのやり方で逃げ切ろう」と考えていた企業・人間が一斉に引きずり降ろされた。そしてこれまでブラックボックスの中にあった狭い価値観とブルシット・ジョブが、白日の下に晒されることになったのだ。

 

コロナは魔法のように社会を不安に陥れたけれど、ある種の「魔法」を解くことにもなった。魔法を解かれた人たちは、箱舟を降り、新しい一歩に踏み出している。

かくいう私も、こうやってウェブ上で文章を書く活動をはじめた。2020年4月まで、個人ブログを書いたことすらなかった私がである。仕事と読書以外で自分が何をしたいかなんて、30数年考えたことがなかったのだ。これはこれで、今考えると恐ろしい。

文章を書くことを通して、「大企業勤務である」以外の自分を育てていこうと思う。新しい人間関係ができたことで、定年後の生活に対する漠然とした不安も薄れてきた。不思議なことに、会社の仕事でも「一皮むけたね」と言われることが増えている。

「このままではいられない」と認めることは、過去と現在の否定ではなく、生き方・働き方にオーナーシップを取り戻すことだった。

ニュータイプの時代』(山口周/プレジデント社)

正解がコモディティ化していく世界において、「正解を出す力」が高く評価されることはありません。――『ニュータイプの時代』より

予測不可能な社会では、問題解決能力の高いオールドタイプは価値を失う。求められるのは、ビジョンを描き、適切な課題を設定できるニュータイプ。著者の山口さんは、哲学を学んだ後に電通やボストン・コンサルティング・グループに勤務。現在は独立研究者としてビジネスの未来や働き方に関する著書を多数執筆。VUCA時代を代表する論客が、ぬるま湯につかるオールドタイプたちに冷や水を浴びせる。

ブルシット・ジョブの謎』(酒井隆史/講談社現代新書)

無意味であり、かつそれをあざむかねばならない。しかも、それを強いられることが、人の精神を追い込んでいくのです。――『ブルシット・ジョブの謎』より

無意味な仕事を強制される人は、早く支配する側に回りたいと考える。脱出して新しい道を見つけようとする仲間を攻撃する。支配者たちは、二度と自分が無意味な仕事をさせられないように強固な管理体制を作り出す。それはまるで、結局は全員が命を落とすことになる蟻地獄での不毛な潰しあい。世界的なベストセラーとなった奇書『ブルシット・ジョブ-クソどうでもいい仕事の理論』の翻訳者が、仕事の虚しさに苦しむ人に向けて書いた入門書。

キャリアをつくる独学力』(高橋俊介/東洋経済新報社)

自分に向いている仕事につくというより、自分に向いているように仕事をする。――『キャリアをつくる独学力』より

「独学は業務外の自己啓発」「社会人の勉強=大学院進学や資格試験勉強」などの思い込みを払拭し、「自分らしいキャリア」を実現する学びのあり方を解説する一冊。著者の高橋さんが強調するのは、内的動機(自分らしさ)にドライブされて能力を発揮するとき、人はやりがいを覚えるということ。「主張したい」「分析したい」などの内的動機に気づき、独学により強化することで、仕事がストレッチしていく。

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コンサバ会社員、本を片手に越境する

筋金入りのコンサバ会社員が、本を片手に予測不可能な時代をサバイブ。

 

 

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梅津奏

1987年生まれ、仙台出身。都内で会社員として働くかたわら、ライター・コラムニストとして活動。講談社「ミモレ」をはじめとするweb媒体で、女性のキャリア・日常の悩み・フェミニズムなどをテーマに執筆。幼少期より息を吸うように本を読み続けている本の虫。ブログ「本の処方箋、どうぞ♪」

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